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海上忍のラズパイ・オーディオ通信(11)

システム更新でラズパイ・オーディオの音質が向上?「Volumio 2」の開発版を試す(前編)

2016/02/29 海上 忍
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忘れられがちだが、ソフトウェアが変われば音も変わる、少なくとも変わる可能性はある。ラズパイ・オーディオも、システムを更新すれば音が(いい方向へ)変わるはず……その鍵を握ると考えられるVolumio開発版を利用し、どのように変わるかを見てみよう。

連載目次
<第1回>
5,000円の手のひらコンピュータ「Raspberry Pi」で自作オーディオを始めよう!
<第2回>
Raspberry Piで自作する“ラズパイ・オーディオ”。音質をあのメーカーに聴いてもらった!
<第3回>
“ラズパイ・オーディオ” の音質を高めよう! 「クロックダウン」で再生を追い込む
<第4回>
“ラズパイ・オーディオ”をフルデジタルアンプ「DDFA」にI2S入力! 鮮烈な音に驚愕した
<第5回>
“音質も変わる? “ラズパイ・オーディオ” のデコーダーをカスタマイズ!
<第6回>
ラズパイは動画再生もイケる!ラズパイらしいYouTube再生アプローチ
<第7回>
ラズパイ・オーディオでアップサンプリング! CD音源を変換して高音質再生
<第8回>
あの高音質ストリーミングはラズパイオーディオで聴けるのか?
<第9回>
ラズパイ・オーディオのクライアントアプリを変えて外観や操作性をイメチェン!
<第10回>
ラズパイ・オーディオで音楽CDのダイレクト再生に挑戦!果たして使い物になるか?


■ソフトウェアを更新することの意味

Raspberry Pi

ソフトウェアの更新により“音が変わる”といえば、直接ハードウェアを駆動するソフトウェア(ドライバ)の改良が典型例だが、システムコアと再生アプリをつなぐアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)もそうだ。Windowsでいえば、WASAPIに比べレイテンシの低いASIOのほうが有利であり、MacやiOSデバイスのオーディオ再生環境もCore Audioの低レイテンシ性と完成度の高さに依存するなど、APIが果たす役割は大きい。

Linuxも基本的な構造は変わらない。システムコアであるカーネルは低レイテンシのもの(ex. リアルタイムカーネル)のほうが望ましいし、サウンドライブラリ(≒ALSA)も改良が施された最新バージョンのほうが有利だ。全体の傾向としては、最新のカーネルを収録したLinuxディストリビューションのほうがオーディオ再生に有利……とは言わないまでも、不利な点や不具合が解消されている可能性は高い。

当連載がいうところのラズパイ・オーディオは、「Volumio」というLinuxディストリビューションの利用を前提としているが、そもそもVolumioは「Raspbian」というLinuxディストリビューションに「MPD」を加えるなどしてオーディオ再生に特化させたもの。カーネルやサウンドライブラリはRaspbianを基礎としており、今後の開発もRaspbianベースで進められることが暗黙の了解だ。

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