鈴村文徳氏

最上位モデルを筆頭に体感を推進し
プロジェクター市場を大きく刺激する
エプソン販売(株)
取締役
販売推進本部長
鈴村文徳氏
Fuminori Suzumura

満を持して投入された4Kモデル。No.1シェアでプロジェクター市場をけん引するエプソンの活躍で、ホームシアター市場のさらなる活性化に期待が高まる。スマートグラスなど話題の商品を連打する取り組みを、鈴村氏に聞く。

 

好調に推移する
プロジェクター展開

── 御社の4K対応プロジェクターEH-S10000が総合金賞を受賞されました。

鈴村大変栄誉ある賞をいただきまして光栄です。誠にありがとうございます。EH-LS10000は、弊社が満を持して投入した4K対応プロジェクターで4Kエンハンスメントデバイスを用い、フルHDの解像度を2倍にして4K解像度を実現したもの。レーザー光源により完全な漆黒や広い色域を再現することができますが、お客様やご販売店様に高くご評価をいただけ、大変心強く思っております。

4月に発売を開始して以来、おかげさまで予想以上のご注文をいただきました。7月初旬頃までバックオーダーを抱える状況になっており、現在その解消に向け全力を挙げて取り組んでおります。

── 御社がNo.1のシェアを誇るプロジェクター市場に、またひとつ大きな商品が加わったわけですね。

鈴村日本の家庭用プロジェクター市場はややシュリンクするトレンドが続いていましたが、一昨年に当社が10万円以下のフルHDモデルとして投入したEH-TW5200により需要が伸び始めました。当初需要は一巡すれば減ると見ていましたが、昨年も1年間毎月前年比大幅クリアとなり、かなり力強い形で売上げが伸長しました。

そして今回最上位モデルEH-LS10000を投入したことにより、フルHDの上位モデルEH-TW8200、EH-TW6600もさらに好調に推移しており、ラインナップ全般が好調なのです。低価格モデルで新規のお客様が導引され、最上級モデルでタテ方向にもお客様の動きが誘引されていると実感しております。

一時薄型テレビにお客様の意識が集中していましたが、今またプロジェクターのよさが再認識されたと大きな手応えを感じます。ホームプロジェクターは当社が展開する商品カテゴリーの中でも、非常にポジティブな状況にあると言えます。

── お客様は4K対応プロジェクターの購入に際して、御社の商品が投入されるのをずっと待っていたようですね。AV・ホームシアターの業界全体にとっても大変嬉しいニュースだと思います。

鈴村非常にありがたいことです。今ご購入いただいている方はやはり待っていてくださったかと思います。その需要が一巡した後は、こうした商品に価値を感じて投資をしてくださる方々に対して、さらに積極的にアプローチしたいと考えます。富裕層の方々に照準を据えたエリア戦略なども視野に入れております。

体感重視の仕掛けを連打
積極訴求で拡販へ

鈴村文徳氏── 商品の訴求について、具体的な施策は。

鈴村新しいお客様の導入に際しても、非常に重要な要素となるのはやはり体感の促進です。昨年来当社では、脈拍計測機能付き活動量計やスマートグラス、そしてプロジェクターといった話題の製品を対象に、お客様のご自宅などで実際に使っていただけるレンタルサービスを開始しています。プロジェクターではEH-TW5200を対象としましたが、サービスをご利用されたうちの3割の方に購入いただきました。

体験促進の施策として大きな手応えを感じていますし、こうした体験の機会はもっと増やしていきたいと思っております。全体の対象機器の拡大も視野に入れて、今後も引き続きこうしたサービスに力を入れて参りたいと思います。

またご販売店様に対しては、商品の特長やよさを分かっていただくための環境づくりをお願いしております。EH-LS10000については大変なお願いとは承知していましたが、完全暗室によるデモ環境の整備を希望したところ、新たに場をつくってでも展示したいとおっしゃってくださるご販売店様がいくつもありました。特に量販店様では昨今暗室の設置も少ない状況ですが、この商品のためにと名乗りを挙げていただけ、本当にありがたいと思います。

── 今回も受賞を果たされたスマートグラスMOVERIO≠フ手応えはいかがでしょうか。

鈴村この商品についてはテレビコマーシャルも投入しており、非常に注力しています。当社の脈拍計測機能付き活動量計“PULSENSE”と同様、スマートグラスもウェアラブル端末として親和性の高い展開を行っています。今後は中期的に、ウェアラブル端末がエプソンの事業の柱のひとつに成長できるよう、いろいろな可能性を測っているところです。新しい提案を通し、エプソンらしい商品をご提案しながら、お客様にしっかり認めていただくアプローチを連打していく必要があり、そうした中でスマートグラスの存在は、非常に重要だと考えております。

店頭訴求には、さまざまな工夫が必要だと思っています。ウェアラブルに関連したパブリックイベントなどに出展すると、スマートグラスの体験コーナーには大きなリアクションがあり常に人だかりができますが、お客様ご自身の生活の中でこの製品をどう楽しむかというところまで具体的にイメージしていただくには、もっと踏み込んだ提案がなくてはなりません。店頭でのそうした提案を、しっかり構築していきたいと思います。

またBtoBでの展開も順調に推移しており、最近は旅行会社さんに観光案内のツールとしても利用していただきました。スマートグラスを装着してツアーに参加し、お城の天守閣や江戸時代の町並みなどをリアルなイメージで体感できるといったように。いろいろなご提案を通じて、今後もしっかりやって参ります。

── 直近の夏商戦も楽しみになってきます。

鈴村体感の推進を重視し、これまで同様にしっかり商品訴求して参ります。特にプロジェクターについてはシェアをいただいている立場として、市場活性化のためにもしっかりとした展開を行わなければと心得ています。ご販売店様とご一緒に推進して参りたいと考えます。よろしくお願い申し上げます。

◆PROFILE◆

鈴村文徳氏 Fuminori Suzumura
岐阜県出身。1990年4月 エプソン販売(株)入社。2009年4月 プロダクトマーケティング部長、2013年4月 BP MD 部長、2014年6月 取締役、2014年7月 取締役 販売推進本部長。

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