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<山本敦のAV進化論 第84回>

ソニーの“グラスサウンドスピーカー”と“超短焦点小型プロジェクター”で生活はどう変わる? 自宅で「Life Space UX」を体験

公開日 2016/02/10 12:27 山本敦
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今回は「Xperia Z5 Premium」にペアリングしてLDACによる接続環境で音質を確かめた。まさしく演奏者の姿を浮かび上がらせるような生々しさが漂うサウンド。非常に解像感が高く、クリアな澄み切った空間が描かれる。クラシックギターのトレモロは、ひとつひとつの音が踊り沸き立つ瞬間が見えてくるほどに新鮮で、音楽の深淵にまで気持ちがぐいぐいと引きこまれるような体験だった。


「SongPal」アプリのトップ画面

ダイアル状のUIで明るさを調整する
本体内蔵のバッテリーは4基を直列接続として、計12V以上の電圧を確保している。昇圧回路を使わずに、バッテリーからアンプへ直接電力を送り込むことで力強いサウンドを鳴らす。

例えばボーカルは声の繊細なニュアンスを的確に捉えて、輪郭もくっきりとシャープに描写する。女性ボーカルは口元の動きが艶っぽく何とも言えず官能的だ。ロックやEDMのサウンドをパワフルに響かせる安定感はまさにサイズを超越している。

■Life Space UXで映像と音楽による感動を再認識

Life Space UXシリーズはその画質や音質だけにでなく、設置した空間の変化、あるいは感性が揺さぶられるような新しい体験にも着目しながら評価すべき製品であると言える。筆者はシリーズが発表された直後にイベントの展示などで体験したことはあったのだが、今回改めて二つの製品を自宅で使ってみて、シリーズの真価を認識したように思う。

“ポータブル短焦点プロジェクター”「LSPX-P1」はわが家の狭い6畳の寝室を巨大な映画館のスクリーンや水族館の水槽に変えてしまった。YouTubeの4Kチャンネルに公開されている宇宙空間の映像をPC経由で再生した時の迫力もひとしおだった。

“グラスサウンドスピーカー”「LSPX-S1」の灯りひとつで音楽を楽しんでいたら、中学生の頃に部屋を暗くして父のアナログプレーヤーでレコードを聴きまくっていた懐かしい感覚が蘇ってきた。映像や音楽をゆっくりと、時間を忘れて楽しむ、そして心が癒されるという本質的な喜びをLife Space UXシリーズが呼び覚ましてくれたように思う。

本シリーズをソニーのスマート家電やIoTの先駆け的なコンセプト商品と捉える向きもあるようだ。最初は筆者もそこに興味を持って二つの製品を試し始めたが、今回体験する機会を得て考えを改めた。おそらくソニーは映像や音楽によるエンターテインメントに対して、もう一度真っ向勝負を挑んできたのではないだろうか。

でも残念ながらその本質的な価値は、イベントや販売店の特設展示スペース的な非日常の空間で、限られた時間内に体験するだけでは伝わりにくいと思う。できることならば自宅をはじめとした、より日常的な空間の在り方が、劇的に変化する体験が提供できればLife Space UXの真意はより多くのポテンシャルユーザーに伝わるだろう。大胆に貸出キャンペーンなどを展開するのも一つの手ではないだろうか。

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