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「near」など新機能の思想にも迫る

発売直前!“AV機器としてのPS Vita”の実力とは? SCEスタッフに直撃インタビュー

2011/12/16 折原一也
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いよいよ12月17日に発売されるPS Vita。5インチの有機ELディスプレイを備えていることもあり、2011年1月に「NGP」という名称で発表された本機に注目してきたAVファンも多いだろう。発売目前に迫ったPS VitaはAVファンにとって“買い”なのか、気になる機能についてSCEの担当者にインタビューを行った。

今回インタビューに応じていただいたのは、(株)ソニー・コンピュータエンターテインメント 商品企画部 企画2課 兼 企画4課チーフの若井宏美氏、第2事業部ソフト開発部部 長 兼 1課課長の島田宗毅氏、システムソフトウェア開発部4課 兼 第2事業部ソフト開発部5課の岡田充弘氏の3名だ(以下、文中敬称略)。

画面左から岡田氏、若井氏、島田氏

PS Vita

■5インチ有機ELディスプレイの実力は?

インタビューを始める前に、オーディオ・ビジュアルファンにとって気になるハードウェアの基本スペックを紹介しよう。PS VitaのプロセッサーはARM Cortex-A9 coreで、ディスプレイには解像度960×544ドットで5インチの有機ELを搭載する(なおPSPは4.3型の液晶で画面解像度480×272ドットだった)。

ディスプレイはマルチタッチ対応となっており、さらに他のハードウェアでは今までに採用例のない背面タッチパッドも搭載する。


島田 まず画面性能で言うと、PSPよりも一回り大きい5インチというサイズの有機ELを搭載しており、解像度もPSP比でタテヨコ2倍というのが大きいですね。OLED(有機EL)は色域の広さや反応速度が通常の液晶とは違いますので、下の方のトーン、黒の階調もばっちり出ます。

最初にOLEDのディスプレイが出来上がってきた段階で、見た瞬間に「これはすごいな」と感じるほどでした。プロダクトプランニング側からもそういう声があがりましたし、現場技術者の反応も「何の文句もない」「すごい」という感じでしたね。

島田宗毅氏

若井 再生するのがゲームコンテンツであってもビデオコンテンツであっても、美しい映像を実現したいと考えています。「その時にできる一番キレイなものを選ぶ」という姿勢を、企画や開発に関わる人間全員が最初の段階で持っていました。また、PSP発売当初の美しい大画面を受け継ぐという考え方は、商品企画のスタート段階からあり、最終的に4.3インチから5インチへと画面が大型化しました。

若井宏美氏

残念ながら実機画面などの撮影は許可いただけなかったが、インタビュー取材にはPS Vita実機も用意してもらい、動画の表示クオリティの確認、マルチタッチの操作性などを実際に確認しながら説明を受けた。筆者も有機ELの画質を確認したが、PS Vitaはポータブルデバイスとして異例なほどに高画質だった。

FIFAワールドカップの動画を視聴してみても、映像の密度感、赤や青といった色の深みと鮮やかさなど全域の色の再現性は、液晶ににはない有機ELの強みが現れている。

また画面サイズについても、5インチという数字だけを見ると「PSPよりもひと周り大きくなった」という印象にとどまってしまう人もいるかもしれないが、実際の見た目には、大画面化のインパクトは相当に大きい。

有機ELを使った16対9の横長ディスプレイということもあり、2007年よりソニーが発売していた有機ELモニター「XEL-1」に近い印象を受けた。ディスプレイ解像度も、奇しくもXEL-1の940×540と比べ、縦方向が4ドット異なるのみだ。


■GUIも一新 − タッチ操作の新方式に

GUIについても一新されている。従来、PSファミリーのGUIはXMB(クロスメディアバー)によるタテヨコ操作から、タッチを中心に据えた形式にリニューアルされているのだ。

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