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通期業績見通しも下方修正

ソニー、1Q決算を発表 − テレビは収益改善、PS Vitaは販売見通しを大幅下方修正

公開日 2012/08/02 16:09 ファイル・ウェブ編集部
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以下、質疑応答の模様をお届けする。

Q.今後の世界市況について、どのような見方をしているのか。

A.基本的には今後の景気動向は厳しく見ている。為替については、特に我々の場合はユーロ円の影響が大きいが、仮に現在のレベルが続いたとしても株主に対しては黒字を維持したいと考えている。

Q.オリンパスに対するテルモの発表があったが、これをどう捉えているか。

A.様々な報道がされているが、すべて当社が発表したものではなく、コメントは差し控えたい。ただ、メディカル事業は大変重要な事業であり、中長期的に育てていきたいと考えている。

Q.オリンピック商戦について、各社ともあまり効果がないという声も聞こえるがソニーではどう感じているか。

A.現時点ではあまり効果がないと思っている。

Q.オリンピック商戦について、個別の製品がどうだったかなど、もう少し具体的に聞きたい。

A.五輪の効果と欧州経済の影響をどう区別するかなどが非常に難しい。あえて言うと、放送機器など業務用ビジネスは割と手堅いビジネスができている。

Q.4月時点で平井社長から1万人の人員削減計画が発表された。業績見通しの予想下方修正を受け、さらに踏み込むような可能性はあるのか。また、1万人の内訳はどうなっているのか。

A.一部は構造改革費用を積んでグローバルに人員減を行う。そして、事業譲渡によってグループ外にいく人員も含まれている。先日発表した、ケミカルプロダクツ事業の譲渡で3,000人くらいがグループ外の所属になる。残り7000人が構造改革費用を積んでの人員減というイメージだ。内訳について具体的にお知らせはできないが、国内ではケミカルプロダクツ事業の譲渡分も含んで3,000人から4,000人くらいだ。進捗具合は、常に様々な取り組みを行っており、年度内にきちっと達成しようと取り組んでいる。

Q.ミラーレスカメラについて聞きたい。現在シェアが非常に高いと思うがキヤノンも参入してくる。このインパクトをどう見ているか。

A.キヤノンさんに限らず、様々なメーカーさんが参入しているが、市場自体も拡大している。日本では前年比で5割弱くらいまで拡大している。ソニーが持っている様々な要素が強みとして発揮できると思っているので、利益もきっちり伸ばしていきたい。

Q.営業利益予想の下方修正について、為替の影響と販売減の内訳をもっと詳しく教えて欲しい。

A.為替はユーロが一番影響大きいが、その他の通貨も含めて500億円くらいの影響がある。販売減については、コスト改善などによってオフセットされている。これらを考慮して現在の予想になっている。

Q.震災の影響がなければ業績ももう少し良くなっていたのかなと思うが、業績悪化の背景をもう少し詳しく知りたい。欧州を中心とした景気悪化が主な要因なのか、それともPS Vitaやデジカメがスマートフォンの影響を受けたことなどがあるのか。

A.実は昨年の1Qは数字が良かった。震災の影響もすぐに出てくるわけではないので、むしろ昨年の1Qは例年よりは少し良い年だった。為替のインパクトだけで営業利益の時点で211億円くらいの影響があった。

5月時点の想定より今回の数字が良かったのは、テレビの損益改善が想定よりも進んだことがプラス要因。ただし為替の影響や市況もあるので2Q以降は慎重に見ている。

Q.円高について聞きたい。自動車業界だと国内生産維持が不可能なレベルだと言われている。円高に際して生産拠点の見直しは検討しているのか。開発拠点も含めて海外へ移す流れもあるがどう考えているか。

A.生産拠点の海外移転については、今までかなりやってきているので、現状でさらに拠点を移すといった具体的なものはない。内部でやったほうが付加価値が取れるものもある。例えばイメージセンサーはソニーにとって非常に重要なモノだが、今は九州でほとんどやっており、800億円の追加投資も行う。日本でやったほうが付加価値がとれるものは日本でやるし、海外のほうがコストが安くなるものは海外で…と、そういうことは常に考えているが、今あるものを何かさらに変えるということは具体的には考えていない。

開発拠点については、生産に近い部分での開発については、そういうところに移していったりなどといった動きはあると思う。

開発拠点移設などは、為替対策というより、オペレーションなどの問題。イメージセンサーや信号処理技術、レンズ技術などコア技術はほとんど日本の拠点で行われている。

Q.通期予想について、5月時点では「3つの黒字化」という話があった。業績予想を下方修正したが、この旗は降ろさないのか。

A.現時点では降ろさない。

Q.業績予想の下方修正は、おそらく5四半期連続になると思うが、なぜここまで予想が当たらないのか。

A.言い訳になるかもしれないが、一番大きいのは為替の影響だ。市況について、想定よりも悪くなっているという部分もある。

Q.スマートフォンについて地域別の状況を聞きたい。チップ不足ということも昨今言われているが、この影響はあるのか。

A.一番好調なのは日本で、あとは歴史的にスマートフォンが強い欧州だ。チップ不足については製造ミックスなどで影響がないよう取り組んでいる。

Q.デジカメについて利益で見た場合、普及価格帯での落ち込みを利益の大きいハイエンドモデルでカバーできるレベルにいけるのか。

A.たしかにその部分もある。この領域に関してはハイエンドをしっかりやることで収益の落ち込みをカバーしていきたい。一方、スマートフォンは注力事業のひとつでもある。ここを伸ばしていくことでローエンドのデジカメが喰われることについては、スマホをしっかりやることでカバーする。そしてハイエンドをしっかりやることでデジタルイメージング分野でも収益を確保するという戦略でやっていく。

Q.合理化について、平井社長は以前に電池事業での他社とのアライアンスについても言及していたが、これについて聞きたい。

A.平井の申し上げたことは、主に蓄電用などの領域についてだったと思う。現在色々な検討はしているが本日お話できることはない。

Q.CMOSセンサーの生産能力増強で、高機能化を追求するというのはどういうことなのか具体的に教えて欲しい。

A.我々は特に裏面照射型のCMOSが非常に高い評価を頂いている。他社に対して2年ほど先行していると思っている。積層型のCMOSも発表しているが、これは特にモバイル製品の需要が高まっている状況に適したものだ。また、民生用のものだけでなくセキュリティやメディカルといった新しい事業も拡大していきたい。

Q.為替の影響が大きかったというのは理解できるが、なぜ製品に対しての予測がここまで変わったのか。もっと具体的にききたい。

A.グローバルな景気、特に欧州北米の景気低迷が予想以上だった。また、BRICSを中心としたマーケットでも、成長しているものの成長率がこれまでより鈍化しているということが要因のひとつだ。そしていくつかのカテゴリーについては、デジカメとスマホなどカテゴリー感で食い合う部分が出てきている。そういう部門も影響している。

ただ、こうした状況は中長期的なシナリオとしては想定しており、スマホでしっかりやっていかなければということでソニーモバイルを子会社化するなどしてきた。ゲームもネットワークの親和性ということでクラウドゲームサービスのGaikai買収を行うなど手を打っている。その打った手をきっちり結果につなげていくことが重要だと考えている。

売上台数については、思った以上に市場が減少しているのが大きな要因。シェアはキープしているが市場減少のインパクトが大きい。なお、テレビは収益を維持するために敢えて台数を追わない戦略をとっている。

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