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酸化物半導体採用で高開口率化

シャープ、「IGZO」液晶パネルを世界初の実用化 − 中小型を亀山第2工場で生産

2011/04/21 ファイル・ウェブ編集部
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シャープは亀山第2工場で、2011年中に、新技術「IGZO」を採用した中小型液晶パネルの生産を開始すると発表した。

亀山第2工場は2006年8月に稼働。第8世代のマザーガラスを使って、テレビ用の液晶パネルを生産してきたが、今後は中小型液晶の生産もあわせて行っていく。

亀山第2工場で生産するのは、酸化物(IGZO)トランジスターを採用した中小型液晶パネル。(株)半導体エネルギー研究所と共同開発したもので、IGZOパネルを実用化するのは世界で初めて。

IGZOの開発概要

IGZOはインジウム、ガリウム、亜鉛から構成される酸化物。アモルファス液晶に比べて、20〜50倍程度、電子が移動しやすいという特性を持つ。このためIGZOをトランジスターに使うと、同じ駆動電力の場合、アモルファスに比べてトランジスターを小さくすることができ、これにより開口率が上がる。開口率が上がることでバックライトを効率よく利用することが可能になり、低消費電力化も実現するという。

電子の移動のしやすさを比較

トランジスターを小さくでき開口率を上げられる

同社ではこの技術を使って、タブレット向けの、解像度1,366×768の10型液晶パネルを試作。従来のアモルファス液晶に比べて3分の1程度、消費電力を抑えることができたという。

アモルファスに比べ、IGZOの試作パネルでは消費電力を3分の1程度抑えられたという

IGZOはまた、これまでのアモルファスの生産設備を、小規模な改修を行うことで生産できることも特徴。亀山第2工場の大型マザーガラスを活用することで高効率な生産が行え、コスト競争力を上げることができるという。

IGZOを既存の大型マザーガラスで生産しコスト競争力を強化する

同社ではスマートフォンやタブレット向けに需要が急拡大している中小型液晶に、このIGZOを活用していく考え。具体的にどのようなサイズの製品を、どの程度生産するかは「当社や当社の顧客の商品戦略に関わる部分なので、回答は差し控えたい」とし、明らかにされなかった。

中小型以外の、テレビ向けの大型液晶パネルでIGZOを活用することや、亀山第2以外の工場でIGZOを生産することなども、今後の課題として検討していくという。


同社の、今後の中小型液晶パネルの生産ライン展開
なお同社では、同じく半導体エネルギー研究所と共同開発したCGシリコン技術も活用しているが、CGシリコンの場合、アモルファスに比べて約100倍程度電子が流れやすく、その性能はIGZOをさらに上回る。また高精細化もIGZOに比べ行いやすく、シャープでは「300ppi以上はCGシリコン、それ以下はIGZOという使い分けを考えている」という。

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