巻頭言

34年を迎えたオーディオ銘機賞

和田光征
WADA KOHSEI

ことしもまた小社発の「オーディオ銘機賞」、「デジタルカメラグランプリ」、「ビジュアルグランプリ」、「アクセサリーグランプリ」、「ホームシアターグランプリ」の審査会が行われた。年末商戦を盛り上げる大展開である。ここ数年の市場の激変によって商品が様変わりしてきたが、商品数は相変わらず多く、各企業のチャレンジ精神を強く感じる。各アワードは、小社発行の各コンシューマー誌、フリーペーパーともどもファイル・ウェブでも受賞結果を発表するので、そのインパクトは強烈であり、今や業界の核となっているのが実情である。

そんな中、小社の褒賞の原点である「オーディオ銘機賞」が今回で34年目を迎えた。小社創業30周年を記念して創設されたのだが、審査員をオーディオ評論家側とオーディオ専門店側で構成し、注目を集めた。巷のほとんどのアワードが評論家のみによる審査であったところに、オーディオ専門店が対等に加わったことで、オーディオ銘機賞の権威は決定的になり、商品の市場展開にとって、受賞することがいかに重要かは言うまでもないものとなった。

創設第一回、オーディオ専門店側の審査委員長はテレオンの鈴木七之丞社長、評論家側は浅野勇先生であった。専門店側の審査員は仙台の振興電機・氏家正一社長、オーディオユニオン・広畑照一社長、横浜サウンド・樋口信次郎社長、九州の北九無線・糸山英社長等6名で構成、評論家側は菅野沖彦、若林駿介、神崎一雄、斎藤宏嗣の各先生。毎年の審査会は再会を期す楽しいものであった。

そして34年が経過。審査委員長は鈴木社長→広畑社長→大阪屋・森田利一郎社長の長男である正二社長へとバトンタッチされ、今日を迎えた。評論家側審査委員長も浅野勇先生→菅野沖彦先生→斎藤宏嗣先生→藤岡誠先生へバトンタッチされ、審査会は益々盛り上がりを見せている。

さらに今回から、中国及び東アジア市場をターゲットにした中国ナンバー1オーディオ誌である「現代音響」誌内にブックインブックとしてページを構成し、オーディオ銘機賞の発表を行う。

本賞は今年で34回となるが、特筆すべきはアキュフェーズが、今回も含め18回にわたって最高賞である金賞を受賞していることだ。近年では7年連続の受賞となっている。第一回でC-200S、P-300Sが満場一致で選出されたのを昨日のごとく覚えているが、それ以降創出された優れた製品の数々、その活躍ぶりは驚異的で素晴らしいことである。創業50周年を迎えたアキュフェーズに対して心から敬意を表したい。まさにハイエンドオーディオの雄として、強い理念・信念を有し、微動だにせず銘機を創出された。創業者春日仲一会長、春日二郎社長、そして出原真澄社長、杉浦浩司社長、現在の齋藤重正社長により永々と受け継がれ、さらに磨きがかかったからだと言えよう。

こうしたアキュフェーズ製品同様に、ハイエンドの世界は魅力ある製品群が多く、そのことが安定した消費構造を確立していると言っていいだろう。熱心なマニアがそれほどにこの市場に安定的に存在するということである。

そういう意味で、「オーディオ銘機賞」はこの賞名と、業界の発展に寄与する理念を遵守し、オーディオ市場を創造、小社他アワードともどもしっかりと責務を果たして参りたい。

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