HOME > レビュー > デノンの旗艦AVアンプ「AVR-X7200WA」で理想のドルビーアトモス配置を探る

ハイトスピーカー利用からミニマムな構成まで徹底検証

デノンの旗艦AVアンプ「AVR-X7200WA」で理想のドルビーアトモス配置を探る

2015/05/28 山之内 正
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
家庭用のドルビーアトモスが登場してから、8ヶ月ほどの月日が経つ。昨年は各社からドルビーアトモス対応するAVアンプなど対応機器が登場したが、昨年の時点では新方式の本当の価値を見きわめるにはまだ早いと感じていた。よって、できるだけ多くの作品を見たり、さまざまな環境で実際の効果を検証することの必要を感じてきた。そして先月4月には、DTSによる新たなオブジェクトベースの新サラウンドフォーマット「DTS:X」も正式発表された(関連ニュース)。

DENON「AVR-X7200WA」 ¥355,000(税抜)

5月下旬に発売となったデノンのAVアンプ「AVR-X7200WA」(関連ニュース)は、昨年登場したデノンのドルビーアトモス対応フラグシップAVアンプ「AVR-X7200W」(関連ニュース)を、HDCP2.2規格に対応させたモデルで、DTS:Xへのアップデート対応も予定している。なお、HDCP2.2以外の仕様、および音質面については、AVR-X7200WAとAVR-X7200Wはまったく同等だ。

家庭用サラウンドはこれまで様々な進化を重ねてきたので、シアタールームのスピーカーの数、位置、高さなどの条件は千差万別だ。もちろん部屋の環境にもいろいろなバリエーションがある。特に、最先端のサラウンド再生に取り組んできた熱心な映画ファンなら、サラウンドバックチャンネルや前後のハイトチャンネルをいち早く導入した人も少なくない。それらのスピーカー群をドルビーアトモスでどこまで活用できるのか、このAVR-X7200WAを使って検証していくことが、今回の記事のテーマである。

検証を行ったデノンの試聴室の様子。フロント3chおよびリア2chのスピーカーには、B&W「801D」を用いている

■スピーカーを自在にアサインできる

AVR-X7200WAは、ドルビーアトモスへの対応を果たすにあたって、柔軟なスピーカーアサイン機能をサポートした。スピーカーの割り当て機能を充実させ、カスタム設定で出力する信号を自在にアサインできるのだ。たとえばフロントハイトスピーカーをトップフロントとして活用したり、高めの位置に設置したサラウンドバックスピーカーをリアハイトとして使うなど、既存のサラウンドスピーカーの有効な活用ができる。また、コンテンツのサラウンドフォーマットに合わせてスピーカーのアサインを自動的に変更できるため、スピーカーケーブルのつなぎ替えや設定の変更など、面倒な手間がかからない良さもある。トップスピーカーとして割り当てる組み合わせは別表の通りで、今回はドルビーアトモスをオフにした場合を含む計9種類の組み合わせを試聴する。

上図はデノンの試聴室に設置されたスピーカーを示したもの。サラウンド/サラウンドバックを含む7.1chシステムに加えて、フロント/リアのハイトスピーカー合計4ch、フロント/ミドル/リアのトップスピーカー合計6chという合計17.1chシステムを切り替えながら、各スピーカーの組み合わせごとの音質とアトモスの効果を探った

効果の確認にはドルビーアトモス対応作品『トランセンデンス』を使用した(開始1:00:32 - 1:05:00を試聴)。今回は大音圧の派手なエフェクトではなく、環境音と台詞を中心に自然な演出のなかで立体感を引き出せる場面を選んだ。街なかで撒かれたチラシが舞う音、人工知能として復活したウィルの声が高い位置から拡散する様子など、複数の項目で効果を確認する。

試聴室後部に設置されたリアハイトスピーカー

こちらはサラウンドバックスピーカー


サラウンドスピーカーは試聴位置のほぼ真横に設置されている

Dolby Atmos収録Blu-ray『トランセンデンス』

なお、今回の試聴はデノンの試聴室にて行った。天井に埋め込まれた6つのトップスピーカーの高さは2.9mを確保してフロントスピーカーの延長上に設置。ドルビーの推奨通りの配置である。なお、11ch再生時の外部アンプにはデノンのプリメインアンプ「PMA-1500RE」を使用した。

次ページ9種類ものDolby Atmos配置を徹底試聴

1 2 3 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE