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<山本敦のAV進化論 第29回>

「ヘッドホンでもDolby Atmos」の可能性とは? モバイル向けドルビーアトモスの詳細を聞く

公開日 2014/10/27 18:00 山本 敦
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「当社ではDolby Atmosを様々なモバイル機器で楽しめる技術にしたいと考えています。いま市場にあるモバイル機器に搭載されたプロセッサーパワーがあれば余裕でこなせる処理量なので、メーカーにとって組み込みの自由度が高い技術と言えます。今はまだ具体的なことは申し上げられませんが、今後は2015年にかけて様々なメーカーから、Dolby Atmos対応の最新タブレットやスマートフォン製品の発表を見込んでいます。もちろん日本のメーカーとも色々なディスカッションをしています。また、当社は市場へのドルビーアトモス技術供給に向けて、特にQualcommやMediatekをはじめとした様々なSoC (system-on-chip)パートナーと協業しています」。

8月に日本で開催された説明会ではゼンハイザー「HD598」との組み合わせなどでデモを披露していた

なお、アマゾンの「Fire HDX 8.9」にはARMアーキテクチャーを採用するクアルコムのクアッドコア2.5GHzプロセッサー「Snapdragon 805」が搭載されている。

配信サービスのプラットフォームに乗せてDolby Atmosのコンテンツを展開する際に、ファイルサイズによる制約はないのだろうか。ドルビージャパンの白柳氏によれば「帯域制限を考慮してビット数は出来る限り低く抑えられるようなっています。数字で言えば384〜512kbps程度のビットレートでも、十分にオブジェクトの音声成分を収められるところまで最適化されています」という。

ヘッドホンを使ったバーチャルサラウンド技術というと、「DTS Headphone:X」の存在を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。DTS Headphone:Xは基本的に平面的なサラウンド情報をバーチャライズする技術であることに対して、Dolby Atmosの場合はオブジェクトにより、移動する物体など高低差の情報を含めて再現できることが大きな違いだ。

Dolby Atmosの技術的な特徴についてGanti氏は説明を付け加える。「Dolby Atmosは“オブジェクト”という新しいコンセプトに基づき、より臨場感の高い立体的なサラウンド体験を実現しています。アーティストのクリエーションをパッケージ化して、ホームシアターやモバイル機器などエンドユーザーの手元の環境までEnd to Endで届けられる強みもあります」。


■モバイル対応がDolby Atmosのコンテンツ拡大に及ぼす影響

モバイル機器の対応が広がることで、今後Dolby Atmosのコンテンツはどのように増えていくのだろうか。Ganti氏に期待感をうかがった。

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