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アンプの地力からDolby Atmos再生まで徹底チェック

デノンのDolby Atmos対応AVアンプ「AVR-X4100W」を大橋伸太郎がレビュー

2014/10/14 大橋伸太郎
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Dolby Atmos(ドルビーアトモス)に対応したデノンのミドルクラスAVアンプ「AVR-X4100W」を大橋伸太郎が徹底試聴。基本となるサラウンドアンプとして再生能力から、注目のDolby Atmos再生、ハイレゾ音源の再生に至るまで、本機の実力を分析していく。

「AVR-X4100W」 ¥150,000(税抜)

Dolby Atmosに対応した7ch対応AVアンプ

今期のオーディオ・ビジュアルの台風の目は、言うまでもなくドルビーアトモスである。ドルビーサラウンド(ドルビーステレオの民生用名称)に始まった家庭用サラウンドは、大雑把に整理すると、ステアリングロジック(方向性強調回路)を搭載することでセンターチャンネルを追加したドルビープロロジック(1989年)、デジタルディスクリート化を果たしたドルビーデジタルとDTS(1995年)、ロスレス音声採用のHDオーディオ(2007年)と発展進化してきた。

今回のドルビーアトモスホームはそれらに連なる大変革である。いや、従来ずっと変わらなかったチャンネルベースのサラウンドからオブジェクトベースへの着想の転換という点で、過去最大の変化かもしれない。今回はレポートはアトモスがテーマではないので深入りはしないが、私たちはかつてないサラウンドの変化のまっただ中にいるのである。

2014年夏に開催されたDolby Atmosの技術説明会においても、AVR-X4100WでDolby Atmos再生のデモが行われた。この際はステレオパワーアンプを追加しての5.1.4でシステムを構成

全社のAVアンプが順次アトモス対応機への代替を行っているが、実は開発面で最も先行したのがデノンであった。アトモスホーム対応アンプのドルビーラボラトリーによる最初の“Certification(証明書)”はデノンが初。米国内ドルビーの開発もデノンの北米向け上位機種の試作機で行っていたと聞く。アトモスホーム対応でリードしたデノンの日本向け初対応機がAVR-X4100Wである。試聴機会に恵まれたので、早速インプレッションをお届けしたいと思う。

7chアンプを内蔵。パワーアンプ追加で最大9.2ch再生に対応

北米市場向きには9ch構成の製品も用意されるが、本機は7ch構成のサラウンドアンプである。昨年のAVR-X4000をべースにしていることもあり、本体価格は据え置き。アトモスホームで最もベーシックな5・1・2構成に、内蔵パワーアンプで対応する。プリは9.2ch出力を備えるので、外部ステレオアンプを接続して5・1・4あるいは7・2・2構成まで拡張が可能だ。パワーアンプはアナログディスクリート構成で定格出力は125W×7(8Ω)、プリ部は先述のように9.2ch出力を備える。デノンのAVアンプ設計思想であるD.D.S.C.-HDを本機も受け継ぎ、マルチチャンネル音声を24bit精度に拡張する「AL24 Processing Plus」、対応BDプレーヤーとの間でジッターフリー伝送を行う「Denon Link HD」などデノンの基幹技術を搭載する。

2chパワーアンプを追加すれば「5.1.4」「7.1.2」のDolby Atmos再生も可能

AVR-X4100の背面端子部

最大の注目点はDSPで、AVR-X4000で2基だったDSPを4基へ増設した。もちろんDolby Atmosの処理量が膨大なためである。同社が継続して使い続けるアナログデバイセズの32bit浮動小数点チップ「SHARC」を、開発当初は3基使用する予定だった。しかし実際にDolby Atmosエンコードのソースで試験すると3基では厳しいため、4基使用へ変更した。そのうち2基はアトモス処理に特化して動作する。

合計4基のDSPを搭載することでDolby Atmosを余すことなく再生する

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