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【特別企画】人気DAP4モデルやケーブルとの相性は?

テクニクス最上位イヤホン「EAH-TZ700」の実力を引き出す! DAPやケーブルと組み合わせテスト

公開日 2020/01/31 06:30 岩井喬
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ソニー「NW-WM1Z」で再生するDSDは“ずっと聴いていたくなるサウンド”に

最後はソニーのNW-WM1Zだ。金メッキを施した無酸素銅切削ボディやKIMBER KABLEの内部配線など、高音質なパーツを選定したこだわりの仕様が特長で、PCMは384kHz/32bitまで、バランス駆動時には11.2MHzまでのDSDネイティブ再生に対応した新世代のS-Mastar HXを搭載したことも大きな話題となった。

高音質パーツの選定や、DSD 11.2Mzのネイティブ再生に対応したS-Mastar HXを搭載するソニー「NW-WM1Z」と組み合わせた

こちらもN8と同様にバランス駆動出力は4.4mmとなるので、バランス駆動のチェックはClear force MMCX 4.4φ Ver.2を用いた。

まずシングルエンド接続では全帯域に渡ってスムーズでナチュラルなサウンド傾向であり、質感描写も丁寧で高密度かつ分解能の高い表現を楽しめる。オーケストラの旋律もしなやかかつ伸びやかで、倍音の艶も豊かに描き出す。余韻も厚みよく滑らかで、耳当たり良いハーモニーを聴かせてくれる。

ジャズピアノはローエンドにかけ落ち着いた太さを見せ、アタックも粒立ち細かく丁寧に響く。ホーンセクションも厚みを持たせつつハリ鮮やかなタッチで引き立たせ、シンバルの響きも輝きよく浮かび上がる。ボーカルはボトム感を持たせた安定傾向で、口元の輪郭をくっきりと爽やかに表現。ロックのリズム隊は弾力を持った描写でスネアも細くなりすぎない。エレキギターのリフも太く、ディストーションも小気味良く響く。

Aqours「HAPPY PARTY TRAIN」のキックドラムは“ドフンドフン”と豊かに押し出されるが、ハリ艶良いストリングスやボーカルの明瞭な描写、倍音の煌きによって、バランス良くまとまる。リズム隊のどっしりとした安定感と楽器の分離の良さ、スムーズな音運びが印象的で、コーラスも暴れなく表現。井口裕香「HELLO to DREAM」Aパートにおける休符でのベースの余韻も“フゥン”とキレ味良い。ボーカルも伸びやかで艶ノリ良く爽やかに描き出す。

Clear force MMCX 4.4φ Ver.2にケーブルを交換し、バランス駆動でも試してみると、ベースのダンピングが向上し、リズムのキレが一層増す。ロックのリズム隊もアタックが引き締まり、タイトになるもののスムーズな音運びであり、耳馴染みは良い。ボーカルは潤い良く滑らかな口元の描写に対し、ボトム感を残しつつ芯の硬さを持たせた音像の安定度の高さが際立つ。コーラスワークの分離の良さ、リヴァーブの清々しさも向上している。

NW-WM1Zは3.5mmと4.4mmのプラグを搭載。バランス駆動のチェックはClear force MMCX 4.4φ Ver.2を用いて行った

オーケストラの柔らかく伸びやかなハーモニーは潤いに満ち、アタックのハリのクリアさと対照的。バランス駆動でネイティブ再生となるDSD音源では個々のパートを丁寧に描き出し、ピアノやホーンセクションをほぐれ良くハキハキと表現。ハーモニクスも粒立ち細かくスムーズに響く。

シンバルワークの緻密さやスタジオの残響までストレートに描き出すトレース力、空間性の高さも的確に捉える。11.2MHz音源のリアルさ、ナチュラルな音像の浮き立ちも非常にレベルが高く、ずっと聴いていたくなる。

EAH-TZ700の表現力の高さは、バランス駆動における2.5mm方式と4.4mm方式の傾向の違いも鮮明に引き出す。ストレスフリーで空間性の高い4.4mmに対し、2.5mmは音像のアタック感を重視するような、エッジの利いたサウンドに傾くようだ。純粋に接触面積の多さやピン内部の配線材の太さといった点で4.4mmの方が音質的にも優位であり、オプションでもよいのでEAH-TZ700用4.4mmバランス駆動用ケーブルをリリースしてほしいところである。

テクニクスサイドとしては、これまでの2.5mm採用モデル数の多さから同梱ケーブルを検討したと思われるが、ソニーの“NW-ZX”シリーズをはじめ、ここ1、2年で4.4mm搭載モデルの数やユーザーへの浸透度も高まっているので、その点も参考にしてほしい。

ただし純正でなくとも、今回試したようにサードパーティー製でMMCXコネクター/4.4mmプラグ端子搭載リケーブルも増えてきたので、ユーザーレベルで好みのものを探すとよいだろう。



EAH-TZ700は基本的なポテンシャルが高いので、同梱されているセットを生かすだけでも十分に高音質を楽しめる。しかし今回試したように、リケーブルやDAPの違いもあまさず音に反映するため、様々な環境でその都度新しい発見、音に出会える、実に頼もしいイヤホンである。

聴くジャンル、再生機器との相性という点で許容範囲が広く、破綻した組み合わせにならないところも美点だ。EAH-TZ700は決して安くはないものの、ポータブルオーディオの一つの基準、絶対的リファレンスとして長い期間相棒となってくれるような安定感に溢れた存在といえる。

ふとまた聴きたくなる、そんな魅力を持った、現代のハイエンドシーンを代表する一台だ。


■試聴音源
・飛騨高山ヴィルトーゾオーケストラ コンサート2013『プロコフィエフ:古典交響曲』〜第一楽章(96kHz/24bit)
・デイヴ・メニケッティ『メニケッティ』〜メッシン・ウィズ・ミスター・ビッグ(CDリッピング:44.1kHz/16bit・WAV)
・長谷川友二『音展2009・ライブレコーディング』〜レディ・マドンナ(筆者自身による2.8MHz・DSD録音)
・『Pure2-Ultimate Cool Japan Jazz-』〜届かない恋(2.8MHz・DSD)
・Suara「キミガタメ」11.2MHzレコーディング音源

(協力:パナソニック)

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