トップインタビュー

総務省
情報通信政策局
放送政策課長

南 俊行
Toshiyuki Minami

2011年7月24日の
デジタルへの完全移行を
不退転の決意で推進する

2003年12月からスタートした地上デジタル放送。アナアナ変換は当初の予定を上回るペースで進捗。2006年には全国すべての県庁所在地でデジタル放送がスタートする。総務省情報通信政策局放送政策課長として2011年7月24日の移行完了に向けて邁進する南俊行氏に、その進捗状況と移行完了に向けた課題と施策、それによって期待される国民経済の変化を聞いた。

インタビュアー ● 音元出版社長 和田光征

デジタル化の最大の目的は
電波の有効利用による
新たなサービスの創出です

日本のデジタル放送の方式は
諸外国のものに比べて
大きな可能性を持っています

アナアナ変換は8割を突破
視聴可能世帯は年内に5割超

―― 地上デジタル放送がスタートして2年経ちました。2011年までの全面移行完了に向けた進捗状況はいかがでしょうか。

 当初われわれが思っていたよりも順調に滑り出しています。日本に先行してデジタル放送を始めている諸外国に比べても、順調にスタートしているように思います。1800億円の国費を投入して進めているアナログの周波数変更対策の進捗率は既に8割を超えるところまできています。年内には視聴可能世帯数が5割を超える見込みです。
受信機も05年10月現在の累計出荷台数は600万台を超えるまでに順調に増えています。この数字は、白黒からカラーの時代、あるいはBSでアナログからデジタルに切り替わっていった普及速度と比較しても相当早いように思います。

―― デジタルへの完全移行に向けた準備が着々と整備されてきているということですね。

 2006年中に全国の県庁所在地でスタートできるように、予備免許は既に全社に与えました。2006年中に全国で始まれば、デジタル放送のカバーエリアは一気に80%を超える形で拡がります。
家電製品は過去の経験則上、20%を超えると普及が加速度的に高まると言われています。これは「クリティカルマス」と呼ばれていますが、地上デジタル放送の受信機はもう少し頑張ればその水準に到達することができるのです。2006年はワールドカップが開催されます。来年の夏頃までに普及率が20%を超えることができれば、2011年までの世帯普及率100%の実現も、急速に現実味を帯びてきます。

―― 2011年の目標達成に疑問を持つ人もいるようですが。

 日本に先行して地上デジタル放送を開始した欧州でも、いかにしてアナログ放送からの移行を完了させるかは各国共通の悩みです。地方自治体や審議会などでも2011年というミッションは実現できないのではないかと疑問に思われている方が多いように感じていますが、われわれは決して悲観的には考えていません。
総務省では昨年7月24日に、「アナログ放送停波のXデーは2011年7月24日です」という新聞広告を出しました。これは2011年7月24日という期限までに、国として何としてでもアナログ放送の停波をやり遂げるとの不退転の決意を示し、地上放送デジタル化完成という国策の意味を国民の皆様に正しく理解していただくための第一歩として実施したものです。
アナログ放送を停めてデジタルに移行するということは、白黒からカラーに変わった時と全然事情が違います。デジタルに対応していないテレビはそのままではテレビ放送をまったく受信できなくなってしまうからです。この点をいかにして国民の皆様方に無理なく正しく理解していただけるかが大きな課題です。

―― 国として不退転の決意を示されたということですね。

 新聞広告を出す際に、一部のメーカーさんや放送事業者さんの中には、2011年ということをあまり強く言わないで欲しいという意見もたくさんありました。アナログを見られなくなるということを強く言うのは、社会的に大きな不安を与えるだけではないかと懸念する声もありました。
でも、今、何も知らずにアナログの受信機を買った人が、2011年になってそんなことは知らなかった、騙されたということになったら、それこそ取り返しのつかない社会的問題となります。
テレビは毎年、1000万台近くも買い替えられています。しかも一度お買い求めになられると10年近くは使われます。サービスエリアも受信機も限られている今だからこそ、アナログ放送停波を声高に言うことが許されるのであって、2011年間際になって慌てて主張して国民の皆様から叱られたのでは、もはや手後れになるでしょう。叱られるなら今、思いっきり叱られた方がいいと私は思います。


