巻頭言

大義が礎

和田光征
WADA KOHSEI

年末商戦を控え、「ビジュアルグランプリ」、「オーディオ銘機賞」の選考会が開催され、多くの優秀商品が栄誉を得た。何よりも嬉しいことは、メーカーからエントリーされた選考対象商品数が、昨年を上回る約600点に上ったことである。年末商戦の盛り上がりを予測するに余りある動きであり、大いに期待でき楽しみである。

小社主催のアワードは、雑誌名を冠していない。その理由は、アワードの理念が「業界の建設的発展に寄与する」という小社の社是に起因するからであり、そのため普遍性が大切だからだ。まずは業界が発展することが第一義であり、大義である。

業界発展とは何か、それは最終消費者の発展を目的として、販売店、メーカーともに発展を遂げるということである。メーカーは最終ユーザーを念頭におき、ものづくりに真摯に取り組み期待に応えていく。販売店は顧客に対し、望ましい商品を真心こめてお渡しする。只儲かるからではない大義に根ざした行動、システムがなければならない。

同時にアワードを主催する側は、まずもって自社の媒体をたえず徹底強化し、より普遍性のある方向でたゆまぬ努力を続け、使命を果たさなければならないと私は思っている。そのことについて毅然とした対応が必要であろう。

ビジュアルグランプリについて話を進めよう。このアワードはビジュアルの市場規模がいかに巨大であるかの認識が必要であり、そのことにおけるマーケティングが欠かせない。私は審査会で時折、市場実態について話をすることがあるが、日本のビジュアル製品は国内を飛び出し、そこに寄せられる要望についてもまさにグローバル化という域まできている。

従って私どもは、アワードの内容を発信する媒体の強化に取り組んできた。そのひとつが、2000年に完全立ち上げを行い、コンテンツを鋭意充実させてきたファイル・ウェブの存在である。ヒット数は今や月間2億というところにまで成長している。7年前の年頭挨拶で全社員、そして業界に「ウェブの強い出版社しか生き残れない」と宣言したことが、今現実となったと言ってよい。

ウェブの強化同様に、ウェブ世代をがっちり掴むために紙媒体ページのカラー化を行ってきた。小社発行の月刊「AVレビュー」、隔月刊「ホームシアターファイル」、季刊「アナログ」の完全カラー化、季刊「オーディオアクセサリー」も11月売りから70%カラー化、本誌「Senka21」も80%カラー化を実現しているのである。戦略的にも媒体のカラー化は一般常識であり、お陰様で各誌の存在価値はますます高まっている。

ウェブそしてリアルの紙媒体、ここで発信されるビジュアルグランプリの結果は、店頭でビジュアルグランプリのマークを貼付された商品の実力を保証する。ウェブとリアルの相乗効果により、ビジュアルグランプリのマークは購入者の背中を押す安心材料となり、購買率を確実に上げているというのが実態である。

このような流通とのコラボレーション強化、また中文版ホームシアターファイル誌で台湾をはじめ中文圏へ、ファイル・ウェブでは英語版で全世界へと情報発信し、ビジュアルグランプリのグローバル化を推進している。故にその責任は重大であり、何はともあれ大義を外すことなく自然体で発展させていきたい。

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