地デジ移行後を見据え
テレビに新たな付加価値を提案


シャープ(株)
AVシステム事業本部
液晶デジタルシステム第1事業部
副事業部長 兼 商品企画部長
宗俊昭広
ビジュアルグランプリ2011 SUMMER 特別提案賞
液晶テレビ "AQUOS"
L5 series
(写真はLC-60L5)

ビジュアルグランプリ2011 SUMMER 金賞受賞モデル
LC-46L5(写真右)
(VGP各部門の詳細はこちらをクリック)
 
AQUOS PHONEとの連携により新たな付加価値を提案したテレビとしてAQUOS L5シリーズが、特別提案賞を受賞した。地デジ移行後を見据えテレビの新たな可能性を追求するシャープ、同社の宗俊氏に話を伺った。
 

次世代への新たな提案をもたらすAQUOS L5シリーズ

−− 御社のAQUOS L5シリーズが特別提案賞を受賞しました。これからのテレビに新しい方向性を示す大きな可能性を評価させていただいたものです。ご感想をお聞かせください。


宗俊 L5シリーズはこの夏以降のAQUOSの主力モデルであり、心強い応援をいただいた思いです。誠にありがとうございます。


−− 次世代型の新提案に相応しく、AQUOS PHONEとの連携が大きな特徴ですが、携帯電話の担当部門との連携が成功したようですね。


宗俊 2年ほど前、携帯電話の担当者と「AQUOSとスマートフォンとの組合せで何か面白いことをしよう」という話をしたことが始まりです。お客様にとってのメリットを生み出す為にはどのような連携が必要かと考えていく中で、いろいろな用途を提案することでL5シリーズの商品化に至りました。

「スマートファミリンク」。“AQUOS PHONE”で撮影した写真・動画や、保存している音楽を液晶テレビAQUOSで視聴したり、AQUOSブルーレイで録画した番組を“AQUOS PHONE”に転送して別の部屋で楽しむなど、ワイヤレスで連携が可能。

AQUOS PHONE向けに「スマートファミリンク」というAndroid向けアプリを開発しましたが、AQUOS PHONEで視聴している動画や写真をAQUOSに送信したり、AQUOS PHONEをコントローラーとしてAQUOSブルーレイの中のコンテンツをテレビに再生したりということができます。また「AQUOSリモート」というアプリでは、テレビの操作や文字入力ができ、音声検索機能も備えています。面白いご提案ができたと思っておりますが、今回L5シリーズをご評価いただけたことで一層励みになりました。


またL5シリーズは、ハイスピードUV2Aという従来と比較し駆動能力の速いパネルを採用し、240Hzスキャンも搭載しております。それらの相乗効果でクロストークといわれる二重映りがさらに低減され、非常に見やすくクッキリとした映像が再生できるようになりました。パネルを開発・生産しているメーカーとして、画質についてもご満足いただける商品として、自信を持って取り組ませて頂いております。L5シリーズは、お客様のあらゆる期待に応える新しい提案をもたらすテレビとして、積極的に展開して参りたいと思います。

家族でシェアできるという生活提案型テレビの訴求

−− もうひとつ審査会で話題になったのが、6月から発売されたフリースタイルAQUOSです。家庭内ネットワークに対するテレビのひとつの提案を打ち出しています。


宗俊 すでに市場に出ている多くの普及価格帯の小型テレビとの差別化を図るため、「家族皆で使うテレビ」というコンセプトを打ち出したものです。ある時はお父さんが書斎に持って行き、ある時は娘さんが個室に持って行く。お母さんがキッチンで使うこともあれば、ダイニングのテーブルに置かれて皆で食事しながら見ることもある。あるいは家族がリビングのテレビを見ている横でネットを見る。家族皆でシェアし、どこにでも持ち運べるよう把手やバッテリーも採用しました。価格設定が同サイズの普及モデルの2倍ほどですが、発売後はかなりの反響があります。

「フリースタイルAQUOS」。ディスプレイ部とチューナー部がワイヤレスで連携する。アンテナや電源のない部屋でも、ディスプレイ部を持ち運んでテレビを楽しむことができる。

バッテリー内蔵で可動範囲が広がり、Wi-Fiでネットにつながるのでいろいろな使い方が提案できるのがポイントです。また、ワイヤレスでハイビジョン信号を飛ばす技術の進化も大きい。チューナーからの信号は直進距離で30mくらいまで飛ばせ、モデルハウスでの実証実験も問題なくクリアしています。一般的なご家庭内のどこででもフルHD映像をお楽しみいただけます。


20型で、しかもワイヤレスでありながら、フルHDのハイビジョン映像をこれほど美しく見られるテレビが今まであったかという思いです。フルHD映像のテレビを家中どこに行ってもワイヤレスで見られるというのは、実は非常に大きな価値のあることだと思います。


−− 購買層はどんなお客様でしょうか。


宗俊 中心となっているのは40〜50代の女性です。2〜3万円くらいの小型テレビを1台ずつ書斎や子供部屋に置くより、これ1台ですませたいということでお選びいただいています。まさに狙いどおりの反響です。


別売で壁掛け用のフックも用意しており、把手の部分を使って簡単に壁掛け設置もできます。日本の家庭では壁掛けの設置は2〜3%しかない状況ですが、この壁掛けフックを一緒にご購入されるお客様は15%ほどと高い比率になっており、これも嬉しい傾向です。


−− 今やテレビの価格が1インチ1,000円とも言われている中、10万円という価格を認めていただける価値訴求を打ち出したということで、地デジ移行後の単価アップにも貢献してきますね。


宗俊 これまで地デジ移行の恩恵に支えられ、テレビは非常に大きな伸びで売れ行きが続きましたが、地デジ移行後は新たな提案の訴求が今まで以上に必要になります。フリースタイルAQUOSとL5シリーズいずれも提案型の商品であり、コンセプトをご説明し、使用シーンを実感していただくことによって初めて便利さや実質的なコストパフォーマンスの高さをご理解いただけるものと思っております。


地デジ移行後は、特にきめ細かくご説明できる販売の機会を増やしていかなければなりません。テレビは今後も、大きいサイズでも小さいサイズでもさまざまなご要望が出てくるでしょう。これからも引き続き提案型商品の可能性をどんどん拡げてモノづくりに取り組んで参りたいと思います。

 

【関連リンク】

シャープ 液晶テレビAQUOS 製品情報

 
宗俊昭広氏 プロフィール

1965年2月17日生まれ。福岡県出身。1988年シャープ(株)入社。1992年から長年にわたりテレビの商品企画を担当、2009年より現職。好きな言葉は「走りながら考えよ」。趣味はドライブ、スキー、グルメ(B級)。