<連載>藤岡誠のオーディオワンショット

藤岡誠がいま注目する“ふたつのSE”。JBL「4312SE」とOCTAVE「V110SE」を聴く

藤岡誠

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2017年01月30日
藤岡誠氏が、自身の推薦するオーディオ機器、関連アクセサリー、あるいはコンポーネントの組合せ。またある時は新技術や様々な話題など、毎回自由なテーマで原稿を進めて行く「藤岡誠のオーディオ・ワンショット」。今回は、年末に登場した製品の中から藤岡氏が特に注目する2製品について取りあげる。

藤岡誠氏

2016年のオーディオもそれなりに得るものがあったが、年末になってから気になる2機種の新製品が発売された。それは型番末尾に“SE”(Special Edition)が付加された3ウェイ・スピーカーシステムと真空管方式プリメインアンプである。前者はJBLの「4312SE」で、後者はOCTAVE(オクターブ)の「V110SE」だ。

それではまず、スピーカーシステムから紹介しよう。

JBL「4312SE」

JBLは、第二次世界大戦後の1946年(昭和21年)に設立。2016年(平成28年)の昨年、創立70周年を迎えた。ここで紹介する「4312SE」(¥260,000/ペア・税抜)はその記念モデルである。

オーディオファンならば、1982年からスタートした同社のロングセラー「4312シリーズ」の一環としてイメージするだろう。本機4312SEについてJBLは、型番末尾の“SE=Special Edition”が意味する通り、あくまでも創立70周年記念の限定モデルであって発売期間は約1年間程度、という話を聞いている。とはいえ、“4312”を標榜する以上、4312シリーズの歴史の枠内にあることはいうまでもないが、内容に変化があって、特に使用されているウーファーは大きく異なる。

JBL「4312SE」

現行の「4312E」(¥90,000/1台・税抜)を含めて一連の4312シリーズのウーファーは、実はフルレンジ駆動されている。このために振動板は高域方向を伸張させるためにカーブドコーンが採用せれ、ミッドレンジとのクロスオーバー周波数は公称2kHzであった。

これに対して本機のウーファーは、上位機種の「4429」(¥260,000/1台・税抜)のそれと基本的に同種で、振動板形状はストレートコーンで、その表面だけを白色処理したユニットが採用されている。これによって、本機のクロスオーバーはぐんと低い640Hzに設定され本格的な3ウェイ構成になっている点に大きな違いがある。当然ネットワーク回路はLPF(ローパスフィルター)を含めた新回路となっていることはいうまでもない。従来からの4312シリーズと本機の大きな違いがここにある。

4312SEに搭載されたウーファーユニット

一方、ミッドレンジとトゥイーターは現行と同一だ。キャビネットは前面ダクトのバスレフ方式でブックシェルフ型。寸法比などは現行と大きく変わらないが7.1kgほど重い。出力音圧レベルは3dB(2.38V・1m)低い。つまり、能率は現行4312Eの半分ということだ。入力は2端子である。本格的な3ウェイ化だから4端子としてバイワイヤリング対応としても面白かったのではないか? と個人的には思っている。

聴こえは歴代の4312シリーズの中で、最も抵抗感なくクラシックを楽しめるモデルになっており、結果的に広い音楽ジャンルに対応する。こうした本機の聴こえの新しい方向性は大きな進化といえるだろう。鳴りっぷりも良好だから、能率の低下についてほとんど意識することはあるまい。そこで提案だが、出来栄えのよさを考慮すると、1年間の限定発売ではなく現行の4312Eと並行、もしくは代替モデルとして永続的な発売を考慮してはどうだろうか。その際、入力は前述したように4端子方式が説得力を持つ。

なおご承知とは思うが、昨年末の韓国サムスン電子によるハーマンインターナショナル買収には驚いた。今後“ハーマン”は、サムスン電子の独立子会社となるわけだが、JBL、マークレビンソン、AKGなど、数多くの世界有数のブランドを有しているだけに今後の推移を見守って行きたい。

次に紹介するのは、数多い真空管アンプメーカーの中でも独自のコンセプトを訴求しているOCTAVEの新製品である。

OCTAVE「V110SE」の「SE」は意味が異なる

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