巻頭言

心が積極か

和田光征
WADA KOHSEI

2014年も終わろうとしている。私の言う、新たな時代の姿を生み出す「2015年論」はいい形で推移してきたが、やはり消費税増税と天候不順はアベノミクスに水をさした形となった。消費増税2%分においては1年半先送りの様相だが、年末商戦の只中が衆議院選挙となり、経済にどう影響するかが心配だ。やはり2014年は、調整的に機能した1年と言えるだろう。

「2015年論」の最終年である2015年は、いろいろな角度で年初からいい形を描いて欲しいと私は思っているが、円はどこまで下がって国内経済に影響を与えるか、予断を許さない。投資家から見れば日本の底力は、消費税増税がなくなり減衰すると判断されたわけだ。どのあたりで修正されるのか、経済の底上げしかないだろう。国の成長戦略に期待するばかりである。

さて、正月も近い。休みの間に精神のリフレッシュとして「黄金の言葉」を脳に刻み込むのも一考ではないだろうか。ここに中村天風の言葉を掲載する。

「我々人間がいろいろの物や事を思ったり考えたりするのは、何のためにするのかということについての本当の意味を知っている人は案外少ない。むしろ、今日は今日、明日は明日だ、生きているそのままで生きていると思っていない。原因的なものを全然考えないで、これは俺の蒔いた種じゃないと思っている。

ところが、そうじゃない。心のなかの考え方や思い方が、現在あるがごとき人間にしている。自分の念願や宿願、つまり現在自分がああなりたい、こうなりたいと思っていることが、叶う叶わないということは、それが外にあるのではなくて、みんな人間の中に与えられた心の思う力、考える力の中にある。それが分からないと信念は固まらない」。

「…お前の生き方に誤りがあるぞ、と自覚を促すために病なり不運なりが与えられたとしたら、恨みどころか、感謝にふりかえ、喜びで誤りを是正する方へと、自分の心を積極的に振り向けることがいちばん必要だ。悔やんだり、嘆いたり、心を弱くする暇があるなら、本来の積極的な方面にこころを振り向けかえる。結局、自分の心の置き所ひとつなんです、人生は。

たとえば事業がうまくいかない時でも『俺は運が悪いなあ』と思わないで、『ああ、何か俺の心構えなり、方法なりに大きな間違いがあったのを、こういう結果になって、天が教えてくれているんだなあ』と考えなさい。『どこかに俺の筋道の違っているところがあるんだなあ。ああありがたいことだ。このまま潰れてしまっても仕方ないのに、とにかく、生かしておいてくだされた。また盛り返すこともあるわい』」。

「心が積極か、あるいは消極かで、人生に対する考え方が全然両極端に相違してきてしまう。心が積極的であれば、人生はどんな場合にも明朗、颯爽溌剌、勢いに満ち満ちたものになるが、反対に消極的だと、人生のすべてがずっと勢いをなくしてしまう。人生を考える自分の心が消極的だと、人生のすべてが勢いをなくしてしまう」。

「心の態度が積極的になると心の強さが不可能を可能に逆転させる…」。

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