川西 将文氏

強力コンテンツによる差別化を前面に打ち出し
期待の4K化推進でも先陣を切る“攻めの年”
スカパーJSAT株式会社
執行役員常務 有料多チャンネル事業部門
カスタマー事業本部長
川西 将文氏
Masafumi Kawanishi

課題とされていた標準画質の放送終了、さらに、ユーザー分析にも強さを発揮するシステムへの移行を昨年無事終えたスカパー!。今年は、商機拡大へ期待の募る4K化へも先陣を切り、腕を鳴らす“攻めの年”と位置付ける。川西将文氏に意気込みを聞く。

 

何よりスポーツを4Kで見ると
見方がガラリと変わることに
大変驚かされます

ココロ動かす4K放送普及へ
スカパー!が先鞭を着ける

── テレビ市況が回復の兆しを見せる中での先の年末年始商戦となりました。取り組みの成果はいかがですか。

川西「史上最大の一挙放送」と銘打ち大々的に展開しました。昨年一年、ひとつでも多くのコンテンツをご紹介しようと取り組み、既に加入いただいているお客様の間ではARPU(加入者一人当たりの月間売上)も上がり、満足度の向上に手応えを感じています。一方、反省点としては新規加入が思ったほど伸長しなかったこと。新しいチャレンジや話題づくりの重要性を痛切に感じています。

WOWOWさんでは、長年にわたって力を入れてきたテニスが昨年、錦織圭選手の活躍もあり、新規加入が急増しました。我々も「サッカーならスカパー!」ということで、Jリーグとも連携したサッカーのJリーグ中継では、お客様からの満足度も非常に高いオンデマンドを含めたサービスを提供しています。こうしたスカパー!ならではという取り組みを一層強化していくことが大切です。

── 今年は4Kコンテンツの拡充が重要テーマとして期待されますが、3月1日に4K専門放送「スカパー!4K 映画」「スカパー!4K 総合」がいよいよ開局となります。

川西4Kは高精細化という流れの中での技術革新で、かつて話題を集めた3Dとは違い、必ずや4Kの時代が来ると確信しています。放送が充実するのも時間の問題です。現在、NexTV-Fで4K試験放送「Channel 4K」が放送されていますが、“試験”放送ということからいまひとつ盛り上がりに欠けるのが実情です。「スカパー!4K」で本格化への先鞭を着けられるよう力を入れて参ります。

── 4Kコンテンツへは各社取り組みを強化されますが、「スカパー!4K」の差異化ポイントをお聞かせください。

川西ひとつは映画専門チャンネル「スカパー!4K 映画」。4Kコンテンツがまだ少ない中、クオリティ等を考えるとやはり映画のニーズが高くなると考えています。しかし、ハリウッドでも対応作品は500本前後、テレビ用のマスターともなるとさらに数は少なくなり、邦画にいたっては数十本のレベルです。そこで今回はPPV方式として、年間で約50本、毎週1本は新しい作品をお届けできるようにしていきます。

総合チャンネル「スカパー!4K 総合」では、自主制作も行うJリーグ中継が大きな目玉のひとつです。毎節、好カードを選んでライブで放送します。この一年半くらい、我々も4Kの自主制作を行ってきましたが、何よりスポーツを4Kで見ると見方がガラリと変わることに大変驚かされています。サッカーでは自分も選手と同じピッチの上に立って見ている感覚で、迫力は段違いです。放送事業者さんにもご協力いただき、プロ野球でも何試合かは4Kでお届けしていく予定です。

4K放送は非常に鮮明ですから、広角で捉えても、ボールを鮮明に追い掛けることができるのが特長です。例えば野球でピッチャーが投げ、バッターが打ち、背後でランナーが進塁していくシーンを、球筋をはっきりと追いながら、スタジアムで観戦しているかのように見られるのです。ハイビジョンでも同じ仰角はありますが、精細度が違うため球筋まで判断できません。ですからどうしてもボールを追い掛けてズームしなければならず、臨場感が損なわれてしまうわけです。

4Kのスポーツライブは「スカパー!4K」ならではの圧倒的な差別化ポイント。この興奮を是非、ひとりでも多くの方に体感いただきたいですね。また、昨年はアリスやポール・マッカートニーのライブをChannel 4Kで4K放送しましたが、音楽ライブも月1回のペースでお届けしていく予定です。

テレビの付加価値を引き出す
スカパー!プレミアムサービス

川西氏── しかし、4Kの魅力もまだ多くの方にとっては実態が掴み辛いのが実情です。

川西ご販売店でも大変苦労されており、現在のハイビジョン放送もアップコンバートしてよりキレイに見られるとか、画面が50V型を超えて大きくなっても粒子の粗さが気にならないといった説明もされています。しかし、お客様の心を揺さぶるにはやはり、4K放送の素晴らしい映像を目の当たりにしていただくのが何より。3月からはChannel 4Kを含めて4K放送が3チャンネルに増え、充実感を徐々に実感いただけると思います。

── 4Kの普及へ鍵を握るのはまさに体感ですね。

川西とにかく家電店へ行って4K放送を実際に見ていただくプロモーションを、メーカーさんとも協力して強力に推進します。3月から5月にかけてはキャンペーンも行い、一足先に2月1日からは東芝さんとタイアップして、スカパー!プレミアムサービスチューナー内蔵の4Kテレビ「レグザZ10Xシリーズ」を購入されたお客様に、アンテナとスカパー!プレミアムサービスの視聴料が2ヵ月無料になるキャンペーンを展開します。

売り場では「スカパー!」が主軸になり、ハードからソフトのビジネスに転換され、販売しづらい面も見受けられました。しかし、4Kでは「スカパー!プレミアムサービスチューナー」というハードが導入部となりますから、販売店さんが得意とされる切り口になります。プレミアムサービスチューナーを内蔵している東芝レグザ Z10Xシリーズに「スカパー!4K」を一体化した売り場での展示展開は、お客様がイニシャルコストの負担なしに4K放送を見る環境を手に入れられる提案として、4K化の加速に大きく貢献するものと確信しています。スカパー!プレミアムチューナー内蔵4Kテレビという選択肢がさらに拡大するよう、この1年はまさにその火付け役の年になります。

── 4Kをはじめとするテレビの付加価値啓発へ、スカパーの商品力に対する認識を店頭でも再確認する必要がありますね。

川西テレビ好きの方が数多く加入されるスカパー!では、新規加入の実に46%の方が40V型以上のテレビを使用されています。売り場では是非、4Kテレビをはじめとする大画面テレビ購入のお客様へ、映画やライブ、スポーツ、さらに4K放送の醍醐味を体感できるスカパー!プレミアムサービスをお薦めください。チューナーを内蔵した東芝レグザZ10Xシリーズでは、スカパー!プレミアムサービスで4K放送を手軽にお楽しみいただけるところまでトータルで訴求いただきたいですね。

―― 御社のキャンペーンでは、堺雅人さんを起用した「全てのテレビにスカパー!が入っています」というCMが大きな話題を集めました。

川西啓発効果も大変大きかったですね。スカパー!の新規加入も急増しました。しかし、スカパー!ではもっとたくさんのチャンネルを楽しみたいお客様に、「スカパー!」の69チャンネルに対し、すべてハイビジョンで159チャンネルある「スカパー!プレミアムサービス」をご用意しています。3月からは4K放送も見ることができ、この機に、2つのサービスの違いをより明確に訴え、プレミアムサービスへの移行も推進していきます。

現在、プレミアムサービスには「プレミアムサービス」と「プレミアムサービス光」の2つのサービスがありますが、ここもわかりやすく、3月からは共用のハイブリッドチューナーを用意し、サービス内容も今後統一を図ります。アンテナをつけて見るか、光ファイバー(FTTH)で見るかで選べるようなスタイルを目指し、FTTHからも4K放送が見られるようにします。

