【特別企画】注目のプロト機が登場
ブランド70周年。DIATONEが新開発、NCV振動板採用スピーカーが描く新たな未来
NCV振動板が実現する最新DIATONEサウンドとは?
林:試作機のコーンには独特の放射状のラインが入っていますね?
原:これは一次共振を抑えるためのリブです。5本入れるというのも、試行錯誤を繰り返して出た結論でした。6本、7本と試してみたんですが、5本がベストでした。
佐藤:スピーカーユニットのサイズは16cmです。やはりブックシェルフ型の方が、より多くの方の試聴環境にマッチしますし、ご自宅に導入されたときも、ショールームで聴いたときと音のギャップが少ないですから。
原:それと磁気回路ですね。ウーファーはネオジウムマグネットを2個プッシュプル配置した内磁型で、磁界ギャップ部分の上下の対称性を非常に重視した設計になっています。トゥイーターはネオジウムマグネットの外磁型で、ポールピースの上にもマグネットを配置することで、表面側に漏れてしまう磁束を抑え込むダブルマグネット構造。磁束密度20,000ガウスが得られています。表から見るとほぼコーン型に見えますが、実はキャップとコーンが一体成型になっています。
佐藤:端子もコイルも、三菱電機が作ったオリジナルのものです。
原:塗装はピアノブラック。これは1992年発売の「DS-20000」を、ユニットなどはそのままピアノフィニッシュにした「DS-20000B」(1997年)にしたら、あまりの音質の差にその場の人間がみんな絶句したほど良くなったんです。やはり黒くするにはポリエステル樹脂にカーボンブラックを混ぜるので、それがキャビネットの振動を効果的に減衰してくれてS/Nが上がるんですね。
林:ベートーヴェンのピアノソナタ31番を試聴してみましたが、非常に鮮明なサウンドですね。ノイズフロアが低くて微細な音まできちんと聞こえるし、濁りがなく演奏のタッチが伝わってくる。空間表現も素晴らしく、演奏のようすが目に見えるようですね。バッティストーニが指揮した「トゥーランドット」はサントリーホールで演奏会形式でおこなわれたものですが、オーケストラとソリスト、合唱という3パートの距離関係まで伝わってきました。
佐藤:有り難うございます。そういうディテールまできちんと再生できてこそ、アーティストの演奏を忠実に伝えることができます。それが音楽を聴く楽しみ、そしてオーディオの醍醐味だと思うんです。
原:これを作るにあたってDIATONEのOBにも試聴してもらったのですが、「やっぱりDIATONEの音だね」と。
林:現代オーディオが持っていなければいけないものを全部備えていると思います。時代をリードするというDIATONEのDNAがきちんと受け継がれているのを実感することができました。このサウンドを、昔からのDIATONEファンはもちろん、若い人にもぜひ知ってもらいたいですよね。
佐藤:はい。そのための取り組みとして、九段下にある我々の試聴室で定期的に試聴会を行っていく予定です。みなさまの声をうかがいながら、NCV振動板の更なる展開の可能性、そしてHi-Fiオーディオ製品の展開について探っていきたいと考えています。ぜひ、九段下の試聴室へ試聴にお越しください。お待ちしております。
(企画協力:三菱電機株式会社)