海上忍のラズパイ・オーディオ通信(16)

ラズパイ・オーディオでDSDネイティブ再生、DSD 11.2MHzの世界を目指す

海上 忍

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2016年06月16日

ところで、USB-DACの選択には注意したい。RuneAudio v0.4-betaの場合、DoPならば大半のUSB-DACは支障なくDSDを再生できるが、ネイティブ再生の場合は動作可能なUSBインターフェイスが限られるのだ。

DSDネイティブ再生が可能かどうかは、Linuxカーネルv4.1系のソースコード「root/sound/usb/quirks.c」で定義されたUSBベンダーIDを基準に判定される。逆にいえば、利用しているカーネルで未定義の機種はDSDネイティブ再生できないということになる。なお、接続している機器のUSBベンダーIDは「lsusb」コマンドを実行すれば確認できる。

カーネルのソースコード(quirks.c)を見ると、DSDネイティブ再生が可能なUSB DACのベンダーIDを確認できる

lsusbコマンドを実行したところ、quirks.cで定義されている機器のベンダーID(0x20b1、0x3008)がDevice 0005として検出されていた

さらに、MPDの設定ファイルも変更が必要だ。初期設定の状態ではDoPでの再生となるため、nanoなどのテキストエディタで「/etc/mpd.conf」を開き、audio_outputの欄に「dsd_native "yes"」と「dsd_native_type "2"」を書きくわえねばならない。

nanoなどのテキストエディタで「/etc/mpd.conf」を編集し、DSDネイティブ再生に必要なオプションを書きくわえる

MPDのバージョンを確認し(mpd -V)、「Music Player Daemon 0.19.XX-dsd」と表示されればDSDネイティブ再生に対応しているとわかる

これで、Raspberry PiでDSDネイティブ再生が可能になる。「iFi Audio micro iDSD」で試したところ、DSD 2.8MHzやDSD 5.6MHzはもちろん、DSD 11.2MHzもスムーズに再生できた。ALSAの動作状況がリアルタイムに反映されるシステム領域(/proc/asoundディレクトリ以下)も確認したが、DSD 11.2MHz再生時はフォーマットが「DSD_U32_BE」、サンプリングレートが「352800」と表示されているので間違いない。

USB DACの出力フォーマットに「DSD_U32_BE」と表示されているので、DSDネイティブ再生していると判断できる

ここまでで「DSD 11.2MHzの再生は面倒」と感じた向きも多いことだろうが、ひとつ朗報がある。実はPCM 768kHzの再生に対応したUSB DACであれば、DoPでもDSD 11.2MHzは再生可能なのだ。今回のテスト機に利用した「iFi Audio micro iDSD」もPCM 768kHzに対応しているので、苦労してDSDネイティブ再生環境を整えなくてもDSD 11.2MHzは再生できる。実際、DoPを再生できるように設定しているVolumio 1.55とVolumio 2 RC1では、「iFi Audio micro iDSD」を接続するだけでDSD 11.2MHzを再生できてしまった。ネイティブ再生に拘らず『DSD 11.2MHzの再生こそが目的』という場合は、DoPという選択肢を思い出してほしい。

同じ曲をVolumio 2 RC1(DSD再生はDoPのみ、ネイティブ再生は非対応)で再生したところ、あっさり再生できてしまった。それはUSB DACがPCM 768kHzに対応しているため、DoPでもDSD 11.2MHzを再生できるからだ

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