1日も早く地デジ受信機の
ラインナップの増加を望む

―― 地上デジタル放送の普及を加速していく上で、受信機器メーカーに対する要望は何でしょうか。

 とにかく一日も早く地デジ対応受信機のラインナップを充実していただきたいということです。最大の問題は小型機です。ここ2年間、地上デジタル対応テレビの売れ行きは好調ですが、依然として小型を中心に低価格帯のアナログ受信機が大量に販売されています。
今、デジタル対応チューナー搭載テレビは一番小さいものでも17インチくらいです。小型機ではデジタルの良さをアピールしにくいといった事情があることはわれわれも理解しています。ただ、小型のテレビをお求めになるお客様にとって、デジタル放送専用の低価格の受信機を選べないということでは困ります。
どのようなデジタル受信機を作るかはメーカーさんの戦略にかかっていますが、われわれはいかなる理由があってもラインナップを揃えて販売店の店頭で消費者が多様に選択できるような環境を整えていただきたいと考えています。

―― セットトップボックスについてはいかがでしょうか。

 セットトップボックスが主流のドイツや英国ではその価格が下がってきて、1万円を切るところまできています。ところが日本ではまだ5万円を超えています。
視聴者の中にはハイビジョンはいらないという人もいれば、サーバー型放送への対応も含めてデジタル放送によってもたらされるすべての機能を求められる方もいらっしゃるでしょう。小型のテレビでいい人もいれば、大型を欲しいという人もいらっしゃいます。
われわれの要望は、視聴者の選択肢をできるだけ増やしていただきたいということです。ある日突然テレビが真っ暗になるといった事態は絶対に避けなければいけません。そのためには多様な嗜好・趣味に合わせられるようなできるだけ多くの選択肢を出していくことが重要です。すべての国民がフル機能を求められているわけではありません。機能を絞ってでも一万円を切った価格のセットトップボックスも作っていただきたいと思います。


2010年までにすべての
中継局の整備を完了させたい

―― 放送局に対してはどのような要望を持たれていますか。

 放送会社には今までアナログでカバーしてきたエリアと同等のエリアを、地上波の中継局建設によって確実にカバーしていただきたいということです。先ほど申しあげましたように2006年に県庁所在地でスタートしますが、問題はそこから先です。その時にぜひ国民の皆様に知っておいていただきたいことは、日本の放送は世界的に類稀な全国的なきめ細かい地上放送波の中継ネットワーク網を作り上げてきたという点です。
たとえばアメリカでは全国の50%もカバーしていませんし、ドイツに至っては地上波のみを受けている世帯は10%を切る水準です。ほとんどの人たちは衛星やケーブルを通じてテレビを視聴しています。一方、日本では日本全国津々浦々、どんなに小さな町や村でも、100%近くの方々が無料でテレビを直接受信できる環境が整っているのです。
30年近くの歳月をかけて構築してきたアナログのネットワークを残されたわずか5年足らずの期間に全面的にデジタルに移し替えていくこと、即ちNHKも含めて1万5000局近くもあるデジタル中継局を全国各地で整備していくことがいかに膨大で困難を伴う作業であるかはご理解いただけると思います。その上で、まだ地上デジタル放送のサービスが開始されていない地域の視聴者の皆様は、いつ自分達の町や村に放送波が届くのかを知りたがっています。そこですべての放送事業者に、経営的な判断を含めた中継局設備の全体像、ロードマップの作成をお願いすることとしたのです。

―― 12月1日にそれを公表されました。

 こうした自治体や地域住民からの要望に応えるため、地デジ開始2周年に当たる去る12月1日に、今のアナログとほぼ同等の放送波のカバーエリアが、どのタイミングで実現できるかを放送事業者ごとにすべて公表させていただきました。
2011年7月24日までに日本全国でアナログ放送を停波します。ただし、具体的にどのような手法で停止していくかは今後さらに関係者間で議論していく必要がありますが、諸外国では、全国一斉にではなく、地域別に段階的に停波していくような手法が取られている例が多く、こうした事例も参考にしていくことになると思います。このため、放送会社に対しては、アナログ放送が停波する遅くとも一年前にあたる2010年には、すべての中継局の整備が完了できるようなロードマップの作成をお願いしているわけです。

