オーバーサイズの余裕が生む細かな凹凸のエネルギー

【製品批評】IsoTek 「EVO3 SUPER TITAN」 ― 音楽表現を深める最高峰パワーコンディショナー

井上 千岳
2017年08月14日
製品批評


パワーコンディショナー
IsoTek
EVO3 SUPER TITAN
¥1,800,000(税抜)



2015年に日本で初めて紹介された英国の電源コンディショナーIsoTek。その年の「オーディオアクセサリー銘機賞」で金賞を受賞し、その後も次々に新しい製品が市場に投入されてきた。そして登場したのが、超ハイパワー・モデルの「EVO3 SUPER TITAN」だ。

電源コンディショナーには電源生成や補正を行うアクティブ型とノイズを排除するパッシブ型があるが、IsoTekの製品はパッシブ型である。

「EVO3 SUPER TITAN」前面

ノイズはコモンモードとディファレンシャルモード(ノーマルモード)の2種類が知られているが、一緒に除去するのは意外に難しいのである。同社では特殊高性能コアに低抵抗コイルを巻いた低歪率コイルと、高音質なコンデンサー群による「デルタフィルター」、入力端子と各出力端子、また各出力端子のそれぞれが絶縁されている「ダイレクト・カップルド・デザイン」、フィルターやコンセントを1点から放射状に配線するスター結線といった技術をノイズ除去にあてている。

EVO3 SUPER TITANの内部構成イメージ

IsoTekのラインナップには、標準的性能の「SIGMUS」と「AQUARIUS」、ハイパワーに特化した「TITAN」が存在する。「SUPER TITAN」は名前のとおり、TITANの強化版である。出力はIEC3Pが4口、定格は最大で3200Aだが、日本の電源環境では20A表示なので2000Aになる。これにパワコン1系統が付くのは、TITANと同じである。

内容はしかし、TITANとは大幅に違う。まずフィルターは、直列/並列の7ステージ・フィルター4系統で構成される。TITANの2倍のフィルタリング能力だという。またKERPという独自のテクノロジーで、出力全ての抵抗と出力を均等にしている。AC入力も出力端子も電流量の増加に応じて全面的なブラッシュアップを図っている。

外観はかなり大掛かりで、4本の支柱は高剛性アルミ製。天板と底板は、超高密度の圧縮素材でできた2枚の板で、特殊な共振減衰材料を挟んでいるという。ディテールの彫りの深さと微細な凹凸を明確に引き出す。

背面

本来ならモノアンプ4台でバイアンプにするところだろうが、その用意はないので全機器を接続してみる。電流容量としては、余裕に満ちたオーバーサイズである。

この余裕は、ディテールの彫りの深さ、細かな凹凸のエネルギーとなって現れる。ピアノも室内楽も、これがあるため生き生きとした感触がまるで違う。すぐ傍で聴いているような幻想さえ湧いてくる。ダイナミック・レンジが、格段に広がるのは言うまでもない

オーディオを支える電気エネルギーというのは、こういうものなのだということを実感する。大音量でも小音量でも、エネルギーの豊かさはオーディオの基礎なのだ。音楽表現の深さは、電源でしか賄えないのだということを、つくづく感じたのである。

(井上 千岳)

Specifications
●入力電圧:AC100V、50/60Hz ●入力コンセント:パワコン32A×2系統 ●出力電圧:AC100V、50/60Hz(入力と同一) ●出力コンセント:IEC 3P×4系統、パワコン×1系統 ●定格出力容量:最大2000VA ●定格出力電流:IEC 3P/4系統合計最大20A、パワコン/1系統最大20A ●サイズ:500W×300H×500D ●質量:30s ●取り扱い:(株)ナスペック



※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから