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After NAB Showレポート。“4K/HDR”は制作環境でもポイントに

公開日 2017/06/02 16:07 編集部:押野 由宇
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世界最大の放送・映像業界のイベントとしてラスベガスで開催されたNAB Show2017(4月22日〜27日)。そこで出展された最新機器やサービスを、日本の放送局や映像制作プロダクションなどに向けて展開するのが、After NAB Showだ。6月1日から2日に秋葉原にて開催された。

今回のAfter NAB Showで出展されたラインナップのなかでも、やはりトピックになっていたのは4K HDRへの対応だ。撮影から映像・音声信号の伝送、ディスプレイ表示といったさまざまなフローで、4K HDRがキーとなっている。

キヤノンは先日発表されたばかりの4K 60P/50P撮影に対応した業務用カメラ“CINEMA EOS SYSTEM”「EOS C200」シリーズなどを展示(関連ニュース)。

「EOS C200」

EOS C200は830,000円前後(本体のみ)と、4K HDRコンテンツを低予算で制作したいという層をターゲットとした価格設定のモデル。会場では同モデルで撮影された映像のデモが表示され、多くの関係者から注目を集めた。

4K撮影が可能な一眼レフカメラ「EOS 5D MarIV」なども展示

撮影された映像データの編集環境も多数のメーカーが用意。Tooのブースでは4K/60fpsの映像を編集するときでもコマ落ちすることなく処理が行えるエディット&リアルタイムプレビューシステムを展示。メジャーアップデートされたAdobe Creative CloudとBlackmagicdesign、HPのワークステーションを用いたデモを行った。

AdobeはアップデートされたCreative Cloudを展示

4K映像の編集がスムーズに行えることをデモするTooのブース

電子計測器を扱うリーダー電子は、HDRの映像信号をピクチャー表示や波形表示によって評価するための機能を展示。モニター「LV5333」のオプションとして用意されたもので、ピクチャー表示ではSDR領域をモノクロ、HDR領域を輝度に応じて着色して表示させることで、HDR領域の輝度分布を確認することが可能。

HDR領域の輝度分布を着色して表示

波形表示ではHDRのスケールによりHDR領域を含めたレベル管理を行うことができ、映像の輝度レベルがピークを超えていないかなどを視覚的に確認できる。

テクノロジー・ジョイントは、同社が取り扱うSpin Digitalのソフトウェアによる8K HDRデモで出展。PCベースでHEVC/H.265の8K/4K HDR映像や22.2chマルチチャンネルオーディオをサポートすることが特徴で、エンコーダやデコーダー、メディアプレーヤーなどが用意されている。

Spin Digitalのソフトは本年のNHK技研公開でも使用されるなど(関連ニュース)、PCベースでの高精細映像デモでは見かける機会の多いものだが、現状はプロ向けの扱いとなっており、価格もそれに準じた設定となっているとのこと。ただ、例えば他社の再生ソフトにデコーダー機能を搭載するなど、コンシューマーでの展開についても検討の可能性はあるようだ。

Spin Digitalのソフトを用いた8K映像をパナソニックの8Kパネルでデモ

ワークステーションを扱うサードウェーブデジノスなどのブースでは、4K映像を扱えるスペックを擁したモデルを展示。マウスコンピューターはVR体験コーナーも設置しており、VR再生・制作できるスペックについて、「予算としてPCに20万円程度を掛けられると再生および簡単な制作に不満はないレベルで、もっと踏み込んだ制作を行うのであればもう少し上のスペックが求められる」と説明する。

サードウェーブデジノスで展示されたワークステーションはraytrekブランドのもの

マウスコンピューターのブースではVRの体験も可能

EIZOは映像制作市場に向けたHDRモニター「ColorEdge PROMINENCE」を出展関連ニュース)。最大1000cd/m2の輝度と液晶モニターとして世界初のコントラスト比100万:1を実現したモデルで、解像度も4Kに対応。

After NAB Showで国内初展示となるHDRモニター「ColorEdge PROMINENCE」

EIZO独自のHDR表示技術で、従来のHDRリファレンスモニターが抱える課題を解決したとしており、配信・映画製作向けの「PQ方式」、放送向けの「HLG方式」に両対応。同社は4Kモニター「CG318-4K」をHDR(PQ方式)表示対応にアップグレードする有償サービスを実施するなどHDR対応を強化している。

現状はあくまでプロ向けのラインナップであり、一般的なコンシューマーへの販売は想定していないというが、ゲーミングモニターなどコンシューマーモデルへの技術の落とし込みにも期待したい。

信号を伝送するケーブルについては、エーディテクノが国産プラスチック光ファイバーを採用したHDMIケーブル「AHO-xxN」および「AHT-xxB」を参考展示。AHO-xxNがHDMI 2.0、AHT-xxBがHDMI 1.4に対応したモデルとなる。

光ファイバーを採用したHDMIケーブル「AHO-xxN」

素材に用いるプラスチック光ファイバーは国産。優れた対折性と高屈曲性、最長100mまでUSB給電なしで伝送できる点が特徴となる。AHO-xxNは最大18Gbpsに対応し、4K/60p 4:4:4までの伝送が可能で、HDRにも対応。夏頃発売予定で、取り扱いはカメラ用品を扱う専門店になるという。

また大阪工機はInneosブランドの光エクステンダー「SH51-03A」を展示。HDMIから変換して1本の光ファイバーケーブルで伝送、またHDMIに変換する仕組みで、300m以上の距離であっても4K/60p 4:4:4の映像を劣化させることなく伝送することができるという。

光エクステンダー「SH51-03A」

HDMI - 光ファイバーケーブル - HDMIで信号を伝送

同梱される光ファイバーケーブルはゆるく結ぶ程度まで折り曲げても伝送に影響はなく、同社では製品をホームシアターでも活用できるとしている。発売は8月頃を予定。発売方法については検討を進めているとのこと。

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