―― 番組の編成面についてはいかがでしょうか。

 デジタル受信機が1000万台を超えるまでに普及すれば、デジタルの受信機でしか見ることができない番組も、当然あって然るべきだろうと思います。BSではNHKが朝ドラを一時間早くBSデジタルに入れるなどで差別化しています。
イギリスでも人気ドラマを一日早く見ることができたり、同じ週の番組の再放送をデジタルでは見ることができるなどといったさまざまな工夫をしています。放送事業者の皆様には、画質だけでなく、番組の編成の面でもデジタルのメリットを実感できるような魅力的なコンテンツ作りに励んでいただき、放送会社の視点から積極的な広報周知に努めていただきたいと思います。

―― 送信側、受信側以外にも解決すべき大きな問題はありますか。

 コピーコントロールの問題です。最近のパソコンではテレビ放送を受信できるものが増えてきています。そのため、テレビがデジタル放送になると海賊盤が出回るのではないかということを、著作権団体は非常に懸念されています。
特に我が国の場合、米国のように売れるコンテンツはハリウッドで供給され地上波のテレビで見られるようになるのに2年近くもかかるケースと異なり、優良なコンテンツはテレビでまず放映されるため、海賊版への警戒心が強い面があります。
コピーコントロールの重要性と、違法コピーを放置するわけにいかないということは、われわれも十分理解しています。ただ、現行のコピーワンスに対しては、非常に使い勝手が悪いというクレームがユーザーの間から出てきています。この問題を放置すれば、地デジに対する消費者のマイナスイメージを増幅しかねません。
そこで、使い勝手をもう少し弾力化できないかということで、メーカーや放送事業者と共同で見直しを検討する場を作りました。既に販売されているレガシー録画機への影響を最小限に抑え、しかも視聴者の皆様のストレスをできるだけ軽減できるような結論を出していただきたいと思っています。


地上デジタル放送への移行は
国民経済の発展に大きく寄与

―― 視聴者の中には、なぜデジタルにしなければいけないのかという方もいらっしゃいます。

 今まではデジタルだからいいということしか言ってきませんでしたが、最大の理由は電波の有効利用です。先ほど申し上げましたように、日本は世界に冠たる地上テレビ放送大国です。そのため、テレビ放送に使える電波の帯域のほとんどを現行のアナログ放送で使っています。たとえば、携帯電話向けに新規参入を認めようと思っても、そのために必要な周波数の帯域が物理的に足りなくなってきています。
デジタルは一言でいうと圧縮です。今、VHFの1チャンネルから12チャンネル、さらに、UHFの13チャンネルから62チャンネルまで、全部で62チャンネル分の帯域をテレビジョン放送事業に使っています。デジタル化によってその帯域を圧縮することができれば、今まで使っていた周波数の一部を開放して、携帯電話や携帯向けの全く新しいサービスの提供が可能になります。
具体的には、通信と放送を融合した今世の中にはない全く新しいサービスが登場してくるかもしれませんし、デジタルラジオといった既存のメディアを発展させた新しいメディアも誕生します。こういう新しいメディアを一日も早く登場させることが、国民経済的に大きなプラスになることは間違いありません。

―― そのためにはできるだけ早くデジタルへの移行を完了させて、アナログ放送を終了させることが必要だということですね。

 そこで、国会のご承認をいただいて、アナログ放送波の使用期限を2011年7月24日までと決めさせていただきました。国民の皆様に喜んでいただける新しいサービスを一日も早く提供できるようにするには、2011年という期限をいたずらに延長することは許されません。この点を国民の皆様にぜひ、ご理解いただきたいと思います。

―― 地上放送のデジタル化が、様々な新サービスを実現するための条件になるということですね。

 デジタル化によってテレビジョンは、今までと同じ帯域の中で基本的なサービスに加えて、携帯向けのワンセグサービスやサーバー型放送といった今までになかった通信・放送融合型の新しいサービスの提供が可能になります。これが我が国の地デジ方式の最大の特色であり、アドバンテージでもあるわけです。 
その上、基本サービスの画質もオールハイビジョンになります。これによって今まで国民が全く想像すらできなかったテレビの視聴形態が生まれ、新しい生活のライフスタイルが待っているように思います。メーカーや販売店の皆様にとっても、新しいビジネスチャンスにつながるものと確信しています。

