奥村 正之氏

プロジェクター&スクリーンの
潜在需要喚起を加速
オプトマの実力を示す、
第2ステージの幕開けへ
株式会社オーエス
代表取締役
奥村 正之 氏
Masayuki OKUMURA

ユニークな商品づくりを武器に、プロジェクター市場での存在感が俄かに高まる“オプトマ”。ライフスタイルの多様化に伴う用途の広がりを大きなビジネスチャンスと捉え、貪欲に需要喚起に挑む。注目されるこれからの展開を、同製品を日本で取り扱うオーエス・奥村正之社長に聞く。

新商品が発表されただけで
商品を見なくてもご注文いただける
そんなブランドにオプトマを育てていきたい。

需要喚起へきらりと光る
ユニークなものづくり

── 当誌面でお届けしている売れ筋ランキングにおいて、昨夏位からオプトマ製品の登場が大変目につくようになりました。オプトマの存在感が俄かに高まりつつありますが、御社ではどのような背景から、このブランドをお取扱いになるようになったのでしょう。

奥村まず、販売にご尽力いただいている販売店の皆様に御礼申し上げます。われわれがオプトマに出会ったのは2006年、DVDプレーヤー付きのプロジェクターを彼らが世界に先駆けて発売したときで、実は、そうしたオールインワンの商品を作ることを考えていたところでした。一方オプトマも日本市場導入へ向け、きちんとしたメンテナンス、サービスのできるパートナーを探していて、我々スクリーン専業メーカーとしては、プロジェクターがなければ始まりませんから、是非、そうしたユニークな商品づくりを行う会社とやっていきたいとパートナーシップを結び、10年という時間軸の中で体制を強化してきました。

その間、ユニークな使い方ができる手のひらサイズのポケットプロジェクターも出てきましたし、斬新なデザインやDLPの高画質も高く評価されています。そして、一昨年に発売したLED光源のフラグシップモデル「HD90」が大きな反響を集め、「オプトマ」ブランドの認知が急速に浸透しました。10年という区切りを迎え、さらに一歩踏み込み、皆さんにもっとオプトマを知っていただき、商品を楽しんでいただきたい。まさに第2ステージの幕開けを迎えたと意気込んでいます。

── 現在の日本のホームシアター市場をどのようにご覧になられますか。

奥村2000年に南青山にショールームを構え、販売会社もそのものズバリ「ホームシアター」という名称でスタートを切りました。ライフスタイルや経済環境は変わっても家族のだんらんや共通の話題を提供する「ホームシアター」という世界を力強く提唱していくコンセプトは不変です。映画館でご覧になるよさはもちろんありますが、一方、家で好きな映画を好きな時間に好きな人とゆっくり鑑賞できるのがホームシアターならではのよさ。市場はシュリンクしていますが、まだまだその魅力を十分にご理解いただけているとは思えません。

少子高齢化の社会になり、団塊世代の方が年金生活に入ります。大変元気いっぱいで、余暇をどう楽しまれるか。そこでもホームシアターをひとつの趣味にしていただけるのではないでしょうか。お孫さんが遊びにいらしたときのコミュニケーションツールにもなり、大きなチャンスが広がっています。

映像配信もどんどん便利になり、わざわざレンタル店まで足を運ぶ手間を省いてくれます。最近はパブリックビューイングが当たり前になりました。スポーツのビッグイベントを、プロジェクター&スクリーンの大きな画面を前に大勢で見るとやはり応援するにも熱が入り、楽しくなりますね。

── そうした新しい流れのなかで、新しいユーザー獲得への手応えはいかがですか。

奥村例えばコンパクトなモバイルタイプ「ML750」が今、よく売れています。スマートフォンやPCの映像を映し出し、少人数で集まり気軽に楽しめるもので、従来とはまったく違う楽しみ方をされるお客様です。DVDをつないで映画を見るだけの世界にはもはやとどまりません。世の中の変化に合わせ、多機能化していく。そこについていかなければ成長はありません。本格シアターからリビングシアター、さらにパーソナルの用途まで、お客様のニーズをしっかり掴むことができるチャレンジが大切です。

信頼感を築き上げる強み
サービス&メンテナンス

奥村 正之氏── 市場でも期待の高まる4K化の動きに対しては、1月のCESで4Kプロジェクターがお披露目されました。

奥村テキサス・インスツルメンツ(TI)からもデバイスが正式に発表され、オプトマでは年内の発売を目標に進めています。日本市場にも速やかに実機の検証を行って、できるだけ早い時期にお届けし、ご期待にお応えしたいですね。

── オプトマのポジションがここまで高まってくるなかで、サービスやメンテナンスに対するお客様やご販売店からの信頼感の醸成は見逃せないポイントですね。

奥村日本市場へ導入するプロジェクターはすべて、日本市場に合うように我々がチェックを行っています。また、メンテナンスもすべて我々の自社工場で行っていますから、台湾まで送り返すこともありません。オプトマを取り扱い、10年のノウハウが蓄積され、開発を手掛ける技術部と製造部それぞれにオプトマのチームがある二重の体制で、専任の技術者が目を光らせています。営業サイドにおける技術面の理解も格段に進んでいます。

