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ベルギーで試乗。Auro-3Dの技術を採用

ポルシェ×ブルメスターのハイエンドカーオーディオを体験! 家庭用でも稀な “良質な低音” の理由

公開日 2018/01/30 12:03 山之内 正
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3Dサラウンド以外の再生モードはピュア/スムーズ/ライヴを選べるが、特にピュアモードはブルメスターが意図するサウンドバランスを忠実に再現することを目指しており、ドアとダッシュボードのユニットを中心に音源オリジナルのサウンドバランスと空間バランスを維持する。そのサウンドはニアフィールドで聴く家庭用ハイファイシステムに近い雰囲気があり、誇張や演出のない素直な音調に好感を持った。

4種類の再生モード(ピュア、スムーズ、ライヴ、3Dサラウンド)を選択可能

モード切り替えはどの操作画面からもすぐに呼び出すことがえできる

特にアコースティックな編成のジャズやヴォーカルを聴いたときのピュアでダイレクトな感触は格別で、引き締まった声の音像や歯切れ良くリズムを刻むベースやドラムの質感の高さに舌を巻く。なかでもベースは立ち上がりが遅れず、音像がふくらみすぎないので、他の楽器にかぶることがない。

特筆すべき低音の質感。ポルシェの剛性や車内のS/Nも音質に有利に働く

ホームオーディオでもこれほど質感の高い低音を引き出すのは難しいのに、ノイズと振動が侵入するクルマのなかでよくぞここまで追い込むことができたのはなぜか。不思議に思って助手席に座ったポルシェの音響エンジニアに理由を尋ねてみた。

「低音には何通りもの評価ポイントを設けていて、低音だけでも課題曲を数十曲用意して聴き分けています。特に、ベースとバスドラムのように音色が異なる低音楽器が重なったフレーズで両者を正確に鳴らし分けることやアタックのタイミングを精密に揃えること、さらに音が消えるときに余分な音を残さないことにこだわっています」という答えが返ってきた。

ダッシュボードには3基のAMTユニットを配置

フロントドア下部には220mm口径のウーファーを内蔵

彼はあえて言及しなかったが、ポルシェならではのボディ剛性の高さが音を追い込むうえで有利にはたらいていることも間違いなさそうだ。一般的にカーオーディオの低音は共振で音像がにじみ、サブウーファーの音圧で存在感を強調する例が少なくないが、今回聴いたブルメスターのシステムはそれとは対極の引き締まった低音で、サブウーファーのバランスも絶妙だ。

ラゲージルームの専用サブウーファー

サブウーファーユニットの構造。複雑な3次元形状に加工されたキャビネットとウーファーの関係がわかる

さらにパナメーラはポルシェのラインナップのなかでは快適性の追求が半端ではなく、もともと車内環境のS/Nが良い。試乗車のパナメーラターボ・スポーツツーリスモは4リッターツインターボエンジンを積むとは思えないほど車内が静寂に包まれ、高速道で多少鋭い追い越し加速を試みても車内に届くエンジン音の高まりはほとんど気にならない。

今回試乗したブリュッセル空港からギャラクシースタジオがあるモルまでの行程は半分が高速道だったが、ベルギーでは規制速度が120km/hということもあり、音量をさほど上げなくとも十分なダイナミックレンジで音楽を楽しむことができた。

標準のリスニングポジションに加えて後席に重点を置いたポジションを選択可能。「リアにVIPを載せたときのお薦め設定」とのことだが、ファミリーで利用するときも人気が出そうな設定だ


Auro-3D再生ではホログラフィックな声や楽器のイメージが浮かび上がる

次に、いま聴いた音源を今度は3Dサラウンドモードをオンにしてもう一度聴いてみる。Auro-3Dが開発したアップコンバート技術「AuroMatic」を用いて原音に付加した3次元の反射音成分をAピラーのフルレンジユニットやリアサラウンドスピーカーから再生するモードである。

Aピラーにハイト用フルレンジユニットを搭載

アップコンバートによって生成する反射音成分はギャラクシースタジオ内のアコースティックな収録スタジオ「ギャラクシーホール」の反射パターンを元に作られるが、車内空間の音響特性に合わせた最適化が行われているという。

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