辻 孝夫

田村誠一

全員で取り組む新価値創造へ
新たにスタートを切る
株式会社JVCケンウッド
代表取締役社長 兼 執行役員 最高経営責任者(CEO)
辻 孝夫
Takao Tsuji

株式会社JVCケンウッド
代表取締役 兼 執行役員副社長
兼 最高戦略責任者(CSO)
兼 メディアサービス分野 最高執行責任者(COO)
兼 企業戦略統括部長
田村誠一
Seiichi Tamura

ピュアオーディオ、AVの市場で名を馳せた日本ビクター(株)と(株)ケンウッドは、2008年に経営統合、共同持株会社JVC・ケンウッド・ホールディングス(株)が設立された。新会社は2011年に社名を(株)JVCケンウッドとし、日本ビクター、ケンウッドおよび技術開発の合弁会社であったJ&Kカーエレクトロニクスを吸収した。
JVCケンウッドは現在、カーナビやカーオーディオを展開する「オートモーティブ分野」を柱とし、さらに、無線システム事業や業務用システム事業、ヘルスケア事業やプリンター事業などを手がける「パブリックサービス分野」、ビデオカメラやプロジェクター、ヘッドホンなどを手がけるメディア事業とビクターエンタテインメントを核としてコンテンツビジネスなどを手がけるエンターテインメント事業で構成される「メディアサービス分野」の3つの分野で事業を展開している。
旧ケンウッド時代からトップを務めた河原春郎氏が今年6月に代表取締役会長 兼 CEOを退任し、代表取締役社長 兼 CEOに就任したのは日商エレクトロニクス代表取締役社長など数々の経歴をもつ辻孝夫。同じくメディアサービス分野のCOOに就任したのは、企業再生支援機構でさまざまな分野の企業を活性化させた経歴をもつ田村誠一だ。
Senka21では、この両名のインタビューの機会を得た。辻、田村の言葉を通じて、コンシューマー向けオーディオ・AV分野にあらためて注力するJVCケンウッドの意気込みを発信したい。

将来、近未来、直近で実現する
新たな取り組みを楽しんでいく

BtoC分野もしっかり伸ばす
スピード勝負で取り組んでいく

辻孝夫第3のステージで
新たな進化を目指す

── 御社がJVCケンウッドとしてスタートして5年目、今の状況をお聞かせください。

当社の前身は「日本ビクター」と「ケンウッド」の個々の企業として存在し、それぞれの領域で世の中に存在感を示していました。その時代を第1ステージと考え、JVCのJ、ケンウッドのKをとって「JK1.0」。そして市場環境の変化の流れの中で両社が統合したのが2011年のことですが、それ以降の時代を第2ステージと考え「JK2.0」。そして新たな経営体制を敷いた今年の6月からは、第3ステージのスタートです。「JK3.0」を合い言葉として、企業文化を含めこれまでのすべてを根こそぎ変え、顧客価値創造を実現するべく進化を図ろうという強い意志をもって活動しています。

新しい経営体制では、役員も含めて社員全員が活躍することを目指します。代表取締役社長の私以外に代表取締役を3人としましたが、それぞれに権限を委譲し、責任の所在を明らかにしたのです。権限と責任を一致させた上で“全員野球”をする、ということです。

とはいえ、企業文化の変革は一朝一夕にできるものではありません。小さなことから着手して、たとえば会議に費やす時間を守る、資料は少なく、紙の使用も最小限になど、日々変革を行っています。取締役会も執行役員会もスケジュールどおりに進行していますね。社外取締役の阿部康行さんに取締役会議長になっていただき、時間管理も綿密にしています。

社内では毎朝、ヒーリングミュージックなどのコーポレートミュージックを流す活動もしています。我々労働者にとって憂鬱になりがちな週明け月曜日の朝はやる気が出るような、火曜日はさらに頑張ろう、水曜・木曜日はマンネリにならない、ウィークデーが終わる金曜日の“TGIF”な気持ちに沿う曲を選んで。楽曲は当社グループ企業のビクターエンタテインメントのものを活用し、1ヵ月単位で変えます。社員が気に入れば、社内イントラネットで楽曲情報を見て購入することもできますから、プロモーションにもなりますね。なかなかの評判で、コーポレートミュージックソリューションとして社外に販売することも想定しています。こんな風にいろいろな角度から企業文化を変える方策を施しているのです。

