HOME > インタビュー > 新KLIMAXにAKM最上位DAC「AK4497」が搭載された理由とは? “DAC選び” の裏側を聞く

【特別企画】

新KLIMAXにAKM最上位DAC「AK4497」が搭載された理由とは? “DAC選び” の裏側を聞く

2016/12/14 聞き手・構成:土方久明
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
2016年9月、LINNのネットワークプレーヤー「DS」の新フラグシップモデル「KLIMAX DS/3」と「KLIMAX DSM/2」が発表された。

LINN「KLIMAX DS/3」

2007年に初代「KLIMAX DS」が出てから4世代目にあたる本機だが、今回のバージョンアップでは「KLIMAX DS」初のDAC部が刷新されたことが大きなトピックだ。
 
しかもただ単にDACチップを変更しただけではなく、「KATALYST」と言われる全く新しいアーキテクチャーを採用してきた。つまるところLINNはDAC部全てを刷新してきたのである。
 
そして注目すべきは「KATALYST」には旭化成エレクトロニクスの最新鋭フラグシップDACチップ「AK4497」が左右独立して2基搭載されたことだ。

旭化成エレクトロニクスの最新鋭フラグシップDACチップ「AK4497」

同社のDACチップは以前からハイエンドオーディオ機器に多数搭載されていたが、「まさかあのLINNがAKMのチップを採用してくるとは」。第一報を聞いた時、筆者も驚きを隠せなかった。

そして更に驚かされたのが、このチップを採用した「KLIMAX DS/3」の持つ音である。

筆者も長らく「KLIMAX DS」そして「KLIMAX EXAKT DSM」を使用しているので、アップデートの伸び幅はある程度予想していたのだが、その予想を大きく上回ってきた。「KLIMAX DS/3」の音は、オーディオ、そして音楽をこよなく愛すユーザーが、今後のネットワークプレーヤーに求めるようなエモーショナルな音に更に変貌を遂げ、今まで3回行われた「KLIMAX DS」のアップデートの中でも最大の音質向上を果たしていると言って良い。

今回はLINN本国から社長のギラード・ティーフェンブルン氏と最高技術責任者のキース・ロバートソン氏が来日。旭化成エレクトロニクス(以後AKM)のオーディオマイスター、佐藤友則氏と私で座談会を行った。LINNとAKM、両者の技術的キーパーソンから大変興味深い話を聞けたので、ぜひご覧になって頂きたい。

対談のようす

――まずは読者の方々に、皆さんがどのようなお仕事をされているかご説明いただけますか?

ギラード私はLINNのマネージング・ディレクターです。LINN社業の総責任者です。

LINN社長のギラード・ティーフェンブルン氏

キースLINNにおける立場は、最高技術責任者です。

LINN最高技術責任者のキース・ロバートソン氏

佐藤私はAKMでハイエンドのADCとDACの開発、そしてそれらの製品の音決めを行っています。

旭化成エレクトロニクスのオーディオマイスター、佐藤友則氏

――それでは、この注目すべきコラボレーションに至った経緯を「KATALYST」の技術的な説明を交えながら聞いていきたいと思います。

KLIMAX新モデル「KLIMAX DS/3」のプロフィール

――先ほど聞かせて頂いた「KLIMAX DS/3」は、私の想像をはるかに超える、素晴らしい音を聞かせてくれました。

オーディオ評論家・土方久明氏

ギラードありがとうございます。「KLIMAX DS/3」はDAC部の刷新という、これまでで最も大きいアップグレードになりました。その最大の特徴は、第4世代となる新DACアーキテクチャー「KATALYST」の採用です。

次ページKLIMAX新モデルに搭載された新技術とは?

1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE