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【特別企画】連続企画第2回

OPPO「UDP-205」導入レポ<山之内正編> 全方位リファレンスクオリティ。突き抜けたアナログ出力の音質

公開日 2017/10/11 08:10 山之内 正
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精緻なディテールと階調表現の両立が映像に自然な奥行きを生み出す

UDP-205の画質で一番感心した点は、映像に自然な奥行きがあり、見通しが良いことだ。精緻なディテール再現となめらかな階調表現が両立しないとそこまで自然な奥行き感を引き出すのは難しい。少しでも余分な強調が加わると、一見した印象では鮮鋭に見えるものの、じっくり見ると平坦な映像になっていることに気付いてしまう。特に120インチを超える大きなスクリーンに投射すると、僅かなオーバーシュートや色のずれが拡大されてしまうため、本来のなめらかな遠近感を引き出すのが難しくなる。


UDP-205でUHD BDをチェックする山之内氏
本機は同じOPPOの「UDP-203」と比べても細部の描写が緻密で、最暗部まで明暗差をなめらかに再現する。UDP-205とUDP-203は映像回路の基本的な構成や信号処理のアルゴリズムに違いはないはずなので、この微妙な画質の違いは電源回路の強化や筐体設計の余裕などに理由があるのかもしれない。

たとえばUHD BDの『レヴェナント』では人物や森の樹々だけでなく霧や雲まで立体的に描き出し、近景と遠景を対比させる場面の描写に磨きがかかった印象。また、クローズアップ画面で顔の立体感が際立つのは、肌などのテクスチャーとグラデーションを忠実に再現しているためだ。輪郭線で形を描くことよりも、明るさの濃淡で立体感を引き出すというアプローチは、解像度の高さとなめらかな階調表現を両立していなければ成立しない。

HDR-SDR変換ではHDRコンテンツのコントラスト表現に迫る感触を実感

UHD BDの再生時、VPL-VW1100ESではHDR-SDR変換の映像を見るわけだが、輝度の設定さえ適切に行えば、適切な階調表現を確保したまま、HDRコンテンツの強靭なコントラスト表現に迫る感触を実感することができる。

『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』の終盤、魔力を駆使した激闘シーンは明暗差の強い場面が連続し、強烈な閃光が闇を切り裂く描写が鮮やかだ。スクリーンではさすがに最新のOLEDテレビのような眩しいほどの明るさは期待できないが、暗室環境では実際以上に輝度レンジが広く感じるためか、このシーンからは予想以上に強いインパクトが伝わってきた。

HDR非対応のソニー「VPL-VW1100ES」との組み合わせにおいて、HDR-SDR変換が活用されているという

あらゆる場面に登場する魔法生物を立体的かつテクスチャー豊かに再現することも特筆に値する。ディテールのにじみが少ないため色の切れが良く、動物たちのイメージが立体的に浮かび上がるのだ。テレビ画面に比べて表示されるサイズが大きくなるにも関わらず、テクスチャーが粗くなったり滑らかさを失うことがない点にも感心させられた。一見するとなめらかだが目を凝らすと細部が自然に浮かび上がり、奥行きの深さを実感できる。

その感触は画質のアドバンテージが大きい4K作品に共通するもので、たとえUHD BDでもマスターの解像感が足りない作品まで精緻に見せるということは原則としてない。従来機以上にソースのクオリティを忠実に再現するプレーヤーと言ってよさそうだ。

アナログ出力のサウンドは最大のアドバンテージ。HDMI出力も高水準

UDP-205の再生音について、マルチチャンネル音源を中心に筆者が気づいた点をいくつか紹介する。冒頭で書いたようにUHD BD、BD、SACDを1台で再生し、HDMIだけでなくアナログ出力からもマルチチャンネル信号を取り出せることが本機を選んだ最大の理由なので、音質については最初から大きな期待を寄せていた。

実際に聴いてみると、アナログ出力音声の音の良さは期待通りだったが、HDMI出力の音質も期待を上回るもので、特に映像ソースについてはリップシンクの件もあるので、HDMIによるデジタル接続を基準に使うことにした。

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