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上質な音楽リスニングのカタチ

PCオーディオの新スタンダード ー TEAC「Reference01」「S-300NEO」を聴く

2011/12/21 レビュー/岩井 喬
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最強の“ハイエンド・オーディオ入門機”「A-H01」の魅力

Reference 01シリーズのUSB-DAC内蔵プリメインアンプとして登場した「A-H01」はシリーズ通して共通のボディサイズとなっていることもあり、パッと見ると「UD-H01」と良く似ている。こちらはメインボリュームが大きいこと、サンプリング周波数表示のためのLEDがないことが大きく違うが、「UD-H01」と同じ192kHz/24bit入力USB-DACと最大40W×2(4Ω)のデジタルパワーアンプも内蔵しているので、内部の実装密度はそれ以上となっており、機能面と音質面、両面からの充実を図った小型プリメインアンプとなっているのだ。

USB-DAC内蔵プリメインアンプ「A-H01」

メインのアンプ回路にはBang & Olufsen ICEPower製クラスDアンプ、ICEPower 50ASX2-SEを採用。ローパスフィルター前の増幅されたPWM信号と入力段の信号を比較演算し、高精度なPWM信号を得ることができる独自のフィードバック技術HCOM(Hybrid Feedback Controlled Oscillating Modulator)回路や、ローパスフィルター後の出力段から入力段へフィードバックし、元のアナログ波形と比較しながら最適なフィルター補正値を導き出すことで、出力インピーダンスも低く抑えることができるという「MECC(Multivariable Enhanced Cascade Control)回路」も搭載したことで、コンパクトな筺体でもパワフルでスピーディーなスピーカー駆動を可能としている。

DACチップはバーブラウン製「PCM5102」を搭載、非同期のアシンクロナスモードに対応したことで、ジッターも低減している。AWG8対応スピーカーターミナルやIEC電源コネクター、アルミノブ採用電動ボリュームなど、小さいながらも本格的な装備を身につけており、サブウーファー用のプリ出力やヘッドホン出力も搭載。入力はアナログRCAが2系統、デジタルはUSBと同軸、光が各1系統ずつ装備されている。

背面にはデジタルオーディオ入力としてUSBとSPDIFを搭載。スピーカー端子は金メッキ処理の大型スクリュー式端子を採用する。電源ケーブルは着脱式

A-H01の筐体内部。クラスDアンプを採用し、ファンレス設計を実現。基板設計も信号経路をシンプル化するなど、徹底して高音質再生を追求している


フロントパネルはアルミ押し出し材を採用し、堅牢な金属製シャーシと組み合わせている

ボリュームノブはアルミ製。モータードライブ式を採用する

スピーカーをつなげば、すぐに高品位な音楽リスニングが楽しめる

ICEPower製パワーデバイスはAVアンプではおなじみであるが、「A-H01」では“Reference 01”シリーズの筺体に収めることができる高音質な素子という点からの選択であったそうだ。すでに何かしらのスピーカーをお持ちの方やこれからオーディオを始めたいという方にとって、なかなか新たな投資はハードルが高いところだが、コンパクトでパワーも十分、DACも内蔵したアンプという本機であれば、最小限の出費でPCからのハイレゾ音源もダイレクトに楽しめるようになる。

用意したスピーカーがかなり小型で低音が足りないということであれば、サブウーファーを追加して2.1chシステムの中核としても機能するうえ、スピーカー端子や電源入力端子もオーディオグレードの高音質ケーブルが取り付けできる仕様となっているので、将来的にアクセサリーでチューンナップも可能だ。USB-DAC部の精度や音質のクオリティでは「UD-H01」に分があるものの、スピーカー環境において限られた予算で192kHz/24bitのUSB入力を実現したいということであれば、本機を用いた方が最短経路で信号を受け渡しできるDAC内蔵アンプであるため、C/Pそのものは非常に高いといえよう。


「A-H01」+「S-300NEO」のセットでハイレゾ音源を聴く

「UD-H01」でのセッションと同じように、「A-H01」も「S-300NEO」と組み合わせ、PCとダイレクトにUSB接続を行ったサウンドを確認してみようと思う。「RZ-1」との価格差を考えるとややコンパクトな音場とはなるが、ゆったりとした穏やかな低域の押し出しと、厚みのある音像による落ち着いたサウンドは本機との組み合わせの方がより良く感じられる。

ティアックの試聴室にて、A-H01とS-300NEOの組み合わせを試聴

192kHz/24bitのハイレゾ音源では音の芯がやや細身となるものの、「S-300NEO」の持つコアキシャルなユニットの点音源再現力によって音像定位がピンフォーカスに決まり、音場の状況を良く理解できる。低域はふんわりと柔らかく、ボトムは厚みがあるので耳馴染みの良いサウンド傾向となっている。ドラムの鳴りっぷりの良さ、弦楽器の倍音の豊かさもバランス良く、リヴァーブの残響感も素直に聴かせてくれた。

