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Wi-Fi/Bluetoothに対応した第4世代機

Wave Radioの系譜を継ぐ最新一体型オーディオ − ボーズ「Wave SoundTouch IV」を聴く

公開日 2015/12/14 15:04 高橋 敦
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■“元々がラジオ機であること”を実感させる、声の帯域の心地よさ

元々の出自がラジオ機であることは、このシリーズにとって大きな意味を持つ。そう感じさせる音だ。ラジオから聞こえてくる人の話し声が、地上波でもradiko等でのネット聴取でも、しなやかで肉声の厚みがあり心地よい。音楽にしてもボーカルの気持ちのよさは格別だ。

推測だが、ラジオ放送の音を心地よく聴かせるための音作りが、圧縮ストリーミングのネット放送でも功を奏し、「音楽であろうがCDであろうが、それが人の声であればやはり気持ちよい」というこの音質を生み出したのではないだろうか。


それがBluetoothとの相性の良さにもつながっている。僕はこのモデルで、CDとBluetoothを聴き分けられる自信はない。ラジオノイズだろうがデジタル圧縮ノイズだろうが、嫌な音を巧く丸め込んでくれることは、ボーズサウンドの美点だと思う。この点はBluetoothヘッドホンでもそうで、ボーズ+Bluetoothは全般的に好印象だ。

ボーズサウンドということで言えば、現在のボーズサウンドは一般的な帯域バランスに整えられているが、このモデルは本体ユニットの基本設計が伝統的なものであるからか、旧来のボーズサウンドを色濃く受け継いでいる。低音はかなりふくよかだ。それが声の肉声的な厚み、柔らかく弾むベースによる余裕のあるドライブ感などを生み出している。

僕としては、すでにそれは様式美なのであえて崩すべきではないと思うのだが、このモデルには「BASS」の量感を「NORMAL」「REDUCED」から選択できる設定も用意されている。「低音が響きすぎる場合や、ラジオ放送の男性アナウンスが聴き取りづらい時などに便利」というこの機能、人の声の低音も音楽再生時のベースも、若干厚みが薄れる傾向がある。デジタル処理で音質を整えているので、音楽モードとラジオモードを分け、それぞれの調整をもっと最適化し、再生ソースや再生アプリに合わせて、任意でも自動でも切り替えられると、さらに実用的になるだろう。

いずれにせよこの低音感はボーズならでは、このモデルならではの魅力だ。これをよしとする方こそ、このモデルを選ぶべきだ。最近多い、解像感重視のサウンドとは少し方向性が異なるが、だからこそ時代を問わず、この音にハマる方がいるのは間違いない。

歴史ある定番オーディオアイテムは時代にどう寄り添っていくべきか。この新しい「Wave」はその回答のひとつを示している。伝統を崩さず最新も受け入れるというのがその答えだ。

(高橋 敦)

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