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代表Ken氏インタビューも

人気の「ANDROMEDA」を超える集大成モデル、Campfire Audioの旗艦イヤホン「SOLARIS」レビュー

公開日 2018/12/13 17:30 佐々木喜洋
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迫力の低音域と存在感あるボーカル、フラグシップらしい壮大なサウンド

その音質は、フラグシップらしく、極めて高いと感じた。低音域はATLASを思わせるような迫力がある。これは大口径ダイナミックドライバーならではの音で、聴けば震えるような躍動感を感じるだろう。

迫力の低音域を再生しつつ、埋もれず存在感ある中域も実現

超低域のきわめて低く深い沈み込みもたっぷりとある。低音域の解像力も高く、ダブルベースのソロでは太い弦の鳴りと低音の迫力がひときわ高く感じられる。ここはオールBAのイヤホンにはない、ハイブリッド方式ならではの魅力を実感できるだろう。

低域の存在感は大きいが、ヴォーカルがそれに埋もれるということはない。それほど中音域ではヴォーカルの存在感もしっかりと感じられる。「中音域を担当するBAドライバーについては新しく採用したもの。2 - 3kHzまでのヴォーカル帯域の再現性に優れている」とKen氏は教えてくれた。また、ダイナミックドライバーとの位相的な相性も優れているという。

Ken氏曰く、2 - 3kHzまでのヴォーカル帯域の再現性に優れているという

高音域のBAドライバーはANDROMEDAと似たものを使用していて、同様にT.A.E.C.を改良して使っているため、そこについては人気モデルのキープコンセプトと言えるだろう。高い音は鋭く上に伸びるが、きつさは少なくスムーズだ。T.A.E.C.の効果もあるだろう。バロックバイオリンでは古楽器の豊かな倍音の響きが心地よく、ホールの残響音もよく聴こえる。

生楽器の弦を鳴らす際の歯切れ良さ、鮮明さにも驚かされる。情報量の多さはAstell & Kern「SP1000」のようなモンスターDAPでよく発揮される。特に明瞭感の高いSP1000 Stainless Steelモデルで聴くと、その再現性は驚くほどのレベルで、スピーカーでハイエンドオーディオ機器を聴くかのようだ。なお能率は高めなので、ゲイン切り替えのあるアンプやプレーヤーでは、低ゲインで使用したほうが良いだろう。

もう一つ、SOLARISは、音の広がり方が立体的で壮大なところも特徴だ。大編成のオーケストラ物ではイヤホンとは思えない壮大なスケール感を感じられる。アカペラの多声ヴォーカルを聴くと、メンバーそれぞれの声の厚みと帯域ごとの重なりもわかりやすい。

Ken氏は設計目標の一つに、BAドライバーとダイナミック・ドライバーの良いところを最大限発揮して組み合わせることを挙げた。明瞭感と細かさというBAドライバーの良いところを最大にして、音のきつさなどの点は最小に、ダイナミック・ドライバーはアナログ感やスムーズさといった面を最大限に発揮させようとしたという。

BAドライバーとダイナミック・ドライバーの良い点を最大限発揮することを目指して設計したという

そして理想的には、イメージング(定位感)、レイヤーリング(重なり表現)、広い音場感を今まで以上に、たとえば大型スピーカーのように楽器の配置や重なりの表現が明瞭にわかるようにしたかったそうだ。そのため位相の一致も重要なテーマであり、たくさんのドライバーや構成要素が一斉になって調和した音にするには、クロスオーバーやダンパーなど構成要素についても、複雑にしすぎずにシンプルイズベストを心がけたと語った。



フラッグシップ機というと優等生的なモデルが多い中、SOLARISは中高域の鮮明さに加えて、ハイブリッドらしいダイナミックな魅力も併せもつ個性的で尖ったモデルだ。Ken氏は「ぜひバランス構成のアンプで聴いてほしい」という。なお今回バランスケーブルは同梱はされていないが、標準ケーブルと同じ線材の2.5mm、4.4mmのタイプが国内でも用意されるとのこと。

標準ケーブルと同じ線材の2.5mm、4.4mmのタイプも用意される予定。バランス接続で是非楽しんでもらいたいとのことだ

ANDROMEDAに比べると全体的なレベルアップは著しいと感じたが、SOLARISの開発によって、Campfire Audioは一つの頂点を極めたようにも見える。まさにCampfire Audioの集大成であり、「ベスト・オブ・キャンプファイヤーオーディオ」と言えるだろう。

この先はどうなるのだろうと、今後の展望をKen氏に伺うと、「様々な分野に向けて開発を進めているが、やりたいことが多くて時間が足りない」と語る。たとえば一つの方向として、高音質コーデック対応のBluetooth製品があるとのこと。もちろん市販のチップをそのまま使うようなものではなく、Campfire Audioらしくカスタムデザイン回路によって高音質を狙うそうで、来年には何かしら披露できるだろうと、何とも嬉しい話も聞けた。

Campfire Audioのメンバーに今後の展望を伺った

高音質コーデック対応のBluetooth製品も開発中、2019年には何らかの形で発表されるかもしれないとのことで、期待したい

ヘッドホンでもCASCADEの上位モデルが待たれるが、CASCADEの完成度が高かったため、それを超えるのは並大抵のことではないという。まさにANDROMEDAを超えたSOLARISのように、時間をかけて完成度の高いものを目指していくのだろう。今後もCampfire Audioの動向には目が離せなくなりそうだ。

(佐々木喜洋)

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