今年の10月1日には、日本ビクターとケンウッドの合併5周年を迎えます。これから1年間でそのイベントも様々に行っていきます。そうした中、社外に向けても企業イメージを一新するべく、CIの変更などにも着手しているところです。

辻孝夫3つの事業分野で
様々な取り組みに着手

── 御社は現在、柱であるオートモーティブ分野を筆頭に、パブリックサービス分野、メディアサービス分野の3つの事業分野を展開されています。注力する内容についてご紹介いただけますか。

昨年5月に当社は中長期経営計画「2020年ビジョン」を発表しましたが、そこで申し上げたとおり、オートモーティブを成長の大きな柱にする考え方で進んでおります。オートモーティブ分野の中身は、従来からやっている市販事業(アフターマーケット)、用品事業(ディーラーオプション=DOP)、純正事業の3つ。当初2020年には純正が大きなポーションを占めると言いましたが、市販事業も伸びており、我々が新たな市場を創出することも含めさらに余地があります。市販から純正までの飛び石的な役割としていた用品事業も今非常に伸びており、純正と用品を同じカテゴリーに入れ、OEMのくくりとして伸ばしていく、という方針としました。

この分野では、一昨年に初めてドライブレコーダーを投入しました。数千円のゾーンが当たり前の市場に2万円の価格で瞬く間にトップになり、今も当社のモデルが売れ筋の上位3位までを占めます。高付加価値の商材を提供すれば価格で勝負する必要がなく、お客様に価値を判断していただけることが実績として証明されたことになります。ドライブレコーダーは昨年約100万台の市場でしたが、今年は最低でも150万台、あるいは200万台に至る勢い。新たな市場が創出され、その中で我々はシェアも増やしていくつもりです。

当社の商品は画像のダイナミックレンジが高く、トンネルに入っても画像が真黒にならず、出てもホワイトアウトしないと高評価を得ました。しかし他社も追いつきます。そこでレーンデパーチャーや他の車の割り込み、信号が変わっても止まっていたら警告が出るなど、簡易型のADAS機能をつけました。また他社が追いつけば、コネクティブとしてネットワークにつなげる。追いつかれたら、ここからはテレマティクスの世界に入っていきます。

車関連については、我々は自動運転そのものの分野には参入しませんが、先進運転支援システム(ADAS)には取り組みます。何度か発表しましたように、コックピットを構成する電子ミラーやヘッドアップディスプレイ、リアビューカメラやドライブレコーダーといった個々の部品と、それらとともにしくみをまとめてデジタルコックピットとして提供していく、ということですね。

パブリックサービス分野では、無線がひとつの鍵となります。米国でZetronとEF Johnson Technologiesという2つの会社を買収しましたが、なかなか成長路線が見えませんでした。EF Johnsonについては昨年5月に、Zetronは今年の7月に新しいCOOを据えました。そこで活気が出てシステム受注が増え、今年9月末で約8000万ドルの受注残の見込みを、ひと月前倒しで8月末の段階で実現しました。ただ売上げに効くのは早くても半年で大きなシステムは1年半から2年かかりますから、そこまで頑張る。両社ともこの下期には間違いなく黒字化する見込みです。

EF Johnsonを買収しての最初の大きな成果は、台湾の台北市警察の無線システムです。EF Johnsonの無線制御システム+ケンウッドの無線端末という内容で、象徴的な内容です。今後1億ドルほどの規模の台湾全土の警察無線の入れ替えプロジェクトもあり、台北での実績を活かして勝ち取りたいですね。

セキュリティカメラや館内放送といったソリューション関係は、JVCケンウッド公共産業システムという社員800名ほどの会社に分社化しました。ソリューションにもっとも適した組織体系にして、親会社のルールには縛られずに自由に営業活動のできる仕組みとなりました。
メディアサービス分野では、方針説明に際して重心をB to Bにシフトするという表現を致しました。しかし我々は、ご存じのとおり従来から引き続きB to Cの事業を展開しており、これもまた工夫次第でいくらでも伸ばせる余地はあります。一部の商材では、激しい競争の中で価格勝負をせざるを得なかったところもありますが、それはもうしません。より尖った「さすがだね」と思われるものを、これからどんどん出していく。ドライブレコーダーで新たな市場を創造できたように、そういったチャレンジをしっかりとやって参ります。

