HOME > レビュー > WiFi対応でビデオカメラが変わる ー JVC“Everio”新モデル「VX/EXシリーズ」を試す

スマホやタブレットと簡単連携

WiFi対応でビデオカメラが変わる ー JVC“Everio”新モデル「VX/EXシリーズ」を試す

公開日 2012/02/28 10:27 レビュー/会田 肇
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

両シリーズともにハイレベルな画質 − 手ブレ補正機能も安定感が高い

実はVX770の画質はかなりレベルが高い。一般的に本体のサイズと画質は相反する関係にあるとされてきたが、本機に限ればその一般論は当てはまらないのだ。そのワケはいくつかあるが、もっとも好影響を与えているのがカメラ部の撮影性能の高さだ。VXシリーズはF1.2のかなり明るいレンズを搭載し、組み合わせる撮像素子も332万総画素の裏面照射型CMOSセンサーだ。

動画は全てAVCHDによるフルHD撮影に対応している

VX770のメニュー。高品位な撮影をカメラがフルサポートしてくれる「インテリジェントオート」のほか、マニュアル設定にも対応している

撮影された映像はレンズ収差が少なく自然な仕上がりが得られており、広角端での歪みもかなり抑えられている感じだ。発色性も高く、色合いが少ない冬場の風景でも明るくクリーンな印象で再現される。ズームレンズは光学10倍にとどまるが、超解像技術を組み合わせることでフルHD画質のまま18倍相当にまで拡大が可能だ。

撮影時の本体質量はわずか235gしかないため、最初は手ブレがどれだけ発生するか気にしながらハンドリングを試みたが、VX770はこのコンパクトなサイズにもかかわらず、画質に影響を与えない高精度な光学手ブレ補正を採用している。歩き撮りでもブレを抑えるアクティブモードにも対応している。この効果はかなり大きく、アクティブモードにすると、細かなブレがウソのようにスッと消えていくのだ。

EX270では光学40倍のズーム撮影が行える

手ブレ補正機能ON時にはアイコンが点灯。光学式の手ブレ補正を採用し、ワイド端での撮影時には電子式のアクティブ補正も併用できる

一方のEX270とEX250は、光学40倍もの超高倍率ズームが最大の魅力。撮像素子のスペックがVX770と異なるので、上位機種と画質の差は生まれるものの、顔認識機能に加えてペット検出機能や、笑顔の度合いに応じて自動的に静止画を撮る機能を備えるなど、機能は上級機並み。WiFi機能を活かしながら、映像を手軽に送信できる身近なビデオカメラに仕上がっている手応えを得た。

犬猫のペットの顔を自動検出する「ペットショット」機能も搭載

ズームマイク機能にも対応


WiFi対応がデジタルビデオカメラをもっと楽しくしてくれる、手応えアリ

ビデオカメラの遠隔操作や、撮影した映像を遠く離れた友人などにメールで気軽に送信できる機能など、新しいEverioが実現した、ビデオカメラの新しいライフスタイルは驚くほど広がりを持っていた。最初の設定が多少戸惑うかもしれないが、設定が完了すればワイヤレスで動画や静止画を軽快に楽しめる価値は大きいと感じた。

今やスマートフォンが携帯電話市場の半数を超える時代。ビデオカメラとの連携も日ごとに強まっていくのは確実だ。これをきっかけにビデオカメラの使い方が大きく変わっていくかもしれない。


ビデオカメラの持ち味を活かした動画や静止画を、スマートフォンで再生して楽しめるのもWiFi搭載機ならではの魅力だ
カメラをスマホで遠隔操作したり、動画をビデオカメラからダイレクトに送信できるなど、VX770およびEX270/EX250が実現した機能はこれまでのビデオカメラにはなかった、使う人をワクワクさせてくれる魅力に溢れていた。

今や携帯電話はフィーチャーフォンからスマートフォンへ流行が移り変わりつつあり、電話だけでなく、インターネットや様々なマルチメディアコンテンツを視聴したり、動画や写真についてはユーザー自身がつくることもできるスマートフォンが、これから多くの人々にとってより身近な存在になっていくのは確実だ。

でも、だからといって動画や静止画の撮影を楽しむための機器がスマートフォンだけで事足りるとは思わない。一方のビデオカメラには、スマートフォンには備わっていない高倍率ズームレンズや、より高画質な撮影を楽しむための様々な技術が搭載されており、ビデオカメラでしか切り取ることのできない世界を残すことができるデバイスだ。新しい“Everio”のWiFi機能を中心とした様々な機能をハンドリングしてみて、スマートフォンとビデオカメラが互いに連携しながら、双方のメリットを活かすことで、今後も新しいライフスタイルが生まれてくるであろうことを確信した次第だ。



【GZ-VX770/SPEC】
●動画記録方式:AVCHD規格準拠 MPEG-4 AVC/H.264 ●音声:Dolby Digital 2ch ●撮像素子:1/4.1型 裏面照射CMOS センサー 332万画素 ●レンズ:光学10倍 JVC HDレンズ ●最低被写体照度:1ルクス ●液晶モニター:16:9ワイドクリアブライトIII 3.0型(23万ドット) ●記録メディア:32GB 内蔵メモリー、SDXC/SDHC/SDカード ●消費電力:約2.9W ●外形寸法:36W×57H×115.5Dmm(バッテリー含む) ●質量:約215g(バッテリー含む)



【GZ-EX270/SPEC】
●動画記録方式:AVCHD規格準拠 MPEG-4 AVC/H.264 ●音声:Dolby Digital 2ch ●撮像素子:1/5.8型 裏面照射CMOS センサー 150万画素 ●レンズ:光学40倍 コニカミノルタHDレンズ ●最低被写体照度:3ルクス ●液晶モニター:16:9ワイドクリアブライトIII 3.0型(23万ドット) ●記録メディア:32GB 内蔵メモリー、SDXC/SDHC/SDカード ●消費電力:約2.3W ●外形寸法:51W×55H×117Dmm(バッテリー含む) ●質量:約195g(バッテリー含む)



会田 肇 プロフィール
1956年、茨城県生まれ。明治大学政治経済学部卒。自動車雑誌編集者を経てフリーとなる。クルマ、スポーツ、旅行などアウトドアな趣味を多く持ち、アウトドア系オーディオビジュアルライターとしての第一人者。カー雑誌などでカーナビをはじめとするカーAVを中心とした取材、執筆に従事する一方で、ビデオカメラやデジタルカメラの批評活動を積極的に続けている。たえず複数台のビデオカメラを利用し、そのフォーマット遍歴はベータ、8ミリ、VHS-C、ハイエイト、DVC…と購入、使いこなしたモデルは数え切れない。


【製品に関する問い合わせ先】
JVCケンウッド カスタマーサポートセンター
TEL/0120-2727-87

前へ 1 2 3

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: