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プレーヤー/プリメイン/真空管アンプで3本勝負

創業90周年。ラックスマン”歴史的銘機”と最新モデルが対決

2015/08/19 大橋伸太郎
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2015年で創業90周年を迎えるラックスマンは、これまで数々の銘機を世に送り出してきた。だからこそ、過去の製品を今に至るまで長く愛用しているユーザーが多い。一方で、同社のコンポーネントは常に進化し、最新製品ではそのサウンドを更新し続けている。今回、90周年特別企画としてラックスマンの「過去の銘機」と「最新モデル」の対決試聴が実現。何が進化し、一方で何が変わらず受け継がれてきたのか。大橋伸太郎氏が分析していく。

今回のラックスマン新旧製品対決で試聴した各製品。CDプレーヤー「D-500X’s」(上段左)、SACDプレーヤー「D-06u」(上段右)、純A級プリメインアンプ「L-570」(中段左)と「L-590AXII」(中段右)、真空管プリメインアンプ「SQ38FD」(下段左)と「LX-32u」(下段右)

INDEX
>>デジタルプレーヤー新旧対決「D-500X’s」vs「D-06u」
>>ソリッドステート・アンプ新旧対決「L-570」vs「L-590AXII」
>>真空管アンプ新旧対決「SQ38FD」vs「LX-32u」

ラックスマンが日本を代表する“ハイエンド”である理由

日本において“ハイエンドのピュアオーディオメーカー”と言い切れるブランドはほんの数社しかないと筆者は考える。その条件について考えてみると、以下の3つがまず挙げられるのではないだろうか。

一、量を追わず質の追求を専らとしていること。
一、音作りの一貫性と音楽性への考察があること。
一、流行に左右されない独創的な技術の視点、蓄積があること。


そして、最後にもう1つ付け加えたい。

一、エンドユーザーの信頼感、一体感を大事にしていること。

オーディオには、新製品を買い換えていく「フロー」としての側面と、製品を末長く愛用するという「ストック」としての側面がある。映像(AV)の分野ではストックの要素は無きに等しい。三管式プロジェクターがよい例で、映像フォーマットが変わった時、技術の粋を尽した数百万円級のカリスマ製品が粗大ゴミになったのはご承知の通りだ。一方でレコードプレーヤーや真空管アンプは、多くのユーザーが数十年前の製品を未だ現役で愛用している。こうした点からも、映像分野は行政が決定する放送規格次第なのに対して、オーディオ文化の主導権はエンドユーザーにあると言える。

だからこそ、100万円を越える高額製品を製造しているメーカーが、製品発売から10年を経たら「代替パーツがもうありません」「修理ができません」では困るのである。ピュアオーディオ、あるいはハイエンドを名乗れるか否かは、製品の価格で決まるのではない。

そういう意味でも、ラックスマンは日本でピュアオーディオの名に相応しい数少ないブランドである。しかしラックスマンは決して高額製品ばかり手がけているわけではない。エントリーゾーンの製品もあり、看板のアンプはセパレート型より一体型のプリメインアンプが主と言える。しかし、ラックスマンのオーディオにはカリスマ性がある。そして過去の製品が未だに高い評価のもと、多くのユーザーに愛用されている。扱う製品の価格帯は広くても“ハイエンド”と呼ぶことに躊躇しない、オーディオの「ストック」の部分を代表するメーカーがラックスマンなのだ。

過去の銘機と現行の最新モデルのサウンドをもし比較したら?

そのラックスマンが、今年90周年を迎える。このタイミングで、最新製品と往年のカリスマ的銘機の新旧比較試聴を行うことは、過去製品を現在も愛用するユーザーにとっても、USB-DACなどからラックスマンを知った方にとっても意味があると考える。何より、過去の銘機と最新製品を同一環境で聴いたときにどのような発見があるのか、興味は尽きない。取り上げた製品カテゴリーは、ディスクプレーヤー、ソリッドステートアンプ、管球式アンプの3つだ。試聴はラックスマン本社の試聴室にて行った。

今回の試聴にご参加いただいたラックスマン株式会社 代表取締役社長 土井和幸氏。真空管アンプ対決では、自身が設計を手がけた「LX-32u」について解説していただいた

比較試聴にあたって断っておくが、オーディオも工業製品の一種。最新技術とノウハウの蓄積が反映された最新製品が、様々な側面において過去の製品より優位なのは一般論だ。今回の対決は、旧製品が現行製品に負けずファンに愛用され輝いているラックスマンだからこそ成立する、常識破りの企画といっていい。新旧製品を同じ俎上に上げることで、ピュアオーディオとは何か、本当のハイエンドたる条件とは何かが見えてくることに期待したい。

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