音と映像の商品に
あらためて注力する

田村誠一── メディアサービス分野の取り組みは、非常に興味深いところです。田村さんに詳しくお伺いします。

田村当社が手がけている3つの事業分野の中で、オートモーティブは最大の売上げをもち、中期計画でもさらなる伸長を図っています。パブリックサービスは足もとでの圧倒的な利益の柱で、それぞれ重要な存在感を示します。そういう中でメディアサービスの事業は、ある意味非常に目立たない状態になっているかもしれませんね。私自身は今年4月からこの分野を担当していますが、新しい経営体制のもとで、あらためてここにしっかり取り組む所存です。BtoC分野についてもきちんと伸ばしていく、それをはっきりと申し上げたいと思います。

ソリューションビジネスはB to Bだけのものではありません。B to Cの商材にはいろいろなお客様がいらっしゃって、それぞれ求められるものも違いますから、それぞれのニーズに適した解をご提供していく。それこそまさにソリューションです。お客様を正しく理解し、新たな提案をどんどん行って参ります。

メディアサービス分野の現状でのB to C向け商品は、おもにヘッドホンとカムコーダーが中心です。カムコーダーは防水・防塵のスポーツタイプにフォーカスしたソリューション提案が好評を博しています。こうしたカテゴリーで、さらにライフスタイルをイメージした提案を絡め、そこに合った商材を投入し販路を拡大していきたいと思います。

従来どおり家電量販店様で扱っていただくのはもちろんですが、加えてスポーツ用品店様、またスポーツウェアを扱うアパレルショップ様などとも手を組ませていただき、プロモーションの仕方も多様化させるなど、これまでの延長線上ではない考え方の展開もして参ります。ライフスタイルごとに商品と販路、プロモーションの仕方をすべて変え、それぞれに適したソリューション提案をしていく。それぞれのライフスタイルによって異なるニーズをパッケージとしてお客様に伝えていく。そうした取り組みに、あらためて注力していこうと思います。

コンポなどのホームオーディオのカテゴリーは今、メディアサービス分野内のメディア事業部の中ではなく、オートモーティブ分野でカースピーカーやカーアンプと連携した展開をしています。しかしこうしたカテゴリーもあらためて注力していきますし、ライフスタイルの括りの中に取り込んで捉え、訴求していきたいと思います。

ヘッドホン、カムコーダー、ホームオーディオ、カーオーディオ/ナビゲーションなどのB to C向け商品群は、事業や分野を超えて、お客様目線でつなげて横串を通すような最適なパッケージングやプロモーションをして、適した場所でお客様に見ていただき、評価されて買っていただくことにより力を入れていく。それが基本的な考え方です。あくまでもお客様のライフスタイルを意識したソリューション提案で、製品、商品の横断的な訴求をぜひやっていきたい。

今メディア事業部では、「スピードがクオリティを生む」という言葉をスローガンとしています。スピードを上げてどんどん新しいものをお客様にご提案し、お客様の声をお聞きして、商品開発にフィードバックする。そのサイクルを高速に回すことが品質を生むと考えます。机の前や評価ルームの中で品質を作りこむだけでなく、どんどん世に訴えて、いち早く改良を積み重ねていく仕事を徹底していこうということです。

一例として、マルチライブモニターイヤホンでの取り組みがあります。サイバーエージェントさんのクラウドファンディングサイト「Makuake」でモニター募集をしているものです。当初100万円という控えめな金額を目指しましたが、スタートから5時間ほどで達成し、50日と経たないうちに1000万円以上の金額が集まっています。お客様と直接対話しながらご賛同をいただき、その上で商品を世に送り出す仕組みですね。その目的はお金を集めるだけではありません。賛同いただいた方に商品をお届けしてインプレッションをお寄せいただくことが重要です。それを商品コンセプトに反映させるのです。

このイヤホンはスマホで音楽を聴きながら自分の楽器演奏を合わせる使い方を想定しています。普通のイヤホンを使うとスマホからの音楽しか聴こえませんが、これは自分の演奏をマイクで拾ってイヤホンにフィードバックさせることができます。音楽を全面に出した訴求で、セッションの雰囲気を味わえることを謳いました。しかしこうした我々の提案だけでなく、サイト上でお客様自身がやってみたい独自の使い方がどんどん集まってきます。ひとつの提案でいろいろなバリエーションが反応となって戻ってくる。我々だけの考えには限界がありますが、お客様との対話によって、その限界を超えることができるのです。