―― 具体的にはどのようなサービスが予定されていますか。

 繰り返し強調しておきたいことは、放送会社やメーカーの皆様の知恵が結集した日本の地上デジタル放送の方式はこれからのデジタルの市場の幅を広げていく上で大変大きなポテンシャルを持っているということです。この点で諸外国のデジタル放送とは比べものにならないアドバンテージがあるのです。
これは単にハイビジョン放送を標準規格と定めていることだけではありません。今、通信と放送の融合の必要性が叫ばれている中にあって、竹中新大臣も強調されているように、それを国民の皆様に実感していただける最も有望なサービスとして期待されているのが、携帯向けのワンセグ放送であり、サーバー型放送であると思うからです。 
今までのテレビは受信場所や時間が固定されていましたが、いつでもどこでもテレビが見られる場所的なユビキタス性を持ったワンセグサービスやリアルタイムにとどまらず後からダイジェスト視聴を可能にする時間的なユビキタス性を秘めたサーバー型放送が実現すれば、従来までのテレビの概念は大きく変更し、国民のメディアに対する接し方、視聴のライフスタイルを大きく変えていくことになります。
これらの新しいサービスに対応できる受信機は2008年以降に本格的に登場してくると思います。放送波やインターネット、ブロードバンドなどさまざまな経路を経由して、デジタル受信機を舞台に、通信と放送の融合を国民が真に実感できる新しいサービスが誕生していく。デジタル放送の受信機はもはや「テレビ」であり、「パソコン」でもある、そしてこうした通信放送融合型の新しいプラットフォーム上で展開される様々な高度なサービスの受け手になっていくように思います。


高次元で通信と放送を
融合できる日本の方式

―― 通信と放送の融合が本格的に始まるということですね。

 「融合」という言葉の持つイメージから、通信と放送は互いに姿を変えて溶け合い、あるいは一方が他方を飲み込むという誤ったイメージを持たれがちですが、私は通信と放送のそれぞれのメディアの本質から判断するとそのような事態にはならないのではないかと思っています。
放送と通信は、その生い立ちや育った環境が全く違います。放送は社会的な影響力が非常に大きい速報性の高いメディアで、誤った情報が国民に伝えられてからでは後から訂正が効きません。しかも利用できる電波が有限希少である以上、サービスを提供できる主体には自ずから限りがあります。そのため弊害を防ぐためのいろいろな番組準則等の放送法に基づく一定の規制が予定されているものです。
一方インターネットははじめから国境を越えた情報の自由な流通を予定したメディアであり、情報提供の主役も個人から企業に至るまで全くレギュレーションがありません。その二つがお互いに混ざり合い、溶け合うような事態は本質的に起こり得ないのです。
ただ、お互いがお互いをそれぞれの事業の発展のために必要としていることは紛れもない事実です。全く違う生い立ちの通信と放送が、お互いに必要としあう部分においては、その構造ごとに互いにビルトインされていくことになるのではないでしょうか。私はその典型的なものがサーバー型放送だと見ています。
受信機という構造の中で互いにビルトインされ、視聴者は好きな番組を取り出して見ようと思ったときに、そのメタデータが放送で送られてくるのか通信経由で送られてくるのか意識することがなくなることになるわけです。あるメディア評論家の方は、こうした現象を称して「入れ子構造」のようなものだと言われています。私はそのとおりだと思っています。通信と放送の融合も結局「入れ子構造」のように互いに互いがビルトインされて連携していく形になって発展していくように思います。
放送のデジタル化が進化していく延長線上に、世界に先駆けた通信と放送の融合を実感できるビジネスモデルが出てくることになると思っています。

―― 通信と放送を融合した新しいサービスで、日本が世界に先駆けていこうということですね。

 米国やヨーロッパでは、日本よりも5年ほど早くデジタル化しましたが、すべてSD品質の多チャンネルでスタートしました。これに対して日本は、あくまでもハイビジョンという基本サービスの品質と携帯向けのサービスといった付加価値的なサービスの提供にこだわってきました。
その後、状況は大きく変わってきています。DVDの普及が進みきれいな映像に慣れてくると、放送もハイビジョンでなければ物足りないという声が出てきています。国民のライフスタイルも変わりつつあり、携帯電話の普及によって、外出先でもテレビを見たいというニーズが現れてきています。
ところが欧米の方式では、こうした新しい需要に同じ周波数帯、方式の中では対応することができません。こうした増大する需要のすべてに応えられる日本の方式にこそアドバンテージがあると申し上げているのはこのためです。デジタル放送の世界では、日本が確実に世界をリードしていくのではないかと思っています。

