順調にリファインを重ねるスピーカーシステム

【製品批評】フォステクス「GX100BJ」ー 従来バージョンから解像度やフォーカスが数段進化

石原 俊
2017年08月09日
製品批評


スピーカーシステム
FOSTEX
GX100BJ
¥69,000(1本/税抜)



フォステクスのGX100系がBJバージョンに進化した。初代機が世に出たのは2009年のこと。HRと呼ばれる双曲放物面を回転させた形状のアルミニウム合金製振動板を持つウーファーと、マグネシウム合金製振動板のトゥイーターによる2ウェイ・ブックシェルフ型機GX100は、一躍人気スピーカーとなった。それ以来、トゥイーターを純マグネシウムとしたMAバージョン、細部をリファインしたBasicバージョンと順調に進化を重ね、このBJバージョンでは国産化を果たした。

スピーカーエンジニアにとって製造拠点の変更は製品開発をやり直すことに等しい。BJの質量は5.4kgで、Basicよりも0.3kgも軽い。キャビネットを設計するうえで、これは不利であったであろうことは想像に難くない。しかしながら開発チームは仕事をやりとげた。

トゥイーターは定評のある純マグネシウム(純度99.9%)20mmリッジドーム形状振動板を、ウーファーにはHR形状アルミニウム合金10cm振動板を搭載する

まずはBasicを聴く。良くできているな、というのが偽らざる感想だ。小型なのによく低音が出るし、オーディオ的にも音楽的にも満足度が高い。はたして、これを超えることがコストの高い国内生産でできるのか。

結論から先に申し上げると、BJバージョンはあっと驚くほどの仕上がりだった。音の広がりと解像度、特に低音のフォーカスが非常に良くなっている。実はプリプロダクション機にも接していて、その時はBasicよりもまとまりが良くなったな、といった印象だったのだが、生産バージョンでは数ランク上の音にまで成長している。

音楽的にはより客観度が増しており、フンイキで誤魔化すような部分がゼロに近い。ディテールの再現性はBasicを大きく上回っており、音楽の細部が観察しやすい。しかも単に細部が分かるだけではなく、そこには音楽を聴くことの喜びが満ち満ちている。

本機のリア部。端子はシングル仕様で、MIDコントローラーも搭載。聴覚の最も敏感な帯域付近の1.6kHz〜6kHzを+1dB〜−2dBの範囲で微調整することで、好みの音質に設定できる

ジャズは痛快無比である。基本的には音像がキリリとしまったブックシェルフ型機らしい精密な表現なのだが、音楽そのものが伸びやかで屈託がなく、空間に解放されるエネルギーが耳に心地よい。ヴォーカルは声の音像に輪郭線がなく、音場の中に極めて自然に定位する。ヴォーカル音像の輪郭線が消えたのはMAバージョンからだが、今回はそれにいっそう磨きがかかった。

Basicバージョンまではクラシックでもロマン派のオーケストラものをやや苦手としていたが、BJバージョンではコントラバスや大太鼓の解像度が向上したので、これが大の得意科目になった。各楽器の音像定位の良さはブックシェルフ型機の特権で、ミニチュアの楽員がずらりと並ぶ。国産回帰とさらなる高性能化に、大きな拍手を送りたい。

(石原 俊)

Specifications
●形式:2ウェイバスレフ型(クロスオーバー1.8kHz) ●ユニット:20mm純マグネシウムリッジドーム形状振動板トゥイーター、100mmアルミニウム合金HR形状振動板ウーファー ●再生周波数帯域:55Hz〜45kHz(−10dB)●出力音圧レベル:82dB/W(1m) ●インピーダンス:6Ω ●最大許容入力:100W●サイズ:160W×262H×231.5Dmm(グリル含む) ●質量:5.4kg(グリル含む) ●取り扱い:フォステクスカンパニー



※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」165号所収記事の一部を抜粋したものです。くわしいレビューは雑誌でご覧頂けます。購入はこちらから