久保 省三氏

店頭をさらに充実させ、
イベントも積極展開する
商品に触れられる場をつくり、
お客様の声を聞く
ゼンハイザージャパン株式会社
代表取締役社長
久保 省三氏
Shozo Kubo

伸長する国内ヘッドホン市場で、高付加価値ブランドの地位を固めたゼンハイザー。音質の追求とともにデザイン系モデルやDJモデルなどのヨコ軸展開でさらなる伸長を図る。ゼンハイザージャパンの久保社長に、今後の意気込みを聞く。

 

さらなるお客様層の拡大を目指し
1万円台の価格帯で商品を拡充する

よりお客様の近くに
体験の場を提供する

── ゼンハイザーの歩みを、あらためてご紹介ください。

久保ゼンハイザーは1945年、現社長の祖父にあたるフリッツ・ゼンハイザー博士がドイツで設立した音響機器メーカーであり、「Laborw」という社名でスタートしました。46年に有線マイクDM1を、47年に2号機DM2を出した後、測定器や真空管アンプ、ミキサーなどを手がけました。1958年に社名を「ゼンハイザー」とし、マイクもワイヤレスの時代になります。各国でマイクのプロ機が、ステージやホール、スタジオや放送局などの現場で伸長しています。

ヘッドホンについては、1968年に世界初のオープン型ヘッドホンHD414をコンシューマー向けに発売し、全世界で1000万台以上が販売される大ヒットとなりました。これをきっかけにヘッドホンにも注力し、89年にはプロ用モデルのHD25がヒットしています。ヘッドホンではその後コンシューマーディビジョンが別途設立されて、プロ機とは違う展開で全世界にアピールしています。現状ではプロ機とコンシューマー機との割合は、全世界で50%対50%となっています。

販売については数十ヵ国に及んでおり、各国で現地法人または代理店が行っています。ゼンハイザージャパンが設立されたのは2007年。日本ではそれまで代理店展開を行っておりましたが、自社でサービスをより徹底したいという強い思いから新会社が誕生することになったのです。

── ゼンハイザーのブランドは、国内市場でますます存在感を増しています。

久保代理店は商品を販売し利益を出すことが目的ですが、現地法人はさらにブランドを浸透させることが使命となります。我々も当初からサービスとブランド強化に努め、特にお客様が商品に直接触れられる場を拡げようと、ショールームの設立、量販店様店頭での試聴用の什器の設置などを精力的に行ってきました。

昨年には、ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba様でゼンハイザーのブースを作らせていただきました。数多くの商品が並ぶ大型量販店様のヘッドホンコーナーでは、お客様が説明を必要とするシーンもあると思います。ゼンハイザーのブースではスタッフも常駐させ、きめ細かいサービスを行えます。コンシューマー向け全商品を設置してすべて試していただけますし、お客様からの細かなご要望もお聞きできて非常に有効です。こうした展開はさらに拡げていきたいと考えており、近くヨドバシカメラ マルチメディア梅田様で同様のブースが完成する予定です。

また、ゼンハイザーの商品に触れていただく機会の少ない地域では、一昨年から「ファンミーティング」と称するイベントを行っており、年間6回ほど開催しました。各地でファンの方々に集まっていただき、デモをし、皆様の声を聞く。こうした機会もできるだけ増やして参ります。さらに2月には、大阪営業所をスタートしました。販売以上にサービスの強化を目指しており、プロ市場でもコンシューマー市場でも、お客様の直接の声をもっともっとお聞きしたいと思っています。

プロ機で培った技術で
高付加価値を訴求する

── 国内ヘッドホン市場をどうご覧になりますか。

久保ヘッドホンを愛用される方は非常に増えており、日本では特にハイエンドの市場が活発です。国内市場での海外メーカーのシェアは、台数で10%、金額で20%ほどとなっており、商品単価が高いのです。そうした中で我々のシェアも、おかげさまでかなり伸ばすことができました。さらに幸せなことにこの市場は浮き沈みがなく、過去からほぼ一定です。テレビやデジタルカメラなどのカテゴリーは大きく変化していますが、ヘッドホンに関しては若干の伸びを示しながら、コンスタントに成長を続けているのです。

ヘッドホンはある意味消耗品でもあり、最初はポータブルプレーヤーに付属しているものを使用しても、壊れたりして買い替える必要が生じますね。そこで店に行って聴いてみると、いいものに出合い、上へ上へと志向される方も多いのです。そういう意味でも聴ける場を増やすことは重要であり、当社も含めて各メーカーさんがそういう動きをすることによって、ますます市場拡大につながっていくと思います。

── 御社のヘッドホン商品について、現在の構成をご紹介ください。

久保我々はマイクもヘッドホンも、もともとプロ機やハイエンドのモデルから手がけています。ヘッドホンで日本市場にもそうした商品を投入してきましたが、昨今ではそこからさらに商品構成を拡げ、できるだけ多くの方に手の届きやすい価格帯で、いいものをご提供したいと考えています。