『Suara』におけるピアノはマイルドでウォームな響きを持っており、女性ボーカルの口元は間近に感じられ、ウェットで艶やかさに満ちている。クラシックは耳当たり良い重厚なハーモニーが広がり、低域も伸びやか。ジャズのウッドベースはむっちりとした弾力の胴鳴りがリッチに感じられる。ロックのボーカルはハスキーな輪郭が際立つが、ディストーションギターのボトムは太く、倍音のリッチなきらめきが小気味よく響いてきた。


iPhone/iPod/iPadに保存した音楽も「DS-H01」で高音質に再生

まだ開発段階であったため、今回試聴はできなかったが、iPod/iPad接続が可能なデジタルドッキングステーション「DS-H01」についても機能性などを最後に紹介しておきたい。「DS-H01」はDACチップにバーブラウン製「PCM1796」を内蔵したドッグシステムで、iPodやiPadのデジタル伝送に対応している。デジタル出力は光と同軸が1系統ずつ設けられ、アナログライン出力やS端子及びコンポジットビデオ出力も用意されている。付属リモコンによって「UD-H01」や「A-H01」の操作も可能で、USBケーブルでPCと接続すればiTunesとのリンクが可能となる(USB-DACとしては使用できない)。

iPodデジタルドッキングステーション「DS-H01」

ドック部はiPadを差した時の安定感やデザイン性を統一させており、ある意味iPhoneやiPod touchを到着したときよりも収まりが良い。「UD-H01」や「A-H01」と重ねて使用すれば、他にはないスタイリッシュなタブレット・デジタルオーディオ環境が構築できるだろう。


オーディオを“これから始めたい人”&“もう一度始めたい人”に最適なシリーズが誕生した

“Reference 01”シリーズと「S-300NEO」のサウンドは、サイズを超えた安定度とバランスを兼ね備えたものであった。「UD-H01」や「A-H01」によって192kHz/24bitのハイレゾサウンドを手軽に楽しめるようになったと実感できたとともに、単なる懐古主義ではない、コンパクトながら充実した点音源再生を実現させてくれる「S-300NEO」との組み合わせによる充実した空間表現を楽しむことができた。

これから新たにスピーカー環境を用意しようと考えている方はもちろん、今改めてオーディオセットを組んでみようと考えている方々にとって、これほどリーズナブルで魅力的な組み合わせは他に見当たらない。ヘッドホンユーザーであれば「UD-H01」だけではなく、ぜひ頭内定位に近い定位感の鋭さを持つ「A-H01」と「S-300NEO」の組み合わせによるサウンドを確認して、スピーカー再生の魅力を実感していただきたいと思う。



A-H01 ¥OPEN
【SPEC】●DAコンバーター:192kHz/32bit(バーブラウン5102) ●USB入力:High-speed ●USB転送モード:アシンクロナス(非同期)・モード ●最大出力:40W×2 ●周波数特性:10Hz〜80kHz ●SN比:100dB ●歪率:0.0015% ●入力データサンプリング周波数:192/176.4/96/88.2/48/44.1/32kHz ●入力データビット長:24/16bit ●USB転送モード:アシンクロナス・モード(非同期モード) ●デジタル音声入力:USB/光/同軸デジタル ●アナログ音声入力:RCA×2 ●スピーカー出力端子:バナナプラグ ●サブウーファー出力:RCA ●ヘッドホン出力:ステレオ標準プラグ ●消費電力:34W ●外形寸法:215W×61H×258Dmm ●質量:1.6kg
>>ティアック「A-H01」製品情報ページ
>>製品データベース「A-H01」


DS-H01 ¥OPEN
【SPEC】●DAコンバーター:192kHz/24bit(バーブラウンPCM1796)●周波数特性:20Hz〜20kHz ●SN比:90dB ●歪率:0.05% ●デジタル音声出力:同軸/光デジタル ●ビデオ出力:コンポジット/S映像 ●消費電力:15W ●外形寸法:215W×70H×225Dmm ●質量:1.1kg
>>ティアック「DS-H01」製品情報ページ
>>製品データベース「DS-H01」



【問い合わせ先】
ティアック(株) お客様相談室
TEL/0570-000-701


岩井 喬 プロフィール
プロ・民生オーディオ、録音・SR、ゲーム・アニメ製作現場の取材も多数。小学生の頃から始めた電子工作からオーディオへの興味を抱き、管球アンプの自作も始める。 JOURNEY、TOTO、ASIA、Chicago、ビリー・ジョエルといった80年代ロック・ポップスをこよなく愛している。

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