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ヤマハが掲げる「True Sound」を体現する新プリメイン登場。“5000シリーズ”から連なる思想と音を聞く

公開日 2020/10/09 06:30 インタビュー構成:ファイルウェブオーディオ編集部/レビュー:山之内 正
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■オーディオの物理特性の先に、音楽的な表現の世界がある

山之内 これは3つとも同程度の重要性を持つ言葉なのですね。

熊澤 そうです。まず「OPENNESS」、この言葉は、ヤマハのフラグシップピアノを設計している開発リーダーからヒントをいただきました。彼は、「大きなコンサートホールでも、一流のミュージシャンによる演奏はどんな小さな音でも最後部の観客にもスムーズに届く、そんな音が確実にある」と言うのです。そういう抜けの良い、開放的な音ってオーディオにもありますよね。それを大事にしていこう、ということを「OPENNESS」で表現しています。

山之内 「EMOTION」というのは感情ですね。

インタビュワーの山之内 正氏

熊澤 「EMOTION」、これには具体的にいうと、ボディ感や細かなニュアンスといったイメージを込めています。例えばギターでは、音を出すまでの指が滑る音、ミュージシャンはそこも表現のひとつとして使っています。

山之内 生々しさやリアリティという言葉に近いでしょうか?

熊澤 そうですね。例えば弦楽器のボディは、形が音程感を損なわないようになっています。人で言えばあくまで喉が発声しているのですが、喉を効果的に鳴らすためのブレスや横隔膜の動きがあり、だからこそ抜ける音がする。そういったところまでしっかり表現したいと思っています。

山之内 「GROOVE」という言葉には何が込められているのでしょう?

熊澤 これは正確なリズム感ということではなく、あえて言うと「ノリ」、タイム感を意味します。天才的なギタリストでは、普通に弾いているだけでもリズム的に踊っていたり、非常に早いパッセージも自然に聴こえます。ひとりの人間の持つタイミングもそうですが、アンサンブルになった時に生まれるグルーヴ感も大切にしています。例えばジャズのスイングやキックドラムがスイングをプッシュしていく感じ、そういったものまで表現していこうと考えています。

山之内 私も楽器を弾くので非常によく分かります。ですが、オーディオの製品を開発される方は、これまでどちらかというと解像度や周波数特性といった違う言葉を使って開発をされることが多かったように思います。音楽的なミュージカリティと、そのような物理的な特性は、両立するのか、せめぎ合うのか、どうでしょう?

熊澤 これは両立するものだと思っています。オーディオの開発としては、土台に性能をきちんと追い込んでいることが前提です。歪みやノイズ、周波数特性など、オーディオ性能を極めるということは、設計の最初のステップで必ずやらなければならないことです。ここには、ヤマハの先輩方が築いてきた数多くのノウハウがあります。ですが、性能を突き詰めた、その先に表現の世界があるように思います。

山之内 実際に音を聴かせていただいても、歪みやノイズフロアなど、物理的に気になるところは高い水準でクリアされていると感心しました。ハイレゾやレコードなどいろいろな音源を聴いていく中で、演奏そのものの魅力、プレイヤーの高揚感、グルーヴといった、その時にしか生まれなかった音が蘇ってきます。

熊澤 14年前にA-S2000とCD-S2000を開発してヨーロッパに持っていったときに、「オーディオ性能はパーフェクト、だけど楽しくない」と言われたことがありました。性能は良くても、目指した表現力に何が足りなかったのか、多くの試行錯誤を繰り返してきて、いまに至っています。

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