最近のヘッドホン市場ではファッションの一部としてデザイン性を重視したものが注目されています。我々も昨年そうしたカテゴリーにMOMENTUMというシリーズを投入しましたが、これが非常に伸びております。先頃アイボリーのモデルも加えて全部で7色を展開しており、非常にご好評をいただいています。またDJタイプも拡張しております。1月のCESで出展しましたHD8 DJ、HD7 DJ、HD6 MIXなども含めてバリエーションを増やし、積極的に展開したいと思っています。

さらに先頃、ゲーム用モデルとしてG4ME ONE、G4MEZEROという新商品を発売しました。こうしたモデルは海外では浸透していますが、オンラインゲームで、複数のメンバーでシューティングやバトルを行いながら指示を出し合ったりするためのヘッドセットです。日本でも今後、この業界が盛り上がっていくことに期待しています。また今後は、ワイヤレスヘッドホンの需要も伸びると見ており、注力していきたいと思います。

昨年には、初めてのヘッドホンアンプとして、USBデジタル入力対応のHDVD800、アナログ入力専用のHDVA800を発売しました。おもに我々のHD800やHD650といった高級ヘッドホンを所有されているお客様を対象としたものです。高額な商品として我々も慎重に発売しましたが、想像を絶するご支持をいただき大変ありがたい思いです。HD800やHD650との同時購入も増えています。

今後はこうしたカテゴリーでもバリエーションを増やし、システムでのご提案もしたいと考えます。今話題となっているハイレゾも我々にとって重要な領域で、この切り口でおおいに訴求したいと思います。

ゼンハイザーはコンシューマー向けだけでなく、パイロットや空港の管制官、またコールセンターで使っていただくような、あらゆるプロの方向けの商品も展開しているのが特徴です。プロ系、コンシューマー系と2つの大きな商品レンジでマイクやヘッドホンを展開していますが、両者に共通するのはトランスデューサーです。

音を電気信号にする、あるいは電気信号を音にする、どちらもトランスデューサーの役割であり、マイクもヘッドホンも根本的な技術は一緒なのです。1945年からマイクで培ってきたトランスデューサーの技術が我々の武器。それがマイク同様ヘッドホンにも活かされ、いろいろなシーンでお客様のご要望に応えしているのです。

久保 省三氏さらなる伸長を目指し
普及価格帯モデルを拡大

── ヘッドホンでのボリュームゾーンの価格帯はどのあたりでしょうか。

久保やはり得意とするのは高価格帯。おかげさまで2009年に発売したハイエンドモデルであるHD800は、いまだに大変好調です。2012年の末に発売したIE 800は生産が追いつかず、1年ほどずっと皆様にご迷惑をおかけしてしまいました。生産体制を強化し、昨年12月頃からようやく受注残が出ない状況になってきたところです。日本はIE 800の全世界での販売台数が突出して1位、HD800も日本が全世界のトップ3に入っており、日本のお客様の高い志向を感じます。

こうしたこともあり、おかげさまで当社の売上げは右肩上がりの状況となっております。2011年度、2012年度はそれぞれ前年比で約130%の伸長となりました。2013年度も好調に推移しており、上昇を見込んでおります。

昨今のヘッドホン市場では、普及価格帯の商品を求めていたお客様も、さらに上の価格帯の商品のよさを知ってくださるようになりました。我々の普及価格帯の商品を増やそうとする動きと、お客様が上を求める動きとで、我々とお客様との接点はより拡がってきたと思いますし、2014年度のさらなる伸長へ、はずみがつくものと思っています。

── いいものを適正価格で訴求し、お客様がついてきてくださっている結果ですね。

久保日本のお客様はいいものに惜しまず投資する志向をもたれていると感じますし、我々も市場価格を安定させることに心を砕いて来ました。全国どこでも同じ値段でご提供できるよう、営業部隊が頑張っております。これも我々の一つの成功の鍵かと思います。

これからはますますお客様との接点をもつため、見て、聴いていただく機会を増やしていきたいと思います。全国各地のお客様にできるだけ近づき、高品質を訴求したいのです。ファンミーティングを始め、今後もこうした活動をしっかりと継続していきます。

◆PROFILE◆

久保 省三氏 Shozo Kubo
1947年兵庫県出身。69年 大阪工業大学電子工学科卒業、東亜特殊電機(株)(現TOA(株))入社。2007年 ドイツ23年滞在を含む延べ35年間の海外勤務を歴任後2月TOA退職、同年4月Sennheiser(独)本社入社 Japan Operations CEO就任。11月 ゼンハイザージャパン(株)設立 代表取締役社長に就任、現在に至る。

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