これは非常に有意義な体験となりました。我々はそうして寄せられた貴重な声を吸収し、さらにプロモーションの仕方や商品開発にフィードバックする。我々自身が頭をひねるより、その方がよほど効率的にお客様のニーズにお応えすることができる。机の前でじっと考えるだけではこうはいきません。こうして世に問うということを、スピード感をもってどんどんやっていきたいと思っています。

ブランドの価値を最重要視
力強く発信する

田村誠一── B to Cでは、御社のもつJVCとケンウッドの2つのブランドが効いてきますね。

田村ブランドは非常に重要です。我々はビクター、JVCとケンウッド、あるいはトリオといったブランドを長い時間をかけ培ってきました。これは大変な資産です。今日まで当社にはいろいろな環境の変化があり、ビジネスの形態、仕事の仕方、お金の稼ぎ方、出す商品はどんどん変わってきましたが、製品や商品は変わってもブランドは変わらない。それは一朝一夕には絶対に築けない、もっとも大切なものであると考えます。

日本ビクターは2017年に創業90周年を、ケンウッドは今年で70周年迎えます。これはまさに民生分野への再注力を世に示すベストタイミングと考えます。あらためてブランドを世に認知していただきたい。来年の日本ビクター90周年ではぜひ、JVCのコンシューマー向け商品を、ホームオーディオも含め、ライフスタイルと合わせた独自の高付加価値提案で展開していきたいと思います。

ケンウッドブランドの民生向け商品は現在、Kシリーズなどのコンポはオートモーティブの傘下で展開しているものの、メディア事業の中にはほとんど存在していません。ケンウッドブランドは、パブリックサービスやオートモーティブの分野で非常に高く認知され、大きな利益を生んでいますが、メディアサービスの分野では残念ながらほとんど利益を生んでいない。大変もったいない状態です。あらためてこれをリポジショニングして世に訴えていくのは、メディアサービス分野の非常に大きな使命。何らかのかたちで取り組みたいと思っています。

そしてさらに我々がチャレンジしなくてはいけないのは、製品を統合したご提案。システムとして認知していただくことです。ヘッドホンはヘッドホン、カメラはカメラですが、これらをライフスタイルの切り口でつなぐ。そこにはネットワーク、ワイヤレスといった大きなキーワードが存在しますが、単なるコンセプトではなく、統合された音響ソリューションを実体験としてどう提案できるかにチャレンジしたいと思います。

── 2つの強いブランドですが、棲み分けをどのようにお考えですか。

田村商品ブランドとしてのJVCとケンウッド、2つの棲み分けについてはコンセプトがあります。

JVCのブランドビジョンは、「ひとの感覚を高めるイマジネーション」とし、見えなかったもの、聞こえなかった音、感じることのできなかったこと。それらを見、聞き、感じとるための五感の進化を、一人ひとりにお届けしたいと考えます。新鮮な発想、ひと中心、感覚に響く体験をブランドバリューとして、常に前進する、大胆で挑戦的な、ひとの心をつかむイメージをブランドパーソナリティとします。

ケンウッドのブランドビジョンは、「限界を超越する鋭敏さ」。1q先のささやきや10 年前の演奏での息づかい、100q先の交通渋滞を、あたかもそこにいて、自らの目で見、耳で聞くかのように、直観性と信頼性をもって必要な情報を手に入れることを目指します。過去の成功や常識にとらわれることなく、妥協のない鋭敏さをもって、時と距離を超え、従来の限界を超越していくということ。本物、信頼性、超越をブランドバリューとし、鋭さのある、一貫性のある、経験豊かなイメージをブランドパーソナリティとします。

どちらかというとJVCがやわらかな、ケンウッドが尖ったイメージといいましょうか。我々がケンウッドブランドをライフスタイルソリューションで展開していこうというときも、棲み分けは考えていきたいと思います。

ケンウッドブランドは自動車に乗る方の認知度が高く、ドライブレコーダーも高く評価されています。そして自動車に乗る方と音楽を聴く方は別の人間ではありませんね。オートモーティブやパブリックサービス、メディアサービスといった事業の括りは我々の組織の問題であって、お客様には関係ありません。お客様にとっては同じケンウッドの価値をつなぐのが、まさにブランドの力だと思います。