―― それによってさらに新しい事業が生まれてくるということになると思いますが。

 万が一、地上波が届かないという事態が発生した場合に備えた補完的伝送路として、衛星や光ファイバーによるIPマルチキャストによる再送信の研究を進めています。諸外国でも同じようなトライアルがなされていますが、そこで実験されている放送サービスの品質はあくまでSDです。IPマルチキャスト方式を使って地上波テレビを劣化させることなく安定的に再送信できる、しかもそれがハイビジョン品質という技術は、世界中どこを見渡してもまだありません。2008年までに関係者の総意を結集する形で全国レベルで確立していきたいと思っています。
電話の世界では既にオールIP化の動きが進んでいます。高速インターネットのアクセスもIP化していっています。さらに地上波のテレビ番組も見ることができるようになれば、真の「トリプルプレイ」が実現することになります。
その頃には、新しい技術やサービスを生かし、あるいはそれらを互いに組み合わせた全く新しいビジネスが生まれるチャンスがあると考えるべきでしょうし、我々行政に期待される役割は、そのために必要な競争環境の整備にあるように思います。


2011年完全移行に向けた
国民運動を強力に展開

―― 先日、アナログ放送が停波した時に放送を受信できなくなるテレビか、デジタルで引き続き放送を受信できるテレビかが一目でわかるシール貼りを実施されました。

 このアイデアは、昨年暮れに英国がデジタルシールを受信機に貼る活動を開始したことを参考にして、我が国なりにアレンジして生まれたものです。デジタルへの完全移行までに残された期間はあと「6年」しかありません。この施策は放送事業者、メーカー、販売店の皆様、そして一定の負担を強いることになる国民の皆様にデジタル化の意義を正しく理解していただけないと実現できない目標です。そのためには、いろいろな形で国民運動の輪を広げていくことが必要になります。
先日のシール貼りは、アナログ受信機とデジタル受信機が混在している中で、お客様に正しい選択をしていただくために、2011年の意味をできるだけわかりやすく、かつ必要な情報を最小限の形で提供をしていきたいという思いから関係者の協力の下に実施したものです。
実際の作業にあたって、実行部隊であるD―PA(社団法人デジタル放送推進協会)や全国の販売店さんの全面的なご協力の下に、実に構想から実現まで半年足らずの間にクイックアクションをとっていただいたことに、驚きと敬意を表するとともに大変ありがたく思っています。来年は工場出荷段階からのシール貼付作業が始まると聞いており、大変心強く感じています。

―― 最後に販売店の皆様へのメッセージがありましたらどうぞ。

 まず、日頃のご協力、ご努力に対して、心から感謝するとともに、総務省としても販売店の活動を側面からバックアップさせていただくための研修活動などへの支援についても積極的に検討してまいります。
D―PAでは向こう1年間の地デジ広報のマスタープランを作成していただいており、2011年停波の認知度を50%以上に高める具体的な活動目標も示されています。限られた時間の中で大変難しい取り組みになると思いますが、デジタル化の良さを分かりやすく、かつ2011年の意味を正しくお客様にご理解いただけるような活動に引き続き積極的にご協力いただきたいと思っています。
サッカーのワールドカップが開催される2006年は地デジ普及にとっても正念場となる大事な年に当たります。ぜひ今まで以上に頑張っていただいて、地デジの世帯普及率20%突破により受信機普及加速の「クリティカルマス」を実現できるよう最大限のご協力を切にお願い申し上げます。

◆PROFILE◆

Toshiyuki Minami

1958年4月6日生まれ。東京大学法学部卒業後、郵政省入省。97年7月放送行政局放送政策課調査官、97年9月郵政大臣秘書官事務取扱、98年7月大臣官房国際部国際政策課国際経済室長、01年1月総務省総合通信基盤局電気通信事業部事業政策課調査官兼公正競争推進室長などを歴任。その後、郵政事業庁郵務部営業課長、日本郵政公社郵便事業本部営業企画部長を経て04年1月総務省情報通信政策局地上放送課長、05年8月より現職。わが国の国策である放送のデジタル化に向け、2011年7月24日の移行完了に邁進する。