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【特別企画】一瞬で引き込まれる、美しい4K有機ELテレビ

ソニーの4K有機ELテレビ「ブラビア A1」誕生。画質・音質を山之内正がチェック

公開日 2017/06/09 11:00 山之内 正
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『レヴェナント』とは反対に宇宙船という人工物のなかだけで物語が展開する『パッセンジャー』では、ディテールにまでこだわった人工的質感の高さが見ものだ。

宇宙船の計器類、冬眠ポッドの金属やガラスの質感、アンドロイドの非生物らしさなど、作りモノにリアリティを感じさせる難しさは過去さまざまな作品が挑戦してきたが、デジタル撮影のメリットとCGの表現力を駆使した本作の映像は有機ELテレビと非常に相性が良いと感じた。


コントラスト表現の余裕が被写体の立体感を際立たせ、抜けの良い映像からは精密に管理された宇宙船の異様な空気感がいかにもそれらしく伝わってくる。人工的な質感を極めると平坦な映像になりがちだが、ノイズが皆無で解像度の高い映像がジムとオーロラの存在を際立たせ、映像それ自体として見応えがある。


おもにHDRリマスターの効果が得られる「カスタム」モードで視聴。そのほか、映画スタジオでの編集環境に準じた映像を再現する「シネマプロ」や「シネマホーム」を画質モードに用意。視聴環境にあわせた最適な画質が得られる「明るさセンサー」も搭載する
地デジなどの2K映像や4KのSDR映像を見ても、有機ELパネルが引き出す表現力の向上を強く実感できる。既存のテレビに比べて、私たちが実際に目にする世界との差が小さく感じられるのだ。特にコントラストの高い風景などが現実の見え方に近いため、窓を通して実際の風景を見ているような感覚を味わうことができる。

どうしてそう感じるのだろうか。人間の目は明暗差に合わせてコントラストを補正し、自然な立体感や質感を把握できる。既存のテレビのように白が飛んだり、黒がつぶれてしまうことがないのは、瞳孔の開き具合などで明暗差を補正し、被写体の陰影や立体感を脳が正確に認知できるからだ。

A1のコントラスト表現が現実の見え方に近いと感じるのは、4K高画質プロセッサー「X1 Extreme」が内蔵するHDRリマスター回路が人間の脳や視覚と同様の補正をオブジェクト単位で行い、自然なコントラスト表現を実現していることに理由がある。


液晶フラグシップ「Z9D」にも採用された4K高画質プロセッサー「X1 Extreme」を搭載。オブジェクトベースで解析・処理をおこなうHDRリマスターやSuper Bit Mapping 4K HDR、デュアル・データベース型超解像などで構成されており、どんな映像がきても、リアルなディテールや奥行き、質感、自然で好ましい画質が得られる。有機ELパネルの特性にあわせた最適な画像処理をおこなうことで、絶妙なコントラスト表現を実現している
HDRが現実世界に近いコントラストを実現するのは信号規格が拡張されているから当然だが、HDRリマスターは映像のなかの個別の特徴を持つ領域ごとに輝度や色のコントラストを適切に拡張し、実際に見ている世界に近い描写を実現する。

もしも画面全体を一様に補正してしまうと部分的に破綻をきたし、現実感が得られない。オブジェクトごとにコントラストを最適化することで、本来の見え方に近い描写ができる。ディスプレイを通して見ていることを忘れさせるほどの自然な表現を実現している点にぜひ注目いただきたい。

実例を見てみよう。SDRで製作された4K放送の番組をA1のスタンダードモードで見ると、画面内に照明の光源を含む室内の場面で光が柔らかく回り込む様子やシャドウのなかの微妙な明暗差がとても自然で、レストランの雰囲気が素直に伝わってくる。

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