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GPS機能の面白さも特筆モノ

【会田肇の熱血レビュー】“誰でも高画質”を目指したソニー「HDR-XR520V」は今春の本命モデルだ

公開日 2009/03/19 18:57 会田肇
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■手ブレ補正「アクティブモード」の効果は絶大

2つ目の、レベルアップした手ブレ補正機能。これも素晴らしい出来だ。今までは歩きながら撮影した場合、足をついたときにガツンガツンとした揺れが発生する。これが不自然な揺れとして映像に影響を与えてしまっていたわけだが、本機では手ブレ補正に「アクティブモード」を別に用意し、この揺れを極限まで抑えることに成功したのだ。

この効果は絶大で、歩きながらの映像でもその揺れがほとんど感じられない。プロの撮影現場ではこの揺れを防止するために「ステディカム」という特殊な器具を併用するが、本機での撮影では、それを使った場合と遜色ないほど、揺れが抑えられているのだ。テストでは歩きながら風景を何度も撮影してみたが、どこかフワッとした印象で揺れが抑えられ、画面がスムーズに移動していく。こんな感覚は今までのカメラでは絶対に得られなかった。

ソニーではこの機能の実現のために専用LSIまで開発して対応したとのことで、その効果には大きな自信を持っている。ただ、使い方として望遠側にズームアップしていくとその効果は得にくくなるので、できるだけ広角側で撮影することがオススメだ。また、ゆっくりとしたパンニングでも揺り戻しのような影響が残る。それらがどうしても気になるときは、手ブレ補正を「スタンダードモード」にして使うと良いだろう。

■DVD記録可能なビットレートを維持しながら最大限の高画質化を図った

次は3つ目となる画質である。ソニーが本機で重視したのは「誰もが使いこなせる」ビデオカメラとして、誰が撮影しても適正な画質が得られることだ。映像品質を司る映像エンジン「BIONZ」は基本的に従来からのものを踏襲。従来機よりもカメラ部分でのノイズが少なくなった分、全体としてクリア感が増している。しかもよく見ると、本機には逆光補正モードが用意されていない。代わりにBIONZには顔認識能の精度を向上させて、もっとも優先すべき被写体が適正露出となるように自動補正するアルゴリズムを搭載した。これにより、撮影条件を気にすることなく、誰もが高画質映像を撮影できるようにしたのだ。

動画撮影時(16:9)の広角端は43mm(35mm換算)とまずまず。細部の表現力はもう少し緻密さが欲しい気もするが、ハイビジョンらしい精細感は十分に伝わってきている

市場で売られていたカニ。ゆでられて赤味を増した微妙な色を忠実に表現できている。細部の状態や立体感も十分に伝わっており、色バランスも良好だ

ただ、気になるのは記録ビットレートが従来通り16Mbpsであること。そのため、最近になってライバル機が採用している24Mbpsの記録に比べると、精細感で物足りなさを感じてしまう。ただし、ソニーの「誰もが使いこなせる」というこだわりは、この仕様にも反映されている。

つまり、ビットレートを24Mbpsにすればより高精細な映像が得られるのはわかっていても、その代償として従来可能だったDVDへの記録は出来なくなる。これによってユーザーが混乱することを避けたのだ。DVDは、コスト的にも普及状況からしても、現在もっとも使いやすい記録メディアの一つ。そのメディアが使える状況を維持するためにも、あえて記録ビットレートを“従来通り"とし、その中で最大限の高画質化を図ったのだ。

モニターを開いたときの左側面。メモリスティックDuoのスロットがあるほか、GPSレシーバーのON/OFF、完全フルオートモードにワンタッチで切り替えられる「EASY」ボタン、「ワンタッチディスク」ボタンもある

とはいえ、本機が見せる映像はハイビジョンカメラとして十分に満足がいくものだ。輪郭も自然でクリアであることは冒頭で述べた通り。発色も上々で、花畑の映像を撮影すると緑の中に美しい黄色の花びらが咲きほこった。レンズのボケを上手に組み合わせれば、家庭用ビデオとは思えない美しい映像が撮影できる。また、日射しが強いビーチで撮影してもフルオートのままで人物を正確に捉えたし、太陽を正面に受けてしまった時も、さほど破綻しないで映像を収録することができた。まさに「誰もが気軽に使いこなせるビデオカメラ」の実力がここに示されたと言えるだろう。

ロサンゼルス南部の海岸沿いから市内方面を撮影。日陰となる部分から日があたっている部分まで破綻することなく上手に露出をバランスさせている

ロサンゼルス郊外の公園で出会ったリス。近づいても逃げることなく落ち着いて撮影できた。毛並みを精細に表現できているため、その柔らかさが手に取るように伝わってくる

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