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最上位はダイナミック×2基仕様

【レビュー】デノンの定番イヤホンが大幅進化。「AH-C820/C720/C620R」の音質をチェック

公開日 2016/09/07 11:45 山本 敦
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デノンの久々のイヤホン新製品にして、同社初のハイレゾ対応モデルとなる「AH-C820」「AH-C720」「AH-C620R」がついに発表された。この3機種のサウンドを山本敦氏がレポート。デノン独自の高音質化技術を用いた各モデルの特徴を分析した。

左から「AH-C820」「AH-C720」「AH-C620R」

ハイレゾ対応のダイナミック型イヤホン 3モデルが登場

デノンから、新製品となるイヤホン3機種が発表された(関連ニュース)。プレミアムクラスとしては2009年に発売された「AH-C710」(関連ニュース)以来で、待ち望んでいたファンも多いことだろう。

3機種はいずれも11.5mm口径のダイナミック型ドライバーを搭載し、それぞれデノンらしいサウンドを実現するための独自技術を採用する。一方で、各モデルが単なる価格レンジの違いにとどまらない個性を備えたことも特徴だ。

ラインナップは、上から「AH-C820」「AH-C720」「AH-C620R」と連なる3機種。いずれもカナル型イヤホンで、親しみやすいデザインに仕上げている。

インピーダンスは3機種共に16Ω。感度はAH-C820が115dBで、あとの2機種が110dBと、スマートフォンとの組み合わせでも鳴らしやすい仕様としている。この点は、AH-C710からの伝統を受け継いだといえる。

3機種ともに、再生周波数帯域の高音域側が40kHzに到達する“ハイレゾ対応”となる。もちろん、日本オーディオ協会が推奨するハイレゾロゴマークも取得しており、デノンとしては初のハイレゾイヤホンであることにも注目したい。

最上位「AH-C820」はダイナミックドライバー2基による独自技術を採用

各モデルが同じ11.5mm口径のダイナミック型ネオジウムドライバーユニットを搭載しているが、その使いこなしは三者三様であるところが面白い。特に最上位機であるAH-C820には「ダブルエアーコンプレッションドライバー」というユニークな技術が採用されている。

「AH-C820」

ダブルエアーコンプレッションドライバーは、2012年に発売されたデノンのイヤホン「AH-C300」(関連ニュース)において、世界初採用された高音質化技術だ。各々のハウジングに2基のドライバーユニットを向かい合わせに配置して2倍の振動板面積を作りだし、挟み込んだ空気をより力強く押し出すことによってリッチで濃い重低音を再生する。米国で特許も取得したこの技術が、C300よりもさらにコンパクトサイズのAH-C820で久しぶりに復活した格好だ。

さらに、2つのドライバーユニットに各々独立してケーブルを配線する「デュアルダイレクトケーブル」技術を用い、より正確でパワフルなドライバーの駆動を実現する。

デュアルダイレクトケーブル仕様のために、本体のケーブルはY字分岐のところから2本ずつイヤホンのハウジングに向かって伸びる。この構造はケーブルの強度を高める効果も狙っているが、だからといってケーブルの取り回しが不便になることもなく、しなやかに曲がるので装着感はとてもよい。

振動板の前後に発生する音圧のバランスを、ハウジングに小さな孔を設けて正確にコントロールする「アコースティックオプティマイザー」は、2006年発売のイヤホン「AH-C700」やヘッドホン「AH-D1000」など同社の過去の名機にも採用されてきた高音質化技術だ。

AH-C820のハウジングには「アコースティックオプティマイザー」のための小さな孔が設けられている

音のプロフェッショナルであるデノンならではの秘伝のチューニングがここに活きている。AH-C820には2基のドライバーユニットが乗っているため、ハウジングをよく見ると2つのアコースティック・ホールが配置されている。孔が2つあることから技術名称が「デュアルアコースティックオプティマイザー」となっているが、狙っている基本的な効果はシングルタイプと同じで、3機種それぞれに最適なチューニングに合わせ込んでいる。

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