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「モバイルPCを次の次元に進化させた」

進化したソニー“VAIO”ノートの最上位機「Zシリーズ」の実力は? − 一条真人が徹底レビュー

公開日 2011/08/05 19:30 一条真人
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「ヒューラン(男)」というキャラで、解像度LOW(1,280×720)の場合、RADEONのスコア1990程度に対して、内蔵GPUは650程度だった。約3倍の差がついたことになる。ちなみに1990というのはぎりぎりプレイができるというレベルだ。

Radeon駆動時のエクスペリエンスインデックス

内蔵インテルGPU駆動時のエクスペリエンスインデックス

ベンチマークのように負荷が高いことをしていると、当然、発熱が高まりファンの回転が高まる。しばしば、シューンという音を発していたが、その音はあまり気に障らず、快適性が損なわれないように音がチューニングされている。このあたりの開発には手間と金がかかっているはずだ。

Radeon駆動時のFFXIVベンチマーク結果の一例

しかし、RADEONの威力はそれだけではない。表示クオリティにおいても差が見られた。内蔵GPUに対して、ドッキングステーションのRADEONの画質が明らかに高い。

動画の再生時などにも十分にそれを感じることができる。RADEONのほうがYouTube動画などを再生する場合でも、発色がよく、精細感が高く細部まで描写してくれる。この発色の良さはフォトレタッチをする場合などにも威力を発揮しそうだ。

なお、ドッキングステーションは光学ドライブを搭載しているので、搭載ドライブでDVDやブルーレイを再生する場合はRADEONで再生されることなる。ちなみにブルーレイ再生時のCPU負荷は10%以下で、余裕で再生できた。

また本体側の能力では、HDDではなくSSDを搭載したこともあり、ドライブアクセスが極めて高速な点にも注目したい。「QuickBoot」機能を利用しての起動時間は極めて短く、電源オンからデスクトップ画面表示まで数回の計測で16秒程度だった。普通に操作できるようになるまでは25〜30秒程度かかるが、通常のPCと比較すれば、極めて高速だ。

ブルーレイ再生はPowerDVDで処理させる

実際これだけ速いと、スタンバイを使わず、いちいち終了していても気にならない。なお、これらのタイムは店頭モデルのものであり、オーダーメイドでより高速なCPU、ドライブを選択すれば、より短縮されることだろう。

加えて、高速起動関連の機能では、電源オフ状態からWebブラウザ機能だけが起動できる「QuickWebアクセス」も搭載されている。これはキーボード上部のWebボタンで起動することができ、Webボタンで終了する。ボタンを押してからブラウザが起動するまでの時間は26秒ほどで、PC自体を普通に起動させるよりは短い時間で起動できる。ちょっとWebで天気予報などの情報を調べたいだけという場合に便利そうだ。

■自分好みにカスタマイズしての購入で店頭モデルよりも割安に

素晴らしい高性能を見せたZだが、使ってみると個人的にはやや不満な部分もある。やはり気になるのはドライブの容量で、128GBというのはやや少なすぎるように感じた。筆者のようにヘビーな使い方を求めるユーザーであれば、VAIOオーナーメイドでカスタムして、より大容量な256GBや512GBドライブを選択することをオススメしたい。

さらに言うと、Power Media Dockに関しても、DVDモデルでなくBDモデル付属へと選択できる。店頭モデルには必ずDVDドライブモデルが付属し、BDを使いたい場合はさらに別売で買い足すことになるので「ドックは2個もいらない」という人はこちらを利用したい。

また解像度の高さを求める方であれば、フルHD液晶を選択できるのが魅力的だろう。現時点では5,000円の違いなので、気軽に選べるのがいい。さらにノイズキャンセリングヘッドフォンも2,500円で選べる。

例えばCPUパワーはそこそこでいいなら、BDドライブ、Corei5-2410、メモリ8GB、フルHD液晶、256GBのSSDを搭載した構成で、23万円程度の価格になる。店頭モデルが実売25万円程度なので、お買い得感が高い。ZシリーズはVAIOオーダーメイドで購入するのが正解ではないかと思う。

メインPCのように使えるパワフルなモバイルというのがZシリーズのコンセプトだったと思うが、今回の新シリーズでは光学ドライブ搭載のPower Media Dockとの組み合わせで、その使用環境を「すべての環境においてZでカバーする」というものに変えてきた。

これはPCの進化が進めば必然とも言えるものだが、それをどう実現するかは、実は難しい課題である。それに対するソニーからの1つの回答が新Zなわけだが、そのプロデュースのセンスは素晴らしいものだと感じた。確実なターニングポイントと感じられる先進的なマシンだと言える。

<筆者プロフィール>
一条真人 Masahito Ichijyo
デジタルAV関連、コンピュータ関連などをおもに執筆するライター。PC開発を経て、パソコン雑誌「ハッカー」編集長、「PCプラスワン」編集長を経てフリーランスに。All Aboutの「DVD ・HDDレコーダー」ガイドも務める。趣味はジョギング、水泳、自転車、映画鑑賞など。

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