巻頭言

ファイル・ウェブは業界のインフラ

和田光征
WADA KOHSEI

ファイル・ウェブはオーディオ・ビジュアルのポータルサイトとして、名実ともに業界のインフラとして機能し始めた。ユニークユーザー数は月間140万人に達し、海外からの来訪者も多い。スタートは1999年7月。名称は、小社の雑誌「ホームシアターファイル」の「ファイル」(同行者、仲間etc・・・)から生み出されたものである。

当時、ウィンドウズ'95の登場を境に時代は激変を始め、まさにインターネットという異次元の時代に入っていた。私は出版、特に雑誌業界への影響の大きさを予見していた。日刊、週刊、月刊と刊行サイクルの短い順に雑誌が、とりわけ情報誌的要素の強い順に破壊されるだろうと思った。そしていずれは大出版不況をもたらし、出版業界は冬の時代に入る、時代遅れの出版流通も激変するだろうと考え、故にネット世界へ早く踏み出すことは必須だった。

私は、「ホームページ」が主流であったインターネットの世界への興味は最初からなかった。「ポータルサイト」でない限り未来はやってこないと理解していたし、また「業界の発展に寄与する」社是こそがポータルサイト運営の試金石であると考えた。これをしっかりと機能させることが重要と考え、2000年6月にファイル・ウェブを事業化した。

私は主要メーカーを一社一社回って、月間300万円の事業資金をつくった。社内の既存の資金に一切手を付けず、完全に独立させてのスタートとした。協力をいただいた業界の各社に改めて御礼申し上げたい。

月間300万円かと思われがちだが、これを使うことから始まって17年後の今現在では、月間ユニークユーザー数140万人、月間ページビュー1200万超のモンスターサイトに成長した。出版不況の中で、信じられない結果を生み出しているのである。これこそインターネットの真骨頂であろう。

私は強い信念をもってファイル・ウェブを推進してきた。とりわけ2013年から2015年の間は第2の創業に近い大改革を施し、この間で170%近い成長を果たしている。2007年にスタートさせたSPという事業も軌道に乗っており、ファイル・ウェブと合わせると、既存の出版事業との割合がイーブンになる。こうして出版不況のあおりを10%?15%程に抑え、今後はリアルとバーチャルの組み合わせによって新たな出版体系を創出したいと考えている。

小社の業界の発展に貢献するという基本的なスタンスは、創業70年近い時間の中でも全く変わっていない。そしてファイル・ウェブもそれをしっかりと守り、今日を迎えている。

業界では、ややもするとファイル・ウェブを小社のホームページと認識されているかという場面も一部に見られるが、世界に通じるポータルサイトとして見ていただき、しっかりと業界と共存したい。同時に、偶然ではない本質的な未来志向のマネジメントとして、認識いただければ幸いである。

ファイル・ウェブを通じて小社は、業界発展のために普遍の精神で全力投球していきたい。

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