こうした取り組みの中で、商品化に至るものとしてひとつご紹介したいのは「頭外定位」のヘッドホン。今はまだ開発途上ですが、高い精度で実現しようと取り組んでいるところで、そう遠からぬうちにご提案したいと思っています。

音は本来頭の外で鳴っているものですが、ヘッドホンやイヤホンを通じていつの間にか耳の中で鳴る状態になっています。本来のように外に出すことを体現できれば、まさにライフスタイル提案につながります。また、いろいろなライフスタイルによっても、頭外定位がもたらす価値は違ってきます。どんな使われ方、どんな価値があるかを、まさにお客様と対話をしながら追求していきたい。これは我々にない商品ラインナップや価格ゾーンを埋めるといった位置づけとは次元が違うもの。今迄とは違う新しい世代のヘッドホン、ヘッドホン革命の位置づけで世に問いたいと思います。

辻 この提案は“風車に立ち向かうドン・キホーテ”にもなりかねませんが、音の鳴り方に忠実に、本当の音を楽しみたい方に共感していただけるよう、先陣を切ってやっていきたいと思っています。

高い技術力を生かし
新たな分野にも挑戦

── 成熟産業と言われるオーディオビジュアルですが、そんな中でも既存の価値観ではなく、今のお客様にとっての新しい価値観が生まれる可能性がある。そういうお考えでしっかりと取り組んでいかれるということですね。

我が社の技術資産は合わせて11,000件くらい存在し、有効な特許も7,000件ほど。それぞれの分野における知財も、また知財化されていない技術や枯れてしまったものでも、別の領域で活かすことができます。

例えばゲイズファインダーといって、ヘルスケアでの視線検出装置として展開しているものがあります。視線をトラッキングするもので、お子さんの1歳半検診で使っていただき、お子さんの社会性の発達状況を客観的に評価することができます。従来の健診方法に加え、お子さんの視線の推移を記録として残し、それに基づいて傾向の客観的な評価ができる。お子さんのご家族も理解しやすくなり、早期に療育プログラムを取り入れることもできます。これに関連した療育士の育成など、療育の分野まで取り組んでいきたいと思います。将来的には、自閉症の診断装置として医療機器認定を取得し、健康保険の対象ともなるよう取り組んでいきます。これは社会的にも非常に意味あることと自負しています。

またブルーレイの技術をもとにしたエクソソームという物質の検出装置を、今年の3月に発表しました。癌の早期発見に使える可能性があります。我々単独ではなく、血液検査をリードするシスメックス株式会社と連携してシステムを開発する。発症前の段階で認知症も発見できる可能性も秘めています。

エクソソームは将来、ゲイズファインダーは近未来、そして頭外定位のヘッドホンは足もとの話。それぞれの時間軸で実現に至るべく、社員が楽しみながら取り組んでいます。世の中で我々だけ、世界で初、そんな風な仕事をやっていればアドレナリンも出て、心を躍らせて仕事ができますよ。我々はそういう気持ちで日々、まい進していきたいと思っています。

── 御社の大きな意気込みが伝わりました。今後のお取り組みにますます注目して参ります。

◆PROFILE◆

辻 孝夫 Takao Tsuji
1973年日商岩井(株)(現 双日(株))入社、2002年日商エレクトロニクス(株)代表取締役社長、2009年 同社取締役会長、2013年(株)JVCケンウッド社外取締役、2014年5月 同社代表取締役社長 兼 執行役員 最高執行責任者、2015年4月 同社 代表取締役社長 兼 執行役員 最高執行責任者(COO)、兼 最高革新責任者( CIO)、2015年11月 同社 代表取締役社長 兼 執行役員 最高執行責任者(COO)、2016年6月 現職に就任。

田村誠一 Seiichi Tamura
1992年3月 アクセンチュア(株)入社、2005年9月 同社 エグゼクティブ・パートナー、2010年1月(株)企業再生支援機構 入社 マネージング・ディレクター( 事業投融資を専門領域として多くの投融資判断と実行に携わり、投融資先企業の役員として当該企業の再生・再成長に携わる)、2013年3月(株)JVCケンウッド入社、業務執行役員待遇CEO補佐、事業開発統括部長、2013年6月 同社 取締役 兼 執行役員 最高戦略責任者 兼 企業戦略部長 2016年4月 同社 取締役 兼 執行役員 最高戦略責任者(CSO)兼 メディアサービス分野責任者 兼 企業戦略部長、2016年7月 現職に就任

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