また、現在のラインナップは先日発表した新製品のHD37を含めて8モデルになりますが、オプトマからは世界市場へ向けて、本当に数多くの機種が発売されています。その中から、日本のお客様に特長をご理解いただきやすいものを、われわれがきちんと確認、選別して市場に投入しています。

今、どこへ相談したらいいのかがわからない複雑な商品やサービスが当たり前になっていますが、ホームシアターもいわば、そうした総合力が問われるビジネスです。われわれオーエスグループでは、電気、通信、AV機器、機械部品、建築、住まいに至るまで、すべてのサービスをワンストップで提供できるのが大きな強み。オプトマにおいても製品のみならず、それに付随する様々な製品やサービスが大きくものを言っているのではないかと思います。

── さきほど、4Kについてお話を伺いましたが、今後のラインナップ拡大についてはどのようにお考えですか。

奥村今、3000ルーメンクラス以下のものが主流になっており、それを超える高出力のラインナップ充実がひとつのテーマです。高い専門性が要求されますが、技術の蓄積は十分にできており、積極的にチャレンジしていきます。一方、3000ルーメン以下の展開では、お客様やお取り扱いの専門店の皆様から「いい商品だね」とおっしゃっていただける商品をさらに充実して参ります。

── ホームシアターは体験型の商品ですが、ここでも勢いを増すECのウエイトが高まりつつあります。

奥村専門店とインターネット、大きく2つのチャネルがありますが、これまでは専門店さんにしっかりと商品をご理解いただき、お客様にきちんとご説明し、納得してご購入いただける環境の構築に注力してきました。HD92や4Kプロジェクターも、そうした中ではじめてご評価いただくことができる商品です。

薄利多売で商品知識が得られず、メーカーも開発費用が捻出できなくなる悪循環が随所で指摘されています。わが業界も例外ではなく、メーカーがきちんと責任を持ち、製・販・技が三位一体となって“売る力”を高めていく努力がますます大切になっていることを痛感します。

一方、オプトマというブランドをすでに十分に理解、信頼しているからネットで購入したいというお客様のニーズもあり、そこへ向けた商品も用意していく必要があります。HD26やGT1080はその先駆けでもあり、ここはきちんと区別して、幅広いユーザー層に対してオプトマの製品の魅力を広くご理解いただかなければなりません。

また、ネットでの購入には“信頼度のバロメーター”という側面を併せ持っています。日本では実際に商品を見て購入するケースがまだ多いですが、お住いの地域などによっては必ずしも実機をご覧いただけるチャンスがあるとは限りません。そうした中で、「オプトマの商品が欲しい」と選んでいただくために不可欠なのが“信頼”です。

10年の歳月をかけて培ってきたノウハウやアフターサービス、困ったらフリーダイヤルで気軽に相談ができる窓口「コンタクトセンター」などを充実させてきました。トヨタのレクサスのように、新商品が発表されただけで商品を見なくてもご注文いただける、そんなブランドにオプトマを育てていきたい。多くのお客様にファンになっていただけるような活動を行っていきます。

「あっ」と驚く商品で
マーケットを創造する

奥村 正之氏── プロジェクターはBtoB市場においても、教育現場では一層のデジタル化の方針が打ち出されるなど、市場拡大が期待されますね。

奥村文科省からは、2020年までに、学生にひとり1台のタブレットを配布する指針が出されており、一層のICT教育を推進していく方向で、まだまだ成長していく途上にあると言えます。

── さきほどお話に出てきたモバイルタイプのML750はじめ、短焦点や超短焦点の商品など、使用シーンもさらに拡大していきます。

奥村私たちを取り巻く生活やライフスタイルが変化していくなかで、アイデアや知恵を注ぎ、皆さんに喜んでいただけるものづくりを行っていきたい。その中のひとつとして、オプトマという製品があり、「いままでにないユニークな製品を提供していきたい」という彼らの考え方は私たちと同じもので、新しいコンセプトや使い方で、「あっ」と驚くものをお届けしていきたい。

オーエスグループでは、映画の持つ大きな魅力を多くの子供たちに広めるという趣旨に賛同し、「カンボジアに映画館を作ろう!」というNPO法人CATiCのプロジェクトを応援し、スクリーンの提供を行っています。一企業としての活動にとどまらず、さらに広い視野からマーケットを創っていくことがとても大切になります。

日本でもホームシアターのマーケットがシュリンクしていくなかで、我々が少しでも皆さんのお力になり、業界を活性化していきたい。もっといろいろなブランドやメーカーにこぞって新規参入いただけるような魅力のある業界でなければなりません。全世界のプロジェクター販売台数に占める日本のシェアはわずか3%に過ぎません。この数字をさらに高められるように、また、専門店さんが一層元気を出してビジネスを創造できるように、プロジェクター&スクリーンの訴求にさらに力を入れて参りますのでご期待ください。

◆PROFILE◆

奥村 正之氏 Masayuki OKUMURA
大阪府出身。1989年9月 (株)オーエス入社、1990年12月(株)オーエス 代表取締役に就任。2000年10月 (株)ホームシアター(現(株)オーエスプラスe)代表取締役に就任。現在に至る。

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