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10月に「JVC・ケンウッド・ホールディングス」誕生 − “カタ破り”な新事業を開発

公開日 2008/05/12 19:47
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左からビクター新社長に内定している吉田秀俊氏、ビクター現社長の佐藤国彦氏、ケンウッド会長の河原春郎氏、ケンウッド社長の塩畑一男氏
(株)ケンウッドと(株)日本ビクターは、今年10月1日に共同持株会社「JVC・ケンウッド・ホールディングス」を設立し、経営統合することで合意したと発表した。本日、日本ビクターの佐藤国彦社長、ケンウッドの河原春郎会長らが記者会見を行った。

昨年7月、両社はカーエレクトロニクス事業とホーム/ポータブルオーディオ事業での協業を発表(関連ニュース)。昨年10月に技術開発の合弁会社、J&Kテクノロジーズを設立し、協業を開始した。

資本提携も行われ、ケンウッドと投資ファンドのスパークス・グループがビクターへ出資。現在、両社合計でビクター株式の30%弱を保有している。さらに両社は、2008年中の経営統合を目指し、具体的な検討を行うことも公表。その際に、共同持株会社を設立する方法が、「両社が目指す姿」としてすでに示されていた(関連ニュース)。

持株会社の社長には日本ビクターの佐藤社長が、会長兼最高経営責任者にはケンウッドの河原会長がそれぞれ就任する。なお、本社は横浜市神奈川区の現ビクター本社を利用する。

統合に伴う株式の移転では、ビクターの株式1株に対して持株会社の株式2株、ケンウッドの株式1株に対して持株会社株式1株を割り当てる。
現在、ビクターの筆頭株主で約37%を保有する松下電器産業、またケンウッドの筆頭株主で、ビクターの主要株主である投資ファンド、スパークス インターナショナルは、ともに持株会社への株式移転に賛同しているという。

経営統合後は、持株会社の100%子会社として、日本ビクターとケンウッドがそれぞれ事業運営を行い、日本ビクターの社長には現ビクター取締役の吉田秀俊氏が就任、ケンウッドの社長には現社長の塩畑社長が留任する。

経営統合が行われた後は、これまで行ってきたカー/オーディオ事業での連携を、ほかの事業や新事業に広げていく。さらに、マーケティングや販売でも連携を広げていく計画だ。

経営統合による効果として両社は、カーエレクトロニクス事業の売り上げ拡大と新事業の創出により、3年後に300億円の売り上げ増を見込む。また、共同開発や共同調達、生産の相互委託、知財の相互活用などの施策により、これも3年後に100億円の利益増を見込んでいるという。

経営統合によるシナジー効果で、売り上げ増300億円を見込む

経営統合の詳細については、ケンウッドの河原会長が説明。統合の背景について同氏は、「デジタル&マルチメディア化の波により、両社が損益を悪化させている。ビクターでは売り上げの7割を占める民生用事業の損益が芳しくなく、ケンウッドについてもカーエレクトロニクス事業で、この4〜5年の間に収益が悪化しており、民生用機器事業の改革が課題になっている」と説明。

持株会社の会長に就任する河原春郎氏

経営統合に至った背景

また、「デジタル化の進展で企業の設備投資やソフト開発負担が増加し、資金力に勝る大手企業が優位に立つようになった。さらに、製品のコモディティー化により、商品の差別化が困難になったほか、韓国・台湾・中国メーカーが台頭し、価格下落を引き起こしている」とし、これらの環境に対応するため、「経営統合による日本のAV専業メーカーの勝ち残りを目指す」とした。

河原氏は、経営統合を進めるにあたって、ビクターの構造改革が進んでいることを強調。2008年3月期に営業黒字化を達成したほか、ビデオ事業やディスプレイ事業の事業改革、収益事業化といった施策を進め、ケンウッドも出資とアドバイスなどを行ってきたことなどを説明した。

今後の経営統合では、カーエレクトロニクス事業を強化することを柱に据える。「カーAVはすでに世界ナンバーワンのシェアを持っているが、統合効果により、カーオーディオは1,000万台、カーナビは3倍増の100万台を11年3月期に目指す」と説明。同時にホームオーディオ事業の収益事業化も行い、「シナジー効果の最大化を図り、競争力や収益力を強化、統合効果によって世界のAV業界をリードする専業メーカーとしての地位を確立したい」とした。

経営統合後のビジョンは「カタ破りをカタチに」。「一人一人が主人公となり、絶え間ない変革をやり遂げる」という行動指針のもと、これまでとは違う付加価値を創造していくという。

経営統合前と後の事業セグメント別売り上げ構成比

統合後のビジョンは「カタ破りをカタチに。」


「カタ破り」な第5の事業セグメントを創出するという
その付加価値戦略の一環として、河原氏は「『カタ破り』な第5の事業セグメントを育成する」と宣言。経営統合後、両社の事業は売り上げ高で18%を占めるカーエレクトロニクス事業、同43%のホーム&モバイルエレクトロニクス事業、同14%の業務用システム事業、同9%のエンタテインメント事業を中心に展開するが、それに次ぐ事業を創出するという。

