巻頭言

新富裕層を掴め

和田光征
WADA KOHSEI

「AV機器を買う場合は、触れて視て聴いて確認したい。かといってムラ的匂いのする専門店にはいきたくない」という30代から40代が中心の新富裕層が、高額商品のターゲットユーザーとして注目されている。

彼らは自分で情報を管理し、自らの主体で購入決定するという特性がある。例えば販売店のアドバイスや評論家の評価は、彼らにとって情報のひとつでしかなく、それらを総合して最終的に己で判断する訳である。その情報収集先として「ファイル・ウェブ」が選ばれている。新富裕層を含む130万人以上のオーディオビジュアルファンが「ファイル・ウェブ」に集結しているといっても過言ではないだろう。  

オーディオビジュアルファンは、インターネット上の溜まり場としてファイル・ウェブを選択した訳であるが、色々なサイトがある中で、なぜファイル・ウェブなのか。それはニュースの内容ひとつをとっても、他とは全く違うからである。液晶テレビひとつ、スピーカーひとつ、またすべての機器をとっても私たちはその商品を識り尽くして書いているからで、彼ら訪問者はそのことをしっかりと見抜いているのである。  

前述の新富裕層は、専門店を好きではないところが問題である。どちらかと言えばライフスタイル重視型の層であり、家族との絆はことの外強い。オーディオは好きだが、凝り固まったおたくマニアではなく、むしろ、生活をエンジョイする中で音楽や映画が欠かせないという層である。彼らが専門店に行っていないから専門店経営は厳しくなるし、その将来性が危ぶまれるのである。専門店の古い体質がその主たる要因であるが、経営者の人たちも高齢になり、新富裕層の人達のスタイルとは合わないのである。店舗そのものを若返らせ、昔ながらのクロストークや手法は新富裕層を狙うとすれば、一考を要するであろう。  

有望客である新富裕層はずっと潜在化していて、顕在化する場所として専門店を選ばず、かと言って量販店に通っている訳でもない。それがファイル・ウェブによって完全に顕在化してきた訳である。  

前号で紹介した「PWDMS」を使ってのイベントは、満席のお客様がまず保証される。それもイベントのテーマに関心がある人達だけが集結し、必ず購買に結びつく訳である。ここに新富裕層も入ってくる。これは消費者革命であり、流通革命なのである。つまり、顕在化された富裕層を含め、「関心がある人達」を確保した上で、商品を直接じっくりと紹介する。これが具現化すれば、今までにない成果を得られるのではないか。「PWDMS」については、さらなる精度を求めて考察中である。業界の識者ともしっかり議論していきたい。  

植物商法が一般的に推移する中で、これは真の動物商法の到来であると確信しているこの頃である。店を開いて客を待つ、から、客を集めて店を活かす。新富裕層を確実に掴む。インターネットの上手な使い方の時代に突入したと言えるだろう。

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