オンキヨーのネットオーディオ関連製品オンキヨーのネットオーディオ関連製品
TEXT/山之内 正

日本のオーディオメーカーのなかでコンピューターの可能性に最も早く注目したのがオンキヨーだ。サウンドボードやUSBオーディオを皮切りに10年以上の経験を積んでおり、その蓄積をオーディオグレードのパソコンなどユニークな製品に展開した。

ハードウェアだけではなく、ソフトにおいても同社の立ち上がりは早かった。高品質音楽配信サイトe-onkyo musicは2005年にサービスを開始し、ラインナップの充実はいまやとどまるところを知らない。

【現在e-onkyo musicで配信中の楽曲】
【4/21から配信開始】結成40周年・クイーンのベストアルバムが96/24で登場!
24bit/96kHz〜192kHz DRMフリー高音質音源紹介コーナー
DSD音源紹介コーナー
・随時更新:おすすめタイトル情報&売上ランキング

そうした蓄積を活用すれば、ハードとソフトを噛み合わせて発展させることができる。両者を有機的に結び付けるのが、まさに「ネットオーディオ」のコンセプト。オンキヨーが得意とする領域だ。

 

AVアンプへのネットワーク機能搭載にいち早く対応

具体的な動きはAVアンプから始まった。家庭内ネットワークにつないでパソコン内の音楽を再生する機能は、いまやAVアンプの必須機能になりつつある。オンキヨーは幅広い製品群にDLNAベースのネットワーク対応を浸透させるとともに、対応フォーマットの豊富さでつねに他社を一歩リードしてきた。その背景には、ネットワークオーディオにいち早く取り組むことで獲得してきたノウハウの蓄積があることはいうまでもない。最近では約8万円以下となるエントリーモデル「TX-NA609」「TX-NA579」にもネットワーク機能を充実させていることにも注目したい。

【新製品レビュー】両機の差異や音のキャラクターの違いを検証
ネットワーク機能搭載エントリーAVアンプ
「TX-NA609」「TX-NA579」を高橋敦がレビュー

 

USBオーディオでもヒットモデルを次々と送り出す

次のステップでは、身近な存在のiPodからハイファイ機器としてのポテンシャルを引き出すデジタルトランスポート「ND-S1」「ND-S1000」を完成させ、音楽再生の新しいスタイル提案を行ったことが記憶に新しい。また、それと並行してUSBオーディオに対応したD/Aコンバーター「DAC-1000」を導入し、現在に至っている。このカテゴリでは、USBオーディオに早くから取り組んできた経験を生かし、音質面で有利な非同期伝送を積極的に採り入れいている点に注目したい。

【製品レビュー】約7万円の192kHz/32bitDACの実力はいかに?
高スペック&低価格なオンキヨーのUSB対応DAC
「DAC-1000」のクオリティを山之内 正が検証!

 

ピュア向けプリメインにネット機能を搭載
新機軸製品でさらなる先を目指す

そして、オンキヨーのネットワークオーディオ技術はこの春さらに新しいステージへと歩みを進める。今回のチャレンジは、ピュアオーディオ仕様のプリメインアンプにネットオーディオ機能を内蔵するという画期的なアプローチだ。LANを介してNASから音楽データを読み出す機能を積むことによって、プリメインアンプに新たな価値を加え、用途を広げる意味がある。

ネットオーディオ機能を積む第一号機の「TX-8050」は、LANオーディオに加え、radiko.jpを含むインターネットラジオの受信を標準でサポートする。iPod/iPhoneはデジタル接続で高音質を引き出す用途以外に、Wi-Fiを利用する専用アプリ「OnkyoRemote」で本機の様々な機能をコントロールする機能にも活用できる。

iPodなどのポータブルオーディオはもちろん、ネットオーディオやインターネットラジオは現代の音楽ファンに欠かせない音楽ソースに成長した。その重要な音源を、パソコンを使わずにピュアオーディオ機器だけで簡単に楽しめることには大きな意味がある。音楽ファン待望の機能が、いよいよ身近な存在になったのである。

【連続製品レビュー (1) 】
こだわりの音質と多彩な使いこなしを実現する「TX-8050」を高橋敦が速攻チェック

【連続製品レビュー (2) 】
クイーン「Greatest Hits I/II」の新旧CDと96/24音源を岩井喬が比較試聴!


【執筆者プロフィール】
山之内 正
Tadashi Yamanouchi

神奈川県横浜市出身。東京都立大学理学部卒。在学時は原子物理学を専攻する。出版社勤務を経て、音楽の勉強のためドイツで1年間過ごす。帰国後より、デジタルAVやホームシアター分野の専門誌を中心に執筆。近著に『図解インタ−ネットで変わる音楽産業』(アスキー刊/2000年)がある。大学在学中よりコントラバス演奏を始め、東京フィルハーモニー交響楽団の吉川英幸氏に師事。現在もアマチュアオーケストラに所属し、定期演奏会も開催する。また年に数回、オペラ鑑賞のためドイツ、オーストリアへ渡航。趣味の枠を越えてクラシック音楽の知識も深く、その視点はオーディオ機器の評論にも反映されている。