2009年10月26日
神山健治監督・特別インタビュー
ソニーの新技術「SBMV Extend」で更に美しく進化した「攻殻機動隊S.A.C」シリーズを観る
インタビュー&レビュー:鈴木桂水
「攻殻機動隊」のTVアニメシリーズ「攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX(S.A.C.)」のセカンドシリーズにあたる「攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG」がブルーレイボックスで発売される。こちらはソニーの新技術「SBMV Extend」を採用し、美しい映像を楽しめることでも注目のタイトルだ。今回は、本2作の監督を担当した神山健治氏に鈴木桂水氏がインタビュー。SBMV Extend採用作品となる「攻殻機動隊S.A.C. 2nd GIG」ブルーレイボックスの映像の印象、そして監督にとっての「攻殻機動隊S.A.C.」という作品についてうかがった。
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神山健治監督 |
背景や美術監督、演出などを務めながら押井守監督が主宰する「押井塾」に参加。「ミニパト」(2002年)で初監督を、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」(2002年)でテレビシリーズ初監督を務める。近作はテレビアニメ「東のエデン」(2009)。現在は「東のエデン 劇場版 I The King of Eden」(2009年11月28日公開)、「東のエデン 劇場版 II Paradise Lost」(2010年1月9日公開)の制作作業中。
■マスター由来のバンドノイズまで低減するソニーの新技術「SBMV Extend」
まずはじめに、本作が初の採用となるソニーの新技術「SBMV Extend」について説明したい。
その名前から分かるように、本技術は今年5月に発表された、映像の階調補完技術「Super Bit Mapping for Video(SBMV)」を進化させたものだ。
BDソフトでは映像信号を8ビットで記録しているため、10ビットで制作されたオリジナルコンテンツはBDソフト用にエンコードする際8ビットに変換する処理が行われる。そのため、映像に広いグラデーション領域がある場面などでは、エンコード処理後の映像に階調の変化点が等高線のようになって見えるカラーバンディングが発生することがあった。SBMVは、エンコード処理の際にSBMV処理を行うことで、オリジナルコンテンツのグラデーション感を保ちながらカラーバンディングを軽減することができる。しかしSBMVでは、マスターに既に存在していたバンドノイズには効果を発揮することができなかった。
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これまでのSBMVでは、マスター由来のバンドノイズを低減することまではできなかった | 新技術「SBMV Extend」は、SMIRTと呼ばれる処理も行うことにより、マスター由来のノイズも滑らかにすることができる |
そこでSBMV Extendは、新たに「SMIRT(スマート)」と呼ばれるスムージング処理を採用。この「SMIRT」は、ソニーのBDレコーダー(BDZ-EX200)に搭載された高画質回路「CREAS2plus」のスムージング(バンディング軽減)機能がベースとなっている。この処理によってまずマスターのバンドノイズ部を検出し、10bit信号を14bit相当の信号へ変換。その部分の信号レベルを滑らかにするデバンド処理を行う。そしてその後SBMV処理を行うという2段階構成とすることにより、さらに滑らかで高品位な映像を実現できるのが大きなポイントだ。なお疑似輪郭の境界を検出してバンディングを除去するため、輪郭線やディテール部分が甘くなってしまうことは殆どないという。
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SBMVの原理 | SBMV Extendの原理 |
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SBMV Extendをかける前の場面。明り取りから漏れる光がバンドノイズになってしまっている | SBMV Extendを適応した場面。バンドノイズの部分が滑らかになった |
「マスターのバンドノイズを低減すると言っても、オリジナルであるマスターをいじるのではありません。『SBMV Extend』は、エンコードで高画質化ができるのが特徴です」(ソニーPCL 滝沢氏)
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新技術について説明してくれたソニーPCL 滝沢氏(左)とソニー 廣田氏(右) |
通常こういった技術はプロ用から民生機搭載へ降りてくるのが普通だが、そもそも「SBMV」はソニーのBDレコーダー/プレーヤー(「BDZ-X100」など2008年9月発売モデル)に搭載された高画質回路「CREAS」で採用されたのが始まり。その効果にユーザーから高い評価が集まり、それを受けてプロ用に採用された。「SBMV Extend」も同様に新高画質回路「CREAS2plus」からプロ用に展開された技術である点も注目したいポイントだ。
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