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パナソニック小塚氏、ソニー篠原氏に訊く

<CES>4K/HDRテレビの認定基準“Ultra HD プレミアム”登場の背景とは?UHDAのキーマンに直撃!

公開日 2016/01/12 12:59 折原 一也
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■消費者実験を通じて制定された「Ultra HD プレミアム」のスペック

「Ultra HD プレミアム」の規格のユニークなところは、ロゴの取得に際し、テレビのスペックに対して、4K(3,840×2,160ドット)の他に10bit映像信号の入力対応、BT.2020信号への対応、及び表示性能としてP3(DCI)色空間の90%のカバーが必須となっている部分。特にHDR関連のスペックとして「最高輝度1,000nits以上、かつ黒輝度0.05nits以下」(LCDを想定)「最高輝度540nits以上、かつ黒輝度0.0005nits以下」(OLEDを想定)という基準が明確に設けられ、世界に複数ある検証機関におけるテストが必須となっているところだ。

「Ultra HD プレミアム」の配信・コンテンツへの要求スペック

HDRスペックのうち前者の1,000nitsという値は、ちょうど「Ultra HD Blu-ray」の推奨値と同じ、更にBVM-X300のスペックとも揃っているが、実は単純にその理由だけで決められた訳でもない。

小塚氏は「Ultra HD プレミアムのロゴについては、最初はサムスンさんの提案で、ハイレゾロゴのようにプロモーションを目的として基準もゆるく考えていました。それが、先にお話したようなスタジオ側の意向もありまして、厳しく制定しようということになり、現在のスペック基準が設けられました」と説明する。

「HDR関連の“最高輝度1,000nits以上、かつ黒輝度0.05nits以下”というスペックを決めるにあたっては、実際に消費者600人以上を集めて、どちらが綺麗か・変わらないか映像を見てもらい、どれくらいのnits数が必要かを検証をしました。各メーカーの談合で決まった訳ではない、これが一番大事なことなんです。

もう一つが“最高輝度540nits以上、かつ黒輝度0.0005nits以下”というスペックです。1,000nitsのスペックはOLEDには合わないですし、HDRは輝度だけではなくコントラストレシオが大事であることもあり、このスペックもかなりの議論を経て策定されています。

その上で“最高輝度1,000nits以上、かつ黒輝度0.05nits以下”のLCDのモニターと、“最高輝度540nits以上、かつ黒輝度0.0005nits以下”のOLEDのモニターを並べて、どちらのHDRが綺麗かを消費者テストで観ていただきました。その実験の結果、同じくらいの結果が得られたスペックに決めています。我々メーカーはコンペティターなので、スタジオの方にも参加していただいて、更に消費者テストの実験もした上でこうした基準になっています」
(小塚氏)

その他の10bit入力対応や、DCI-P3に対して90%以上というスペックは、基本的にはUltra HD Blu-rayの推奨値をほとんど継承した上で、技術的なコストに見合うかどうかも含めた上で制定されている。篠原氏によれば「私達はBDAで2年前に喧々諤々の議論をしていまして、その際のUltra HD Blu-rayのマンダトリースペックを出せることが基準になっています」とのことで、4K/HDRのメインソースであるUltra HD Blu-rayと親和性の高い業界統一の基準となったわけだ。

Ultra HD プレミアムの基準は現在は1つのみ。よりリーズナブルな”スタンダード”などの規格も議論はあったものの、現在は制定する予定はないという。現時点では、薄型テレビに対してUltra HD Blu-rayの再生・表示への対応を表す「CTA HDR Compatible」(信号側としてHDR10とも呼ばれる)が、実質的にその役割を果たすことになる。また、“THX”のように審査時期による改訂も、現時点では話しあわれないとのことだ。

「Ultra HD プレミアム」を通じてカバーするHDRのエコシステム

なお、映像配信業者としてUltra HD Blu-rayには参加せず、UHD Allianceのみに参加するNetflixは、過去にHDRについて議論が尽くされたBDAに参加していないこともあり、当初は技術的な意見の食い違いもあったようだ。しかし、UHD Allianceでは各社意見の一致しない内容は、スタジオ、テレビメーカー、技術メーカー、更に消費者も参加した実験で決定するという形をとり、最後には理解しあえたとのことだ。

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