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最上位機「MDR-EX700SL」との比較試聴も敢行

ケースイが迫る!ソニーのインナーイヤー型デジタルNCヘッドホン「MDR-NC300D」を聴く

公開日 2009/06/19 19:12 鈴木桂水
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■MDR-NC33の再生能力をチェック〜前機種「MDR-NC22」からの進化は如何に?

次にテストしたのは低価格のアナログNCヘッドホン「MDR-NC33」だ。従来機の「MDR-NC22」の後継機にあたるが、同口径の13.5mmドライバーを搭載している。


カラーバリエーションがあるMDR-NC33。デザインも秀逸だ。単4電池を使用するバッテリー部分はかなりコンパクトになっている
日ごろ筆者はNC機能が必要な際にMDR-NC22を使っている。しかし、最近はもう一歩先の音質やNC機能を求め始めてきた頃だったので、今現在はかなり注目している製品のひとつだ。

MDR-NC22とMDR-NC33を聴き比べると、やはり新機種の方が驚くほど音質が向上しているのがわかった。サウンドから薄皮が一枚はがれ、輪郭がよりハッキリした印象だ。解像感もグッと増しており、「開戦前夜」ではギター、ベースの音がなまめかしく再生される。とくにリバーブの効果はMDR-NC33のほうがハッキリと感じられた。

この価格帯のヘッドホンにはオーディオテクニカの「ATH-ANC3」があるので、MDR-NC22とMDR-NC33、MDR-NC300Dと一緒に音質の傾向と機能を探ってみた。


今回テストしたアナログNCヘッドホン3機種のバッテリー部分。オーディオテクニカATH-ANC3(左)、MDR-NC33(中)、MDR-NC22(右)。ちなみにMDR-NC22は筆者の愛用品なのでボロボロだ

パキッとした音のATH-ANC3はメリハリのあるサウンドを楽しめる
テストしたのは地下鉄の車内と室内だ。NC効果はいずれの製品も同じレベルで高く、パソコンの冷却ファンや空調の音などはかなり軽減できる。地下鉄では“ゴー”っという走行音は軽減できるものの、MDR-NC300Dの方がやはり効果は高いと感じた。例えるならば、アナログNCヘッドホンはガラス窓1枚を閉めた感じで、デジタルNCは二重サッシを閉めたような効果である。それぞれ価格帯にも違いがあるので当たり前とも言えるのだが、静粛性を優先するならば、やはりデジタルNCヘッドホンを選ぶといいだろう。

アナログNC機を比較すると、MDR-NC33は音質のバランスが良かった。「運命の闘い」のオーケストラ、「開戦前夜」の楽器・ボーカルなど、多少のドンシャリ感はあるが、1万円クラスのヘッドホンとして十分なクオリティの再生力だ。これに比べるとMDR-NC22は音の輝き感が今ひとつで、比較すると不満が残ってしまった。ATH-ANC3は実に個性的で、ソリッドな音が楽しめる。解像感も高いので、からっとした音が好みならこの機種を試してみたい。


MDR-NC22(左)MDR-NC33(右)のヘッドホン部分。MDR-NC33のほうがかなりスタイリッシュになっている。MDR-NC22はNCウォークマンと同じ形状のヘッドホン部を使用する。このタイプは使っているとハウジングを囲むリング状のゴム部分が外れてくるのが難点だ。新型ではその不安はなさそうだ

MDR-NC22(左)のほうが開口部は大きい。MDR-NC33(右)は新型のイヤーピースが使用できる
最後にオーバーヘッドタイプのMDR-NC600Dだが、本機は前モデルのMDR-NC500Dのマイナーチェンジモデルで、本体色と付属ケースがコンパクトになった程度の違いしかない。インナーイヤータイプのモデルと比較すると本体が大きいので、旅行の際にはややかさばる感もあるが、現在発売されているNCヘッドホンの中ではトップクラスの静粛性と音質を備えている。もしオーバーヘッドタイプの装着感が好みならば、買っておいて損のない製品だ。

■音質・NC効果ともに確かな手応えアリ

今回ソニーから発売されたNCヘッドホンのラインアップを駆け足でチェックしてみた。音質については、単体で評価するよりも他のモデルと比較してみた方がわかりやすいと考え、簡単だが比較レビューも加えてみたのだが、参考になっただろうか。

今回のテストを終えてMDR-NC300Dの優位性を強く感じられた。ポケットにすっぽり入るサイズながら、オーバーヘッド型のMDR-NC600Dと同等のNC性能と高音質性能を備えている。

NCヘッドホンは飛行機や電車などでも適度なボリュームで音楽を楽しめるので、耳への負担も少ない。日常的にヘッドホンで音楽を楽しんでいるなら、ぜひチェックしておきたい製品だ。


鈴木桂水:筆者プロフィール
元産業用ロボットメーカーの開発、設計担当を経て、現在はAV機器とパソコン周辺機器を主に扱うフリーライター。テレビ番組表を日夜分析している自称「テレビ番組表アナリスト」でもある。ユーザーの視点と元エンジニアの直感を頼りに、使いこなし系のコラムを得意とする。そのほかAV機器の情報雑誌などで執筆中。

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