宮地晋治

お客様の利便性や楽しさをもたらす
パナソニックならではのメリットを訴求
パナソニック株式会社
日本地域コンシューマーマーケティング部門
コンシューマーマーケティング ジャパン本部
AVC商品部 部長
宮地晋治
Shinji Miyachi

Ultra HDブルーレイや音楽保存・再生機能を搭載したレコーダーディーガ、ピュアオーディオのテクニクスなどAVの展開を加速するパナソニック。コンテンツの楽しみ方に複合的に切り込む、2020年を見据えたその取り組みについて、宮地氏が語る。
インタビュアー/永井光晴 音元出版取締役、徳田ゆかり Senka21編集長 写真/柴田のりよし

レコーダーでの楽しみ方を
さまざまにアピールする

── ディーガ商品群が総合金賞を受賞されました。

宮地Ultra HDブルーレイ対応機は欧州で好調です。日本ではまだ市場が立ち上がっていませんが、レコーダーのDMR-UBZ1やプレーヤーのUB900に加え、普及タイプのレコーダーとして対応機DMR-UBZ2020/1020を投入しました。今回賞を頂戴して、Ultra HDブルーレイの普及に弾みがつくことと期待しております。

日本ではレンタルソフトが本格的に対応するまでに、ある程度の時間がかかると見ています。当社としてはこうしてトリプルチューナー以上のモデルをUltra HDブルーレイ対応として普及の準備を整え、ソフトメーカー様に日本での発売タイトルを増やしていただけるよう働きかけているところですね。合わせて量販店様を中心に、店頭で画質の優位性をしっかりと訴求していくことが重要なテーマだと思っております。

── ディーガの音への取り組みも高く評価されています。

宮地今年のディーガは、音に特化した機能を盛り込みました。これまでのe-onkyo musicとの連携などでハイレゾ音源をダウンロード・再生する機能に加えて、音楽CDをかんたんに取り込める「CDリッピング」や、取り込んだコンテンツなどをハイレゾ相当にアップコンバートして出力するといったものです。合わせて新投入した「ディーガスピーカー」SP1をつなげば、簡単にハイレゾが楽しめます。

ユーザー調査では、40〜50代でCDを平均50枚以上お持ちの方が非常に多いものの、再生する環境がなく、プレーヤーを購入する一歩が踏み出せないことが見てとれます。新製品では、そういう方々に、再び音楽を楽しんでいただくご提案を強化致します。みなさん、思い出の曲がたくさんあるはずですから。

レコーダーのプロモーションではここ数年、「全自動ディーガ」を全面に出したテレビCMを展開しておりましたが、今年はUBZ-2020/1020で音楽をレコーダーに貯めて聴く提案にスポットを当て、新しいテレビCMを12月初旬から首都圏中心に展開して参ります。「DIGAとオヤジと音楽と」のキャッチで、吉田拓郎さんの楽曲をBGMとし、遠藤憲一さんをキャラクターに起用しました。まさにCDの所有率が高く再生機を購入するに至っていないお客様をターゲットにしたものです。

まずは身近なテレビとレコーダーの組み合わせで、気軽に音楽を楽しめる気づきを呼び起こしたい。音楽に日常的に触れ、もっといい音で聴きたい、プライベート空間で聴きたいといったニーズの拡がりが出てくることを期待しています。

音楽を保存したディーガとオーディオ機器が連携する「サウンドジャンプリンク」もご提案致します。音楽コンテンツをPCに貯めている方が多いですが、PCを立ち上げる必要なく、レコーダーの電源を入れテレビ画面でGUIを操作しながら手軽にコンテンツを再生できるメリットは大きいと思います。

── 店頭ではどのように訴求されますか。

宮地レコーダーのコーナーで音を直接体感できる環境づくりを促進します。そこにテレビを設置するのは困難ですが、ディーガスピーカーの存在がポイントになります。ディーガと同じ横幅でコンパクトですから、一緒に置いて音を再生する環境が手軽につくれます。録り貯められたコンテンツをハイレゾ相当で再生して楽しむ。お客様には店頭で実感をもって体験していただきたいです。

またテレビコーナーでも同様に、テレビスピーカーとしてプラスワンの訴求を推進します。リーフレットやカタログでも、全自動ディーガは黄色、レギュラーディーガは緑色、CDリッピングなどで音楽保存・再生を訴求するモデルは赤色をキーカラーとして、わかりやすく展開して参ります。

アナログプレーヤーで
テクニクスの取り組みを加速

宮地晋治── オーディオ銘機賞では、SL-1200Gが開発特別大賞を受賞されました。

宮地テクニクス=ターンテーブルといったイメージをお持ちの方は多く、大変ご評価をいただきました。待望されたアナログプレーヤーを投入し、テクニクスのオーディオをご試聴いただく場面は一層増えていますし、これによってレコードをお持ちの方にテクニクスとして新たなご提案ができます。

昨今では企業様に出向き、試聴会をするといった取り組みも始めています。SL-1200Gやアンプ、スピーカーなどをお持ちして聴いていただき、ご購入はご販売店様でという流れをつくって実績を挙げています。当社の役員を通じてお声かけをし、様々な企業様にお勤めの方々にRシリーズ、Cシリーズなどを体感いただいています。

── テクニクス製品全般の手応えはいかがですか。

宮地 C500は女性層への訴求を第一命題とし、女性誌とのタイアップ展開などで徐々に手応えを掴んでおります。C700は堅調に推移してますが、来年以降はもっと踏み込んだ訴求をしていきたい。

昨今は地区のPS会が行う合展とタイアップし、会場に機材を入れて試聴環境をつくりますと、必ず実績が上がっています。これまで地域の大規模合展でしか展開していませんでしたが、PS会でやってみたいということでお店様にも注力していただいています。会場にテクニクスアドバイザーという当社の専任スタッフも動員します。直接お客様と話をしながら、効果を上げている状況です。

ただこうしたテクニクスの既存のモデルと、SL-1200Gとは動き方がまったく異なっています。SL-1200Gはやはり、以前から存在をご存じでずっと待たれていたお客様を中心に単品購入が圧倒的に多い状況です。新しいお客様への訴求については、商品のゾーンを広げていく必要があります。コンポーネントもそうですし、ターンテーブルについてもラインナップの拡充が必要になってくるかと思っております。

── 今後のオーディオビジュアルのお取り組みをお聞かせください。

宮地2017年以降、テレビやレコーダーが買い替えサイクルに入ってきます。その中で見る、聴く楽しさや使い勝手について、パナソニックならではのメリットをしっかりとアピールして参ります。お客様にとってどれだけ便利で楽しみが拡がるか。「AVセントリック」といったキーワードがポイントになるかと思います。

2020年に向けては、今年の年末から「東京オリンピック・パラリンピックを見る公式テレビ」の訴求を全面に出してビエラを展開し、買い替え需要にアピールします。お客様に寄り添う“パナソニックAV”の価値訴求を、商品やプロモーションに強いメッセージ性を出して推進して参ります。

◆PROFILE◆

宮地晋治氏 Shinji Miyachi
1988年 九州松下電器(株)(現パナソニックシステムネットワークス(株))入社。2012年 AVCマーケティング ジャパン本部 商品グループグループマネージャー。2013年 コンシューマーマーケティング ジャパン本部 AVCグループ グループマネージャー。現在に至る。

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