「カタ破りな事業」の、具体的な商品の詳細は語られなかったが、両社の映像、音響、無線技術を高次元で融合することで、既存の枠にとらわれない新事業を育成するという。河原氏はアップルを引き合いに出し、「アップルがiPodで変身を遂げたように、次の時代をクリエイトしていきたい。今回の経営統合は単に老舗の寄り合いではないつもりだ」と意気込みを示した。

さらに両社合弁のJ&Kテクノロジーについても、今後事業領域を拡大させる計画。将来的に、技術開発だけでなく調達や生産まで行う会社に進化させ、ビクター、ケンウッドと並ぶ事業会社にすることを視野に入れているという。河原氏は「生産子会社はJ&Kテクノロジーズに移管し、開発と製造はこの会社で行う。将来的には、販売機能もJ&Kに持たせられないかと皆で盛り上がっている」とした。

J&Kテクノロジーズが現在行っている業務内容

経営統合後はJ&Kテクノロジーズをケンウッド/ビクターと並ぶ事業会社に育成する方針

河原氏はまた、統合後の経営目標についても言及。2011年3月期の目標として、売上高8,300億円、営業利益390億円、営業利益率4.7%を目指すとした。2008年3月期の、営業利益の両社合計は96億円で、3年でこれを4倍程度に引き上げる計画となる。「業界内でも良い収益率の会社に仕上げていく」と強い意気込みを示した。


持株会社の社長に就任予定の佐藤国彦氏
持株会社の社長となるビクターの佐藤社長は、「10月以降、新しい経営スキームのもと、新たな出発をすることになった。ビクターは今年で創立81周年になり、創業時と変わらず、先進のオンリーワン技術の開発を進めている。このフィロソフィーは振経営スキームのもとでも大事に発展させていきたい。これまでは経営改革を行ってきたが、今後、経営統合により攻めの経営を進めていく。第5の新事業領域にも意欲的に取り組んでいきたい。また、商品力の徹底的強化なども行っていく」と経営統合への意気込みを語った。

また、日本ビクターの新社長に内定している吉田秀俊氏は、「この統合を機会に、ビクターは心機一転する。短期的な視野ではなく、5年、10年先を見据えて経営を行っていきたい」と述べた。

以下、記者会見で行われた質疑応答の主な内容をご紹介する。

Q:グローバルで見た統合効果についてどう考えるか。
A:ビクターは海外売上比率が66%、ケンウッドは65%。ともに海外に事業をシフトさせている会社だ。特にカーオーディオでは、両社ともに欧米で大きいシェアを持っている。今後はマルチメディア系のカーエレクトロニクス商品、アフターマーケットの充実などを行っていきたい。あわせて、海外のテレビ事業は拡大させ、プレミアム商品を投入していく。(佐藤氏)

Q:J&Kテクノロジーズを、生産・調達まで行う会社にさせるということだが、事業会社としてのケンウッド/ビクターとはどういう関係になるのか。

A:生産子会社はJ&Kテクノロジーズに移管し、開発と製造はこの会社で行う。将来は販売機能も新会社に持たせられないかと皆で盛り上がっている。(河原氏)

Q:ビクターらしさ、ケンウッドらしさをどう考えているか。
A:ケンウッドは無線が収益の柱。オーディオと無線という柱を持っているユニークな会社だ。これらとビクターの映像事業を結びつけて、ケンウッドらしさを残したまま新しい分野にチャレンジしていきたい。(塩畑氏)

JVCは海外の販売網を長時間にわたって維持している会社。ホームシネマを中心にして、商品のリンクを大事にしていきたい。(吉田)

Q:両社がともに展開しているホームオーディオ事業について、これがバッティングするから、合併ではなく持株会社という方法を選んだのか?
A:ブランドは両社が培って築き上げてきた。これらは活かしつつ、コストダウンを行う方法として持株会社を選んだ。(佐藤氏)

直接競合する分野は売り上げの17%しかない。いきなり経営統合や合併を行うと心理的な負担も大きい。協業という助走期間があったことから、担当者同士の気心が知れているのも今後のプラスになる。(河原氏)

Q:経営の実質トップは河原会長になるのか?
A:並び大名だと意志決定が難しい。意志決定を迅速に行うため、役割分担のために最高経営責任者ということにした。(河原氏)

Q:経営統合後の豊富を聞かせて欲しい。
A:アップルがiPodで変身を遂げたように、次の時代をクリエイトしていきたい。単に老舗の寄り合いではない、というつもりだ。第5の事業を育成するなど、いろんな夢がこの経営統合には詰まっている。(河原氏)

Q:ビクター新社長に吉田氏を選んだ理由を教えて欲しい。
A:長い間、アメリカやヨーロッパで経験を積んで、国内では事業運営の経験もある。今後の改革には若い経営者が必要という思いもあり就任をお願いした。(佐藤氏)

Q:経営統合後の松下電器、スパークスの出資比率はどうなるのか。
A:数字は持ち合わせていないが、松下電器様の出資比率は30%を切ると思う。(河原氏)

Q:今後さらなる業界再編に取り組む意志があるか。
A:まずは今回の経営統合により成功モデルを作りたい。その上で、第3、第4の話が出てくれば嬉しい。(河原氏)

(Phile-web編集部)

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