昨年4月には有線放送事業会社のオプティキャストを合併しました。集合住宅とフレッツ・テレビとを合わせて約180万世帯に同時再送信を行っていますが、「スカパー!」と「スカパー!プレミアム」の加入は約22万世帯にとどまっています。NTTの光回線の卸もスタートしますので、これからはフレッツ・テレビから多チャンネル放送を楽しむ動きもより活発化してくると予想しています。

多様化する価値に訴える
スカパー!オンデマンド

川西氏―― 多チャンネル放送の楽しさを身近に感じていただくために、「簡単」「わかりやすい」というキーワードは、売り手の側にとっても重要なポイントになっています。

川西お客様にわかりやすく、同時に、店頭での説明の際にも負担をできるだけ軽減できるよう腐心する中で、昨年スカパー!で始めた、好きな5チャンネルを選べて月1980円で手軽に始められる「セレクト5」というパックが大変好評です。基本パックでは3月31日まで半額キャンペーンを行っており、何れも店頭で迷うことなく、まずは気軽に加入していただき、自宅でゆっくりと番組を見ながら選ぶことができます。ご販売店にとっては販売がしやすく、今後も色々なアイデアを具現化して参ります。

―― 4K化と並んで注目されるテレビのスマート化では、テレビ離れが指摘される若年層の取り込みも期待されます。

川西コンテンツが若い人に向き合っていなければ、当然、振り向いてはくれません。「BSスカパー!」では「BAZOOKA!!!」「ミッドナイトZAP」「モノクラ〜ベ」など、これまで地上波ではできなかった一歩踏み込んだ内容の番組を放送しています。「こんな放送、今まで見たことなかった」と話題を集め、若者を刺激していければと思います。

デバイスとしてもテレビだけでなく、スマートフォンやPCでも視聴可能な「スカパー!オンデマンド」に力を入れており、登録者数は約40万件になりました。「部屋にテレビとパソコンの両方を置くスペースがない」「パソコンで見られるのに何でテレビが必要なのか」といった若者のライフスタイルに即したもので、スカパー!オンデマンドでは約半分の方がPCで視聴しており、外出されたときにはスマホやタブレットも利用されています。全ゲームをライブでお届けしているJリーグ中継などは大変好評です。

「スカパー!オンデマンド」は、映画のタイトルが何タイトルあるといったスタイルのものではなく、多チャンネルを活かした見逃し再生や、エブリフェアでどこでも見られる他にはないオンデマンドサービスです。ニコニコ動画やYouTubeなど、若者も見たいコンテンツがあれば視聴します。有料という壁はありますが、そこを超える魅力を提供し、若者に価値を認めてもらえれば、十分に加入していただけると思います。

── 昨年は「4K元年」と言われました。

川西この仕事をやっていると、「今年は○○元年」という言葉を毎年のように耳にします(笑)。スカパー!プレミアムサービスでは昨年、懸案だったH.264方式への移行も終了しました。新しいシステムも立ち上がり、現在ではお客様の視聴動向を随時細かく分析できるマーケティング態勢を構築しています。

デジタル化では先陣を切りましたが、HD化では後手を踏んでしまいました。2015年は攻めの年。コンテンツは一夜にしてはなりませんが、差別化を前面に打ち出し、目前の4Kでは、スカパー!が力強く市場をリードして参ります。

◆PROFILE◆

川西 将文氏 Masafumi Kawanishi
1957年7月5日生まれ、北海道出身。1996年3月 日本デジタル放送サービス(株)(現スカパーJSAT(株))よりセールスプロモーションや営業、放送業務に携わる。2009年6月(株)オプティキャスト 代表取締役社長(2014年3月31日、合併によりスカパーJSAT(株)に吸収)、2014年7月 有料多チャンネル事業部門 カスタマー事業本部長(現任)。

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