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旗艦機直系の技術を搭載したコンポと話題のiPodトランスポートをレビュー

オンキヨーの血統 − 「A-5VL/C-S5VL」と「ND-S1」を山之内正氏が聴く

公開日 2009/10/05 11:25 山之内 正
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「VL Digital」と「VLSC」。この単語に、オーディオ愛好家ならばピンとくる方が多いのではないだろうか。フラグシップ機向けに開発された正確なパルス幅変調方式「VL Digital」を搭載したプリメインアンプ「A-5VL」と、可聴帯域の信号波形のみに反応するフィルター回路「VLSC」と、192kHz/24bitにも対応するウォルフソンのDAC「WM8742」を搭載したCD/SACDプレーヤー「C-S5VL」は、手頃な価格ながら高品位な再生を実現するモデルとして注目を集めている。直販サイト「ONKYO DIRECT」のみの限定モデルとなるブラックモデルも登場した。こちらの2機に、いま話題のiPodやPCと親和性が高いデジタルメディアトランスポート「ND-S1」を組合せ。価格以上の存在感を持つシステムを、山之内 正氏が試聴した。


■スリムさと高音質を両立したオンキヨーのピュアオーディオ機
「A-5VL」と「C-S5VL」

背が高く奥行きが深いオーディオ機器は現代の生活スタイルに似合わない面があるため、スリムで使い勝手のいい製品が求められているが、コンパクト化は音質面で不利というのがこれまでの常識だった。

その常識を打ち破るべく開発されたのがオンキヨーの5VLシリーズだ。VLはベクターリニアの略で、CD・SACDプレーヤーC-S5VLでは優れた特性を持つ独自のフィルター回路として、さらにプリメインアンプA-5VLではデジタルアンプの信号変換部分に基幹技術として採用されている。同技術を核にしたデジタルアンプは巨大な回路を積まなくても安定した高出力を取り出せるので、高さ80mmのスリムな筐体とクオリティが無理なく共存できるわけだ。

A-5VLはプリメインアンプとしては珍しくデジタル入力を装備しているが、それによって音楽の楽しみ方が広がることに注目しておきたい。パソコンのデジタル音声出力をつなぐ用途に加え、iPodを音の良いデジタル接続で楽しむ目的にも合致する。オンキヨーが高音質トランスポートND-S1を発表したことによって、A-5VLにデジタル入力を搭載した意図が明確になったのだ。

ONKYO DIRECT限定ブラックモデル CD/SACDプレーヤー「C-S5VL(B)」製品データベース
ONKYO DIRECT限定ブラックモデル プリメインアンプ「A-5VL(B)」製品データベース
ONKYO DIRECT 製品特設サイト(リンクはこちら


■PC/iPodを使う音楽ファンにおすすめしたい高音質トランスポート「ND-S1」

iPod/PC用デジタルトランスポート「ND-S1(B)」製品データベース
ND-S1はiPodから高音質デジタル信号を取り出すことに加え、パソコンのUSB出力をA-5VLに送り出すDD(デジタル - デジタル)コンバーターとしても利用できるし、ND-S1を装着したままiPodとパソコンを同期させるモードも設けている。音源はほとんどHDDに保存してあり、パソコンとiPodがどちらも手放せない存在になっている音楽ファンは、ND-S1とA-5VLを導入することによって、再生環境が激変するはずだ。

今回試聴した3機種はいずれもブラック仕上げが施されており、高級感とともに、スリムな印象が際立っていた。ブラックモデルはONKYO DIRECTだけの限定販売なのだという。試聴時に組み合わせたD-312Eとのデザインの整合性も高く、美しいシステムが完成した。


質感の高いシステムを実現するONKYO DIRECT限定モデルのブラック(組み合わせスピーカー:ONKYO D-212EX


■クラスを超えた部品や機構を採用

接続のときに気付いたのだが、C-S5VLとA-5VLは入出力端子に金メッキを施した削り出しタイプを採用している。高精度で耐久性が高く、音質にも有利だが、このクラスの製品に搭載する例は少ないので目を引いたのである。クラスを感じさせないという意味では、C-S5VLに搭載されたクロックヒーティング機構も注目に値するし、A-5VLのツインモノラル構成も通常は高級機でおなじみの手法だ。

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