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パイオニア「UDP-LX800」画質レビュー。前人未踏のS/Nで4K映像のリアリティを余さず引き出す

公開日 2019/01/17 06:00 小原 由夫
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『ダンケルク』では、ダークな色合いの深みが圧巻だ。この映画は「IMAXカメラ」で70mmフィルム撮影されており、その情報量は16K (!)に迫るという。ダンケルクの海岸で救命を待つ英国軍兵士たちの様子は、ダークグリーン、茶、黒といった地味な色が支配的だが、その陰欝で暗いムードが画面から溢れ出ている。

一方で、飛行中の戦闘機スピットファイアからの映像では、陽光降り注ぐ海面の小波が眩しく煌めき、風防越しのエアジャケットの革の質感やコクピットの様子がリアルかつ精密に映し出された。機銃の命中で上がる白煙などは、その粒子感が見えるかのようだ。

『ハドソン川の奇跡』は、米ARRI社のデジタルカメラ「ALEXA 65」で撮影されている。クリント・イーストウッド監督が初めて手にしたこのデジタルカメラの解像度は、6K相当になる。そのチャプター5は、マンハッタンのネオンサインが眩しい。ジョギングする主人公の後ろの看板がハイライトまでピンと伸びたピーク感を示す。

電飾類のさまざまな色合いも鮮やかで、極めて見通しのよいキリッと引き締まった映像だ。アーチ状の橋を奥から手前に走るシーンでは、左右の照明の明度にHDRらしさが実感できる。アップで映る肌の質感、髭の様子、ジャージのテクスチャーなどもたいそうリアルで生々しい。

情報量豊かなUHD BDコンテンツをより精密に、リアルに描き出す

米Red社の8Kデジタルカメラ「Weapon 8K」を使って撮影されたのが、ブラッド・ピットとマリオン・コティヤールが主演した『マリアンヌ』だ。そのチャプター2、モロッコのクラブで2人が出会うシーンは、砂埃を被ったクルマのボディの様子と、その横に置かれたピカピカのクルマのボディとの対比が如実に現われた。輝度の低いシーンだが、UDP-LX800はダークな部分のグラデーション、質感再現が素晴らしい。

続くクラブ内のシーンは、照明がやや暗いものの、だからこそ天井からぶら下ったシャンデリアの彫刻がなお一層克明に浮かび上がる印象だ。ブラッド・ピットが着る麻のスーツのそれらしい質感、マリオン・コティヤールが座る椅子に掛かったシルクの生地のてかりなど、まるで実物を肉眼で見るようなリアリティなのである。まったくのノイズレスで、極めてS/Nの高い画調にしばし陶然として見惚れてしまった。



UDP-LX800は、パイオニアが満を持して発表したマシンで、私は同社の底力を垣間見た思いがした。それは、再生機に求められる性能を真摯に突き詰めた結果行き着いた、前人未到のS/Nの極北といってよい。

今回は画質のみをレポートしたわけだが、本機のもうひとつの側面である、ユニバーサル機ならではの優れたサウンドパフォーマンスも見逃してはならない。それについては、本サイトの過去の記事で存分に報告されているので、ぜひ参照されたい。

(小原 由夫)

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