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エントリーながら2機種ともアトモス/DTS:X対応

デノンのAVアンプ入門機、選ぶならどっち? 超ハイC/P「X1200W」と高音質モデル「X2200W」を比較

2015/10/07 大橋伸太郎
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デノンのAVアンプ「AVR-X2200W」と「AVR-X1200W」は、それぞれエントリーモデルながらドルビーアトモス/DTS:Xに対応する。では、ほぼ同等の機能性を誇る両者のサウンドについては、どのような特徴や差があるのだろうか。大橋伸太郎が映画/音楽ソースで検証しつつ、各ユーザー像に最適なモデルを探った。

AVR-X2200W(上)とAVR-X1200W(下)

■エントリーからアトモス/DTS:X対応を果たした今期デノンのAVアンプ

デノンは昨期ドルビーアトモス対応アンプを他社に先駆けて発売し、オブジェクトオーディオ導入への牽引役となった。2年目の今年、同社がテーマとしたのがドルビーアトモス/DTS:Xに対応したAVアンプのフルラインナップ化だった。

昨年モデルでは、15万円のミドルクラス機(AVR-X4100W)からのドルビーアトモス対応だったが、今期はエントリーモデル「AVR-X1200W」、スタンダードモデル「AVR-X2200W」もドルビーアトモス対応を果たした。さらに両機は、DTS:Xにまで無償アップデードで対応する。オブジェクトオーディオのリーディングメーカーたる同社の意欲が伝わってくるではないか。

「AVR-X2200W」¥85,000(税抜)

「SVR-X1200W」¥57,500(税抜)

AVR-X2200WとAVR-X1200Wは、前者が85,000円、後者が57,500円(いずれも税抜)だが、アトモス/DTS:X対応を含めた機能面ではほぼ同等と言える性能を持つ。HDMI入力数こそ前者が8、後者が6と異なるが、基本的にこの2モデルのどちらかを選ぶかの決めてとなるのはその音質ということになるはず。今回はこの2機種がそれぞれどのようなサウンドクオリティーを持つのか、検証していきたい。

機能面では両機はほぼ同等。X2200Wは音質パーツなど物量で差を付ける

AVR-X2200WとAVR-X1200Wは、どちらも7.2ch構成。出力は前者が95W/ch、後者が80W/chとなるが、使用するデバイスなどその構成については共通する部分も多い。デノンの今期AVアンプは全4機種で構成され、上級セグメントのAVR-X4200WとX7200WAも同様に共通する部分を持つ。つまり10万円を境に2つのグループがあり、X2200WとX1200Wとは兄弟機ながらこのクラスの強敵同士というわけだ。

AVR-X2200Wの背面端子部

AVR-X1200Wの背面端子部

前述のとおり両モデルがアトモス/DTS:Xに対応しているが、いずれも新開発の32bitクアッドコアDSP(1基)を実装する。AVR-X7200WA/X4100Wの場合、アナログデバイセズのDSP4基を搭載するが、本機は1基でほぼ同等の処理力を有するという。このDSPにより、トップスピーカー(トップ/ハイト/イネーブルド)をセッティングすれば5.1.2のアトモス再生を即楽しめる。

AVR-X2200WのDSP部。AVR-X1200Wも同様にDSP1基で各処理をまかなう

アトモス再生については、2年目らしいアイデアが盛り込まれている。イネーブルドスピーカーを使用する場合、今年は天井までの距離を入力すれば三角関数を使い、反射を含む視聴位置に到達する時間を正確に反映する。5.1.2構成の両機の場合、グラウンドレベル5.1chに5パターンのトップスピーカー(フロントハイト、トップフロント、トップミドル、フロントイネーブルド、サラウンドイネーブルド)を組み合わせることが可能で、本機を購入したユーザーはGUIのグラフィックスを見ながらゲームにエントリーする感覚でアサインを選択できる。

Ultra HD Blu-rayのテイクオフを目前に、映像入出力も進化。背面のHDMI端子がHDCP2.2/4K60p/36bit(4:4:4)映像信号に対応した。前面HDMI端子は4K60p/4:2:0/24bitまでの対応だが、これは上位機種も同じだ。

搭載DACはバー・ブラウンの192kHz/24bitタイプ。ポストフィルターにはJRC製品を使用する。サウンド品位を決めるパーツは吟味されており、ボリュームはX2200Wはローム製、X1200WはJRC製を採用する。

両機共パワー部は全7chディスクリートで、4Ωのスピーカーシステム接続に対応する。昨年モデルで見直したパワーアンプ出力段の回路保護構成を引き継ぎ、パワートランジスターの温度変化をリアルタイムにモニターする回路を追加。これにより電流リミッター回路を排除し、ピーク電流が大幅に強化。アンプの瞬時電流供給能力を向上させたことで、スピーカーシステムの駆動能力が向上した。

AVR-X2200Wのアンプ部

AVR-X1200Wのアンプ部

なお、これはAVR-X2200Wだけだが、パワーアンプ初段にX7200WA/X4100Wで採用の差動回路ならではのデュアルトランジスタを投入。低域の安定感と微小信号の再現性を高めた。また両機共に倍速スイッチング電源を新たに採用、スイッチングノイズを前世代機の2倍にあたる70kHz〜133kHz帯に追いやり、音質への干渉を排した。これはX7200WAで採用実績のある技術で、今回からエントリー機にまで搭載されることになった。

次ページまずはエントリーモデル「AVR-X1200W」のサウンドをチェック

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