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【連載】角田郁雄のオーディオSUPREME

【レビュー】感性に訴えるCHORD「DAVE」のサウンド。独自技術とその効果を分析する

公開日 2016/03/28 11:00 角田郁雄
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11.2MHzDSD再生では、千葉史絵の『Rougequeue(ルージュク)』(e-onkyo)を聴いた。ピアノの響板の響きは格別に豊かで、倍音が実に美しい。ベースも実に柔らかで、木質感たっぷり。シンバルには繊細な響きが付加され、ドラムスは、叩いた瞬間の生々しいアタックを鮮明にする。聴いていると、デジタル再生というより、一番生演奏のように思えてくるところが、実に凄い。DSDの繊細さ、柔らかさ、倍音の豊かさを存分に味あわせてくれる。この音を聴けば、11.2MHzDSDにもきっとチャレンジしたくなるだろう。

DELA「N1Z」との組み合わせでの試聴も行った

スピーカーシステムにはVIVID Audio「GIYA G3」を組み合わせた

今回、Audirvana PlusをインストールしたMacBook Proとバッファローのオーディオ用NAS「N1Z」の両方を使用した。N1Zでは、まだ11.2MHzDSDには対応していないものの、ネットワークプレーヤーのようにiPadで選曲、再生できることに好感を持った。音質で考えると、MacよりN1Zの方がS/Nが良く、空間と弱音の再現性がより高いという体験ができたこともお知らせしておきたい。

終わりに

私はこれまでDAC64Mk2、QBD76HDSDを愛用してきた。最近ではHugo、Mojoも楽しんでいる。聴きなれたCD、ハイレゾを再生するたびに惚れ込むのは、卓越した技術に裏打ちされた、生演奏に一歩も二歩も近くような音楽のリアリティだ。例えば、トライアングルの生の音を思い出して欲しい。強く叩けば、“ジャラジャラ、ジャーン”という鮮やかな響きが聴け、強い響きと微細な響きが混じり合っていることが分かるはず。そして、その響きの余韻は、自然に美しく減衰し、やがて消える。この自然な音の階調を見るような音の再現性に近づけようとすることが、CHORDのデジタル技術の素晴らしいところだ。私には音響心理学の詳細は分からない。しかし、DAC64Mk2から最新のDAVEの技術と音質を探っていくと、人の感性に訴えかける自然な音の表現を実感できるし、音楽を聴く満足感ゆえに、もう一枚アルバムを聴こうという気持ちにさせられる。

そう、DAVEは、コレクションを聴く楽しみを、明らかに倍加してくれる。そして、所有の喜びまでも感じさせてくれる。私のところにも、もうすぐ購入したものが届く。ぜひ読者の皆さんも、このDAVEのデザイン、技術、音にふれて欲しい。




【筆者プロフィール】
角田郁雄
北海道札幌市生まれ。父の影響を受け、オーディオに興味を持つ。セールスエンジニア的な仕事を経験したので、物の原理や技術を追求してしまうタイプ。オーディオブランドの音、背景にある技術、デザインの魅力を若い世代にも伝えたいと執筆活動を始める。



〜編集部より〜
いままで聴いたことのないようなリアルな音。単純だけれど、そういう表現が一番しっくり気がする。DAVEとVIVID Audio「GIYA G3」の演奏においては、オーディオの存在はもはや消え、空間にあるのは音楽そのものだった。それなのに各機器の個性は強く感じるというのもまた不思議な体験。高解像度かつ生々しく、でもいつまででも聴いていたい音というのも、なかなか味わったことのない感覚だった。(編集部:小澤)

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